パーソナルファイナンスの基本ルール「72のルール」。このルールを知っていると、時間の流れが明らかになります。
「72のルール」とは、「72」を金融商品の金利(%)で割れば、元本が2倍になるまでのおおよその年数がわかるというもの。
例えば、ある定期預金の金利が7.2%だったとします。元本が2倍になるまでに何年かかるかを計算してみましょう。まず「72」を金利(7.2%)で割ります。
72÷7.2=10
10年で元本が2倍になります。
では三菱UFJ銀行の普通預金の金利(2018年5月現在)で計算してみましょう。
72÷0.001=72,000
元本が2倍になるのに、なんと72,000年かかります。資産を倍にすることは不可能と考えていいでしょう。
これを個人向け国債に当てはめて考えてみます。変動10年の第97回の金利が0.0398425%(税引き後)(利子支払い期2018/11/15)ですが、計算しやすくするために0.04%として考えます。
72÷0.04=1,800
これでも元本を倍にするには1,800年かかることになります。資産を増やすには、この利率だと、低すぎると言えます。
では、年金積立金管理運用独立行政法人はどのぐらいの利回りになっているのでしょうか。直近10年の収益率は2.89%と公表されています。
(出所:年金積立金管理運用独立行政法人「よくある質問ー運用実績はどのような状況ですか。」)
72÷2.89=24.91
この利回りで運用すると約25年で元本が倍になることがわかります。資産運用を行うには、このぐらいの利回りは確保したいものです。
ここで注意してほしいのは、「72のルール」が有効なのは複利の時のみという点です。
「72のルール」のほかに、「114のルール」「144のルール」もあります。これらの数字をその時の金利(複利)で割ると、元本がそれぞれ3倍、4倍になるまでのだいたいの年数が出ます。
投資はリターンを目的に行うものですが、投資にはリスクがつきもの。ハイリターンを狙えば狙うほど、ハイリスクになってしまいます。
世界で最も成功した投資家として知られるウォーレン・バフェットは、投資をスノーボールに例えています。その教えは、「投資はスノーボール(雪玉)を角度のある雪山から転がして大きな雪玉にするのと同じ」というもの。つまり、どのくらいの角度(リターン率)の山を転がすのかが問題ということです。
低くすぎる角度だと、雪玉は転がりません。そうすると、雪玉は大きくならず、角度がありすぎると谷底に落ちてしまう危険性が増してしまいます。雪山の角度は適度な角度を保ちたいものです。
投資と時間の概念を見てきたので、ここでよく出てくる「長期」と「短期」という言葉について考えてみましょう。金融商品の運用においては、下記のような定義で使われていると考えるといいでしょう。
短期:1年以内
中期:2~4年
長期:5年以上
投資信託はこの期間でいうと、長期向きの金融商品と言えるというか、むしろ長期投資することによって初めて商品の魅力が発揮され、長期で保有することが元本割れリスクを軽減してくれるとも言えるのです。逆に投資信託を短期で売買すると、収益力がどんどん低下してしまいます。
そしてこの長期投資の有効性を発揮させるためには、分散投資が重要です。特定の国・地域の株式市場に集中投資するのではなく、「新興国も含めて世界中の株式市場に分散投資」をするのがいいと思います。
出典:金融庁「つみたてNISAについて平成29年7月」6項>
しかし、欧米と比べ日本では金融資産に占める現金・預金の割合が52%と高く、これが家計金融資産の伸びが低いという問題を引き起こしています。投資信託をうまく利用し、金融資産を伸ばしていくことは一人一人の問題だけではなく、日本社会全体的な課題なのです。
出典:同上 2項
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