インデックスファンド※の対象指数別
資金流入上位3指数(2022年初から10月末)
単位:億円
対象指数 |
対象市場 |
資金流入額 |
S&P500指数 |
米国株式 |
9,206 |
MSCIコクサイ・インデックス |
世界株式 |
5,158 |
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス |
世界株式 |
3,295 |
出所 NTTデータエービックの情報等を基にみんかぶ作成
※インデックスファンド:投資信託協会の協会分類(小分類)のインデックス型から、ETF・株式型以外を除くファンド
上位3指数の中で最も資金流入が多かった、つまり一番人気の指数は米国株式の代表的な指数であるS&P500指数でした。
各指数の資金流入状況、言い換えると各指数の人気とパフォーマンスに関連性はあるのでしょうか?
過去10年間のパフォーマンスを比較したのが下のグラフです。
出所 野村アセットマネジメントの情報等を基にみんかぶ作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
また、ファンドの運用実績ではありません。ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
結果、最も人気の高いS&P500指数のパフォーマンスがその他指数を上回っていることがわかりました。
やはり、人気とパフォーマンスには関連性があることが見て取れます。
S&P500指数は、人気の面でもパフォーマンスの面でもNo.1のインデックス。それでは、資産形成はS&P500指数連動型のインデックスファンドで決まりでしょうか。いえ、そう判断するのは早いかもしれません。S&P500指数をおおむね上回るパフォーマンスを残している、厳選された企業で構成される株価指数があるのをご存じですか?
S&P500指数のパフォーマンスをおおむね上回るS&P500配当貴族指数
百聞は一見に如かず、まずはS&P500配当貴族指数とS&P500指数の長期パフォーマンスをご覧ください。
出所 野村アセットマネジメントの情報等を基にみんかぶ作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
また、ファンドの運用実績ではありません。ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
過去の値動きではS&P500配当貴族指数はS&P500指数と比べて、おおむね高いパフォーマンスとなっています。
特に期間が長くなればなるほどパフォーマンスの差が大きくなっていますが、その要因は何でしょうか?
両指数の差が出始めた1998年以降の年次の騰落率を比較しました。
出所 野村アセットマネジメントの情報等を基にみんかぶ作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
また、ファンドの運用実績ではありません。ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
注目したいのは、S&P500指数が下落している期間です。
まずグラフの左の赤枠部分2000年から2002年の3年間です。
2000年はITバブルが崩壊した年として知られており、S&P500指数は、3年連続で下落しました。
その間のS&P500配当貴族指数を見ると、2000年と2001年は上昇、2002年は下落しています。しかし、下落率はS&P500指数の22.1%に対して、S&P500配当貴族指数は、9.9%と半分以下となっています。
次は、グラフ中央の赤枠部分です。
2008年はリーマンショックがあり、その後、世界経済が急速に悪化しました。
2008年の下落率はS&P500指数が37.0%の大幅下落となりましたが、S&P500配当貴族指数は21.9%の下落にとどまっています。
グラフの右側の赤枠は、2022年です。(年初から10月末)
インフレの進展とその対応としての金融引き締めにより、S&P500指数は17.7%下落していますが、ここでもS&P500配当貴族指数の下落率は8.7%と小幅になっています。
以上のように、市場の下落局面に相対的に強いことが、S&P500配当貴族指数の特徴であり、長期でS&P500指数をおおむね上回るパフォーマンスを残しているポイントの一つだと考えられます。
S&P500配当貴族指数は、堅調に推移しており、資産形成の対象指数に適しているように思われますが、今後も有効な指数であり続けるのでしょうか?
その点についてS&P500配当貴族指数の特徴から検証してみたいと思います。
S&P500配当貴族指数ってどんな指数?
125年以上連続で増配している銘柄で構成
S&P500配当貴族指数は、S&P500指数構成銘柄のうち、25年以上連続で増配している銘柄を対象に、均等に投資する均等加重により構成されています。
一度でも減配、または配当据え置きがあると対象から除外されてしまうのですから、相当、厳しい条件といえるでしょう。
過去25年の間には、ITバブルの崩壊やリーマンショック等、大きく景気が後退した時期もありました。その間も増配を続けたということは、一般的に配当の原資となる利益が長期間安定的に成長している必要があります。
S&P500指数は、米国の証券取引所に上場している約6,000銘柄から代表的な500銘柄の時価総額を基に算出されますが、更に利益が安定的に成長している優良株を厳選した指数がS&P500配当貴族指数なのです。
次にS&P500配当貴族指数の業種別配分を見てみましょう。
2幅広い業種配分
出所 野村アセットマネジメントの情報等を基にみんかぶ作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
また、ファンドの運用実績ではありません。ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
ご覧のように、S&P500配当貴族指数は、広く業種分散が図られた指数です。
業種が分散されているということは、リスク分散の観点で見ても効果的だと考えられます。
最後に、構成している個別銘柄を見てみましょう。
3身近な大企業で構成
25年以上連続増配の条件を満たす企業64銘柄で、S&P500配当貴族指数は構成されています。(2022年10月末現在)
また、条件となる25年を大きく上回る期間、増配を続けている企業、例えば、2021年末時点で50年以上増配を続けている企業は、64銘柄中15銘柄もあります。
50年以上増配を続けている代表的な企業をご紹介します。
多角経営会社で、電子、電気通信、工業、消費者・オフィス商品「ポストイット」などを提供する。
200を超える国や地域で販売される「コーラ」「ファンタ」などのブランドを展開する清涼飲料水メーカー。
世界各地で「バンドエイド」や「ベビーオイル」など多数のブランドを展開するヘルスケアメーカー。
いかがでしょうか?どれも皆様の生活の身近にある商品を提供している企業ですね。これらの、企業の商品を日頃から愛用されている方も多いのではないでしょうか?
競争力があるブランドを持っていることに加えて、時代の変化に対応した商品開発力があることが、これらの企業の共通点と言えます。しかし、それだけでは、長期間増配を続けることはできません。
50年前とは、社会構造は大きく変化しています。その間、配当の原資となる利益を増やし続けるには、商品・サービス力に加え、健全な財務体質、変化に対応する経営姿勢などが不可欠となります。
そういった意味で、時代の変化への対応力を有する優良企業で構成されるS&P500配当貴族指数は、今後も長期的な優位を維持できる可能性が高くなることが期待できます。
S&P500配当貴族指数まとめ
- 長期でS&P500指数を上回るパフォーマンス
- 米国を代表するS&P500指数から、利益が安定的に成長している優良株を厳選
- 業種が分散しているので、リスク分散が図られている
- 時代の変化への対応力を有する企業群で構成されており、今後も変化に対応しつつ、長期的な優位を維持できる可能性が高い
資産形成となれば、当然ながら長期に渡り運用を継続することになります。その間、投資環境は良好な時ばかりとは限りません。むしろ、10年、20年、それ以上の期間を考えれば、景気後退、株式市場の低迷期が何度かあると考えるのが自然です。
株式市場の低迷期に相対的に強いという特徴を持つS&P500配当貴族指数は、長期投資にこそ適した指数と言えるのではないでしょうか。
注目ファンド「米国株式配当貴族(年4回決算型)」
「米国株式配当貴族(年4回決算型)」は、S&P500配当貴族指数を対象とするインデックスファンドの中で、最も純資産総額の多いファンドです。(2022年10月末現在)
また、販売会社も増加傾向にあります。
皆様もS&P500配当貴族指数に連動した投資成果を目指すインデックスファンドで長期投資を始めてみてはいかがでしょうか?