投資信託の売り時とは?ファンドの途中入れ替えと資産形成のやめ時について【第21回】 みんかぶ編集室 2021.12.24 会話コラム N商事に務める福山春雅(通称ハルちゃん)は結婚資金が必要となる時に備えて、積立資産の売り時について、N商事顧問で元証券マンの瀬山に教えてもらうようです。 目次資産形成の最終目的は貯めた資産を使うこと途中売却は景気の山と谷で考える景気の谷でも投資から手は引かずに現金比率を高める個人投資家はドンピシャは目指さずに割り切って取引をする自分が想定していた商品性が違ってきたら売却する最終的な出口では分配金を利用して緩やかに現金化していく10年後・20年後に使う予定の資産は引き続きリスクを取っても良いまとめ 資産形成の最終目的は貯めた資産を使うこと ハルちゃんあ、セーさん!ぐふふ・・・。ハルちゃん 瀬山怪しい笑い方をしてどうしたんですか?瀬山 ハルちゃん実は彼女ができたんですよ!ハルちゃん 瀬山すごいじゃないですか!良かったですね。瀬山 ハルちゃんはぁ~幸せいっぱいです。いずれ結婚しちゃったりするのかなぁ。・・・でも結婚資金なんてとても用意できないなぁ。ハルちゃん 瀬山そんな時のための積立投資じゃ無いですか!瀬山 ハルちゃんたしかにそうですね!でもそうなったら売却をしないといけないんですよね。売り時の判断とか難しそうですね・・・。ハルちゃん 瀬山たしかに難しいですが、避けては通れない問題ですから、少し売り時についてお話ししましょうか?瀬山 ハルちゃんはい、是非お願いします!ハルちゃん 瀬山例えば電化製品や自動車ですと、購入することが到達点で、あとは使っていくだけですよね。瀬山 ハルちゃん資産形成の到達点はどこなんですかね?ハルちゃん 瀬山資産形成は購入を始めても道半ばで、それを増やし、さらに使うことが到達点です。瀬山 ハルちゃん使うことですか。たしかに貯めるだけでは意味がありませんよね。ハルちゃん 瀬山最近では色々なメディアで資産形成を取り扱うようになってきています。でも。まとまった資産が無ければ積立をしましょうとか、コストの低いインデックスファンドが良いとか、入り口の話しが多くて、出口の話しが十分にされていない印象があります。瀬山 ハルちゃん私も出口は気になっていましたが、資産形成は長期投資だから考える必要は無いという記事をネットで見て、そんなものかなと思ってしまっていました。ハルちゃん 瀬山そのように言う方はいますが、旅に出る時に目的地を決めないと放浪してしまうことになります。出口をどうするかは大事な話しですから、考えておく必要があると思います。瀬山 途中売却は景気の山と谷で考える 瀬山さて、売り時と言った場合には、長期投資の途中の入れ替えと最終的な投資の出口の2つがあると思います。瀬山 ハルちゃん最終的な売却だけでは無くて、たしかに途中の入れ替えもありますね。ハルちゃん 瀬山はい、以前から長期投資をするからといって、同じファンドを長期保有することに拘りすぎる必要は無いとお話ししてきました。まずは途中の売却についてお話しをしましょう。瀬山 ハルちゃんお願いします!ハルちゃん 瀬山例えば株式ですと、値上がった銘柄を売却して、その資金で出遅れている銘柄を購入していきます。瀬山 ハルちゃん株式はそうやって資産を増やしていくんですね。ハルちゃん 瀬山投資信託は株式に比べて動く値段の幅が小さいので、頻度は少なくて良いですが、考え方は同じで良いと思います。瀬山 ハルちゃん投資信託も良い時に売却して、これから上がりそうな銘柄を買っていって良いんですね。売買のタイミングはどうやって考えるのでしょうか?ハルちゃん 瀬山株式や債券は、短期的には需給で変動しますが、長期的に見た場合には大きな景気動向の山と谷に沿って動いています。株式や債券は景気の先行指標のためタイミングはずれますが、景気動向と逆の動きをすることは無いと思います。