リスクを分散しながら高利回り!高配当ETFの世界
分配金によるインカムゲイン重視の投資を考えている方にとって、高配当ETFは有望な選択肢です。高配当銘柄を「詰め合わせパック」のようにした投資商品だけに分散性が高く、リスクを抑えながら高い配当利回りを狙えるところが魅力です。
その他にも高配当ETFには多くのメリットがあるので、まずはこうしたメリットも含めて基本をおさらいしておきましょう。
高配当ETFとは
高配当ETFは、ETF(上場投資信託)の中でも配当利回りが高い銘柄のことで、おおむね3%から4%台の配当利回りが期待できます。若い人を中心にFIRE(経済的自立、早期退職)がブームとなっていますが、このFIREには利回り4%で運用することを想定した「4%ルール」があります。高配当ETFはFIREの達成に必要な利回りが期待できる商品でもあります。
FIREだけでなく老後の自分年金づくりにも有効で、安定的な不労所得が得られる投資を行いたい方にとってはマストアイテムともいえるでしょう。
高配当ETFのメリット
高配当ETFのメリットについて、ここで整理しておきましょう。特に長期目線でETF投資を検討している方に知っていただきたいメリットが3つあります。
1. リスクを分散しながら高い利回りを狙える
ETFは一般的な(非上場の)投資信託と同様に、1つで複数の金融資産への投資が可能です。そのため、ETFを1本保有しているだけで一定のリスク分散効果が得られます。
高配当ETFの運用方針は、利回り重視となっています。そのため、定期的に利回りの良い銘柄の入れ替えが行われます。自動で銘柄が入れ替えられるため、個人で探して入れ替えるような手間がなく、高配当が期待できる銘柄に投資し続けることができる大きなメリットがあります。
2. 「タコ足配当」がない
投資信託は、本数が多かったり定期購入ができたりするというメリットがありますが、分配金の仕組みでは、ETFに軍配が上がるかもしれません。
投資信託によっては、投資元本の一部を分配金に充てる銘柄があります。この場合、運用益が出ていなければ投資元本が減ってしまいますので、自身の資金がただ戻ってくるだけになってしまい、運用する資金が減ってしまいます。こうした分配金を、タコは飢えると自らの足を食べるといわれていることになぞらえて「タコ足配当」といいます。
ETFの分配金は、分配可能な収益は全額分配される仕組みになっています。そのため、配当などの収益のみを分配金として受け取ることが出来ます。
3. バリュー銘柄が多く組み込まれており、比較的低リスク
高配当ETFの構成銘柄は成熟した大企業などバリュー銘柄が多く、そうした銘柄に分散投資をしているため、比較的低リスクです。グロース銘柄が少ないことからETF自体の価格上昇はあまり見込めないかもしれませんが、値動きが安定しやすいことも長期投資向きといえます。
海外にも多くの高配当ETF
当記事では日本国内の高配当ETFにスポットを当てて解説していますが、同種のETFは海外にもたくさんあります。
米国の「バンガード・ハイディビデンド・イールドETF(VYM)」や「SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF(SPYD)」などは日本の投資家からも人気を集めており、配当利回りは3%~5%程度です。
ただし、これら海外のETFは現地通貨で運用されているため、為替リスクを考慮する必要があります。
国内高配当ETFおすすめ5選
東京証券取引所には300銘柄を超えるETFが上場していますが、その中には高配当ETFもあります。ここでは日本円で手軽に投資ができる国内高配当ETFの中からおすすめの銘柄を5つピックアップして紹介します。
NEXT FUNDS日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
日経平均株価を構成する225銘柄のうち、配当利回りが高い50銘柄で構成される「日経平均高配当株50指数」という指数との連動を目指すETFです。毎年4回の分配金支払いがあるので、保有しておくだけで年4回の収入源になります。
2023年12月末時点の分配金利回りは3.6%で、おおむね3%台の利回りが期待できます。
みんかぶ個別銘柄ページ:NEXT FUNDS日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
NEXT FUNDS野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
上記と同じ運用会社のETFで、こちらは「野村日本株高配当70」という指数と連動するように運用されています。この「野村日本株高配当70」は国内の証券取引所に上場している全銘柄のうち配当利回りの高い70銘柄で構成されており、実質的に上記ETFの「70銘柄版」と位置づけて問題ないでしょう。
構成銘柄がより多いことから分散性が高く、比較的安定した値動きをしながら3%台の利回りが期待できます。
みんかぶ個別銘柄ページ:NEXT FUNDS野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
上場インデックスファンド日本高配当(1698)
TOPIX1000と東証REIT指数という2つの指数の構成銘柄のうち配当利回りが高い銘柄を株式から90銘柄、REITから10銘柄選び、指数化したのが「東証配当フォーカス100指数」です。この「上場インデックスファンド日本高配当」は、同指数との連動を目指して運用されています。
