JPXスタートアップ急成長100指数 開発の背景
グロース市場の課題と指数への要望
東証グロース市場には、ひとつの課題がありました。スタートアップ企業が多く上場するグロース市場の銘柄において、上場後に十分な成長を実現できている企業が少ないということです。そのなか、「⾼い成⻑を実現している企業が組み込まれた指数があれば、上場企業は機関投資家の投資をより受けやすくなるし、⾼い成⻑を目指す励みにもなる。投資家にとっても、投資魅⼒のある企業に投資しやすくなるのではないか」そんな要望が聞かれていました。
成長企業は存在する。しかしそれを捉える指数がない。
"成長しているグロース市場企業"を集めた指数へのニーズが高まっていたのです。
2030年、グロース市場が変わる
もうひとつ、大きな変化が迫っています。
―東証のグロース市場改革。2030年からは、新たな上場維持基準も適用され、現行の「上場10年後に時価総額40億円以上」から、「 上場5年後に時価総額100億円以上 」へと大幅に厳格化されます。
2022年4月に行われた市場区分の再編では、市場ごとにコンセプトが設けられました。その際に、グロース市場は、「高い成長可能性を有する、未来の日本経済の成長を牽引する企業」の輩出が期待される市場として位置づけられていました。グロース市場改革は、このコンセプトを名実ともに実現することを目指しています。
「成長→投資→さらなる成長」の好循環へ
JPXスタートアップ急成長100指数は、このグロース市場改革と連動して開発されました。
狙いは、成長企業を「見える化」すること。成長を実現している企業が市場で評価され、資金が集まり、さらに成長する——。この好循環を生み出す仕組みの一翼を担います。
米国には米国の成長株である代表的なハイテク銘柄が多く含まれるNASDAQ100があります。JPXスタートアップ急成長100指数は、まさに日本版のNASDAQ100であると評価する声もあります。
JPXスタートアップ急成長100指数の内容
基本スペック
ファンダメンタルズ特性(2026年2月27日時点)
この数字が意味するのは、「将来の成長」に対して株価がついている ということです。
設計のポイント
①100銘柄という絞り込み
グロース市場の銘柄を中心に、成長性の高い企業に焦点を当てた構成です。なお、グロース市場からの市場変更後5年以内の銘柄や5年を超えていても高い成長を続ける銘柄も含みます。
②ウエイト上限の設計
継続銘柄は30%が上限。銘柄の分散を図りながら、大きく成長する企業の成長も取り込むための設計です。なお、指数の安定性確保や採用後の成長を捉える趣旨で新規銘柄を組み入れる際のウエイトの上限は5%としています。
③年1回の銘柄入替
定期的に銘柄を入れ替えることで勢いのある銘柄取り込んでいくことができます。
JPXスタートアップ急成長100指数の組み入れ銘柄と選定基準
■選定の仕組み
「成長企業を集めた指数」といっても、どう選ぶのか。ここが最も注目されるポイントです。
【STEP1】母集団の選定
【STEP2】成長性でスクリーニング 以下のいずれかを満たす必要があります。
【STEP3】時価総額で最終選定
上記を満たした銘柄から、時価総額順に上位100銘柄を採用。
ウエイト上位10銘柄
業種構成
IT・SaaS銘柄中心に情報・通信業が約半数のシェアを占め、製造業中心のTOPIXとは明確に性格が異なります。
IT・SaaS以外の注目テーマ
注目テーマ も構成銘柄入り。JPXスタートアップ急成長100指数は、日本のスタートアップ市場の動きを示すバロメーターとも言えるでしょう。
東証グロース市場250指数との比較
「東証グロース市場250指数と何が違うの?」という疑問に答えます。
最大の違いは「成長性が選定基準に入っているかどうか」です。
同じグロース市場銘柄をメインとした指数である東証グロース市場250指数とスタートアップ100ですが、スタートアップ急成長100は、「成長企業」を中心に100銘柄を厳選して組み入れる設計です。
3月11日上場、連動ETFの内容とメリット
ETFの概要
3つのメリット
①指数構成銘柄に直接投資できる
指数そのものには投資できません。しかしETFの上場により、株式市場でリアルタイムに指数構成銘柄へ投資可能になります。
②銘柄選びの手間がなくなる
このETFなら、成長基準をクリアした100銘柄に一括投資できます。IT、宇宙、バイオ——国内スタートアップを象徴する分野へ、効率的にアクセスできます。
③成長の果実を取り込める
組入銘柄は「売上高成長率20%以上」または「時価総額成長が市場平均を大きく上回る」企業群。成長トレンドが明確な銘柄への投資が、このETF1本で実現します。
投資リスク——知っておくべき3つの懸念
魅力的な指数ですが、リスク部分も見ていきましょう。
リスク①:グロース株全体の調整局面の影響
直近1年のリターンは▲6.56%。同期間のTOPIX(+26.70%)を下回ります。近年は大型株・バリュー株が堅調で、中小型株・成長株は相対的に出遅れています。グロース株全体の調整が続けば、この指数も影響を受けます。
リスク②:特定銘柄への集中
100銘柄を厳選するため、250銘柄で構成される東証グロース市場250指数と比べて個別銘柄へのウエイトは高くなる傾向があります。リスクもやや高い傾向にあり、特に短期的な変動には注意が必要です。
リスク③:高バリュエーション
PER42倍 は、将来成長への強い期待の表れ。しかし裏を返せば、成長が実現しなかった場合の下落リスクも大きいということです。
また、配当利回り0.66%と低く、インカムゲイン目的には不向き。 キャピタルゲイン狙いの指数 であり、値動きへの耐性が求められます。
こんな投資家におすすめ
①日本の高成長スタートアップに分散投資したい人
個別銘柄で将来の勝ち組を見極めるのは容易ではありません。このETFなら、一定の 成長基準をクリアした企業群にまとめて分散投資 できます。また、年に1回指数の構成銘柄入替があるため、銘柄選定の手間なく勢いのある成長銘柄へのアクセスが可能です。
②長期投資で成長の果実を得たい人
グロース株が中心の指数は、一般的に短期間の値動きが大きくなりがちです。米国のNASDAQ100も、短期では変動が大きい指数です。しかし長期で見れば、S&P500やダウ平均を上回るパフォーマンスを実現してきました。
このETFも短期では大きく値段が動く可能性があります。しかし、指数組入銘柄が中長期で成長を続ければ、その成長が投資リターンにつながります。短期の価格変動はあまり気にせず、時間を味方につけられる投資家 に向いている商品です。
③東証のグロース市場改革に期待する人
東証がPBR1倍割れ問題に切り込んだ際、バリュー株を中心に改善が進みました。同様に、グロース市場改革が進むことで、 スタートアップ企業がより一層成長経営を進め、成長企業への資金シフトが起きる可能性 があります。グロース市場改革の恩恵を受けたい投資家には、有力な選択肢です。
まとめ
JPXスタートアップ急成長100指数は、「成長性」に特化した本格的スタートアップ指数 です。
売上高成長率20%以上、または市場平均を大きく上回る時価総額成長
この明確な基準をクリアした企業だけを厳選
この指数は「成長企業の今」を映し出す指数です。3月11日に上場する連動ETFを活用すれば、成長基準を満たした100銘柄に一括投資が可能に。高いバリュエーションは、期待の裏返しでもあります。短期の変動に一喜一憂せず、日本のスタートアップの成長ストーリーをどう評価するか——その視点が問われます。
まずは、構成銘柄100社の顔ぶれを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。