瀬山 ハルちゃんその株式や債券を資産として保有している投資信託もやはり景気動向に沿って動くんですね?ハルちゃん 瀬山そうです。個別株ですと不祥事などで景気が良くても下がってしまうこともあります。でも、ポートフォリオとして持っている投資信託であれば、商品の特性によって反応の違いはありますが、方向性としては景気動向と合っていくと思います。瀬山 景気の谷でも投資から手は引かずに現金比率を高める 瀬山この景気動向の波を捉えるくらいのところで売りとか買いとか、入れ替えとかを考えていって良いと思います。瀬山 ハルちゃん景気の山と谷に合わせて行動をしていくんですね。ハルちゃん 瀬山ただ、景気の谷の部分でも、投資から手を引いてしまうのでは無く、軸足は残しながら投資信託の比率を下げていって、一旦現金という投資対象に切り替えていく方が、ほったらかしにするよりも効果は上がると思います。瀬山 ハルちゃん一度やめてしまうとまた始めるのが難しいんでしたよね。(第14回 積立対象の投資信託が下落したらどうする?積立をやめるかどうかの考え方とは参照)ハルちゃん 瀬山そうですね。ハルちゃんはセカンドライフまで40年近くあるわけですが、40年間ずっと景気が悪いとか良いということは有り得なくて、潮目の変化は必ず起きます。景気の谷がきたらどうすべきかは考えておいた方が良いと思います。瀬山 ハルちゃん谷がきそうと思ったら、下落局面に強い銘柄に乗り換えておくのもありですかね?ハルちゃん 瀬山そうですね。下げの時には強い銘柄の比率を高くしておくのも良いですね。瀬山 ハルちゃん以前教えて頂いた価格特性(第10回 チャートの形から価格特性をつかもう!参照)を元に保有する銘柄を考えておく必要がありそうですね。ハルちゃん 個人投資家はドンピシャは目指さずに割り切って取引をする ハルちゃんちなみに景気動向に合わせて勝手に資産を見直してくれるファンドとかってあるんですか?ハルちゃん 瀬山資産配分を見直してくれるバランスファンドはありますね。瀬山 ハルちゃんへ~あるんですね。じゃあそれを買っておけば、自分では考えなくても良いんですかね?ハルちゃん 瀬山う~ん、そういったファンドの目的は投資成果よりも価格変動を小さくすることなので、景気の大きな流れでは無くて、細かく見直してしまうんです。そうすると価格は安定しますが、あまり投資成果は出にくいですね。瀬山 ハルちゃんあくまで価格変動を小さくすることを目的にしているんですね。ハルちゃん 瀬山景気の谷にはキャッシュ比率を高くするファンドもありますが、景気の山がきたときに上手く買い向かえなかったりしますね。瀬山 ハルちゃんそうなんですね。でも運用のプロでも上手くいかないのに、景気動向に合わせて取引するなんて私にできるんですかね?ハルちゃん 瀬山プロは保有者の要望に応えるためには景気の山で株を売って、景気の谷で株を買うことを目指さないといけません。でも、個人の場合にはそこまで考える必要は無いと思います。瀬山 ハルちゃんもう少し気楽に取引しても良いという事ですか。ハルちゃん 瀬山はい。売った後にまだまだ上がっていくケースもありますが、売却した後のことは考えてもしょうがない、と割り切った方が良いと思います。瀬山 自分が想定していた商品性が違ってきたら売却する 瀬山それと、投資信託の良さとして、一部売却ができますので、迷ったら半分だけ売るというのも一つだと思います。世の中には何倍にもなっているファンドもありますが、上がっているファンドを持ち続けるのも根気がいりますからね。瀬山 ハルちゃんたしかに下がる前に売りたくなりそうですね。ハルちゃん 瀬山ハルちゃんの場合、これから景気の山と谷が何回もあるでしょうから、利益も大事ですが、経験を積んでいくことも大事です。見ているだけじゃ分からないので、行動した方が身に沁みますし。瀬山 ハルちゃんなるほど。ちなみに利益が出ている時は景気の動向を見ながら利益確定していくとして、損をしてでも売却しないといけない場面ってあるんでしょうか?