上記の2銘柄よりも構成銘柄数が多いことと、REITが必ず含まれていることなどの特徴により、より高いリスク分散効果が期待できます。なお、配当利回りは3%前後です。
みんかぶ個別銘柄ページ:上場インデックスファンド日本高配当(1698)
iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)
MSCIという米国の金融サービス企業の日本法人である、MSCIジャパンが設定している「MSCIジャパン高配当利回り指数」との連動を目指すETFです。同指数はMSCIが独自の基準で構成銘柄を選定しており、安全性の高い高配当銘柄が組み込まれています。また、構成銘柄数が30から100銘柄程度で決まっていないのもひとつの特徴です。
配当利回りは3%弱、他の高配当ETFと比べると分配金の支払いが年に2回で少ないのですが、他と比べて信託報酬が安く、0.209%であるところが長期投資において有利になります。
みんかぶ個別銘柄ページ:iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)
ここまで紹介したETFはいずれも株式メインの銘柄でしたが、この「iシェアーズ・コア Jリート ETF」はREIT(不動産投資信託)だけで構成されています。東京証券取引所に上場しているJ-REIT全銘柄の値動きを示す東証REIT指数と連動するように運用されているため、実質的に国内の不動産市場全体への投資効果が得られます。
分配金利回りは3%から4%台で推移しており、現物不動産の裏づけがあるため価格も比較的安定しています。
東証REIT指数と連動するETFは他にもありますが、同銘柄は1口単位で売買が可能なので手軽さもメリットといえます。
みんかぶ個別銘柄ページ:iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)
【新事実】コロナ以降、日本の高配当ETFがオルカンを凌ぐパフォーマンスを記録
新NISAでは、オルカンこと全世界株や米国株などへの海外投資が人気となっています。そこで、実際のパフォーマンスは何が良いのか?全世界株式と米国S&P500の高配当銘柄に投資を行うETFであるSPYDと、日本の高配当ETFとの値上がり実績を比較してみました。すると、驚くべき事実が分かったのです。
まずは、以下の比較表をご覧ください。
比較対象:
- NEXT FUNDS日経平均高配当株50指数連動型ETF(1489)
- MAXIS全世界株式ETF(2559)
- SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)
- 出所:TradingView
- 期間:2020/3/2~2024/2/7
- ※略称記載
- ①NF・日経平均高配当:NEXT FUNDS日経平均高配当株50指数連動型ETF(1489)
- ②MAXIS全世界株:MAXIS全世界株式ETF(2559)
- ③SPYD: SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)
コロナショックで株式相場が急落した2020年3月を起点に比較しています。
驚くべきことに、全ての期間において、日経平均高配当ETFが他の2つのETFよりも高い上昇率を記録しています。
しかも、安定した右肩上がりとなっている為、購入する場合は、分散するよりも一括で行った方が利益をもたらす推移となっています。
なお、日経平均高配当ETFには50の銘柄が組み入れられており、上位にはメガバンクや総合商社、大手通信事業者が入っています。(2024/2/7時点)
世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏も投資したことで知られている商社株は、ここ数年間の値上がりが鮮明であることから、ETFの上昇の下支えとなっているのかもしれません。
個別銘柄への投資を行っている方でも、ETFであれば適度にリスクが分散されており、銘柄入れ替えが自動で行われることから、コア商品のひとつとして取り入れてみるのも良いかもしれません。
高配当ETF投資にはNISAを活用しよう
高配当ETF投資をするのであれば知っておきたいのが、新NISAです。新NISAの成長投資枠では条件を満たしたETFの購入が可能で、当記事で紹介している5銘柄はすべて対象商品です。新NISA口座で保有すれば、高配当ETFの配当収入はもちろん、売却時に利益が発生した場合であっても非課税です。
ETFで得られる利益には、20.315%の税金がかかります。新NISA口座で高配当ETF投資をすれば「利益が2割アップ」になるため、ぜひとも活用したいところです。
まとめ
リスクを分散しながら高利回りが狙える高配当ETFは、長期目線で取り組むと、よりメリットを実感しやすくなります。
高配当ETF投資をするのであれば配当収入・運用益がすべて非課税になる新NISAも味方につけて、本格的な資産形成に役立てましょう。
【関連銘柄】
NEXT FUNDS日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
NEXT FUNDS野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
上場インデックスファンド日本高配当(1698)
iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)
MAXIS全世界株式ETF(2559)
SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)