ハルちゃん 瀬山そうですね。価格特性が大きく変化してしまって、購入した目的を果たせなくなった場合には損してでも売却しておいた方が良いですかね。瀬山 ハルちゃん景気上昇時に上がると思って買ったら、下値抵抗力のある銘柄に入れ替わってしまったとかですか?ハルちゃん 瀬山そうですね。それとファンドの運用は変わっていなくても、価格特性を勘違いしていたケースもありますからね。瀬山 ハルちゃんたしかにそれもありそうですね。ハルちゃん 瀬山景気の山と谷に合わせて売買をしつつ、使う目的が出てきた場合には、利益確定を優先していってください。使うためにお金を貯めているわけですから、そこは躊躇する必要は無いです。瀬山 ハルちゃん分かりました!ハルちゃん 最終的な出口では分配金を利用して緩やかに現金化していく 瀬山次に最終的な出口の話しですが、積立で始めていくのと同じように、緩やかに着陸に入っていきます。投資しているお金を使う際ですが、売却して使うだけでは無く、分配金を活用する方法もあります。貯めていくプロセスでは分配金は矛盾していますが、使うプロセスになれば売却と効果は同じです。瀬山 ハルちゃん使う時になったら分配金が出るファンドに切り替えていくのも良いのですね。ハルちゃん 瀬山そうですね。毎月分配型は貯まったお金を運用しつつ毎月使っていくには良い仕組みだと思います。瀬山 ハルちゃん毎月分配型は資産形成には向いてないけど、運用しながら使う分にはありなんでしたよね。(第9回 毎月分配ファンドは資産形成には使わないで!本来の利用方法とは?参照)ハルちゃん 瀬山そうですね。投資対象と合っていないのに何でも毎月分配にしているファンドや、こっちの方が分配金が高いから乗り換えましょう!といって取引させる販売姿勢には問題がありますが、毎月分配すること自体に問題は無いと思います。瀬山 10年後・20年後に使う予定の資産は引き続きリスクを取っても良い ハルちゃん分配金以外に緩やかに着陸するにはどういった方法がありますか?ハルちゃん 瀬山そうですね。例えば40歳を過ぎて、今が景気の山に来ていると思ったら、株から債券に切り替えていくとか、出口の多様化を図っていくのも良いと思います。瀬山 ハルちゃん実際にリタイアする時には全部売却してしまった方が良いのでしょうか?ハルちゃん 瀬山いえ、出口にきたら全てを安全資産にするのではなく、10年後20年後に使う部分は引き続きリスクを取り続けても良いと思います。瀬山 ハルちゃんなるほど。使う予定がなければ価格が変動しても問題無いですもんね。ハルちゃん 瀬山はい。リスクを取った方が長期的なリターンは上がりますから、そこで全て終わらしてしまうのは勿体無いです。瀬山 ハルちゃん完全に着陸するのはリタイア後のさらに先で、そこでもまだ高度を下げていくような感じで考えておけば良いんですね。ハルちゃん 瀬山そういうことですね。瀬山 まとめ ハルちゃん今日教えて頂いたことをまとめますと・・・ハルちゃん 株式や債券は長期的に見れば景気動向に沿って動いている投資信託も景気動向の波を捉えて売買をしていった方が投資成果は上がる売却した後に上がっても気にせずに割り切って考える。迷う場合には半分だけ売却するのもあり最終的な出口は緩やかに着陸に入っていく全てを安全資産にしてしまうのでは無く、一定期間使う予定の無いお金は引き続きリスクを取っても良い ハルちゃんありがとうございました!景気動向を見つつ、結婚資金のためのキャッシュ化のタイミングを図っていきます!ハルちゃん 瀬山次は二人の豊かな老後を目指して、最終的な出口を目指していってください。瀬山 ハルちゃん分かりました!ハルちゃん 瀬山まだまだハルちゃんの資産形成の道のりは長いですが、楽しみつつ続けていってください。瀬山 ハルちゃんはい、頑張ります!分からないことがあったらまた聞きにきてしまうと思いますが。ハルちゃん 瀬山いつでも来てください。瀬山