お任せ運用でESG投資
持続可能な社会の実現のため、短期的な利益の追求だけでなく、ESGの取り組みも投資判断に加えるESG投資*は、欧米で先行して始まり、日本ではGPIFがESG投資を始めた2017年以降、注目が高まっています。
- ESG : 環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)
機関投資家では、ESG投資は必須となりつつありますが、持続可能な社会のため、ESG投資を実践したい個人の投資家も多いのではないでしょうか?
ESGのE(環境)関連のテーマから投資銘柄を選ぶのも一つの方法ですが、いわゆる「グリーンウォッシュ」という言葉があるように、”一見、環境に配慮しているようで、実はそうではない”取り組みや、商品・サービスも存在します。
また、各企業のESGの取組み、特にG(Governance)を銘柄選別の基準とするのは難しいでしょう。やはり、非財務情報であるESG関連情報を投資判断の基準に加えることは個人投資家にはハードルが高いのが実情です。
その為、ESG投資には関心があっても、具体的に資産運用に取り入れられない投資家も多いのではないでしょうか?そんな中、お任せでESG投資が可能な運用サービス「WealthWing(ウェルスウイング)」に注目が集まっています。
POINT : こんな方におすすめ
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株式投資にESGの観点を取り入れたい
(資産運用と持続可能な社会の実現を両立させたい)
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既に投資信託でESGファンドを持っているが、物足りなさを感じている。
上記のような方は、検討してみる価値がありそうな金融サービスと言えそうです。
「Wealth Wing(ウェルスウイング)」とは
運営会社:株式会社 スマートプラス
サービス:個人向け投資一任サービス(最低投資額15万円)
特徴 :投資対象は日本株式
戦略ごとに独自のESGスコアを算出。ESGに考慮した投資とリターンの両立を目指す
比較的少額からでも始められる、個人向けの投資一任サービスということなので、近年、注目が高まっているロボアドバイザー(ロボアド)ですが、投資対象が個別の日本株であり、ETFで国際分散投資をする一般的なロボアドとは、商品性が異なりそうです。
一般的なロボアドとの違い
一般的にロボアドバイザーは、投資家自身のリスク性向をもとに、債券や株式といった複数の金融資産に分散して ポートフォリオを決定します。投資対象は市場平均型のETFや投資信託が中心となっています。
- ロボアドを使う利点として、「長期的に、着実に、自動で資産を増やせる」などが挙げられます
主要ロボアド事業者
- 2021年9月 当社調べ
- 調査方法:公式サイトから各調査データを取得
サービス概要だけでは詳細が分かりませんので、今回は、運営会社である株式会社スマートプラスの『WealthWingプロダクトマネージャー 斎藤氏』に取材し、商品開発の経緯や想定している顧客層、サービスの特徴を伺いました。
取材で見えたWealthWing(ウェルスウイング)の強み
Wealth Wingの開発経緯とコンセプトは?
「リターンにこだわるお任せ運用」
プロ向けの個別株の運用手法を個人投資家の皆様に
当社の運用責任者が、機関投資家として個別株を運用していた手法であるファクター投資*を、個人投資家の皆様にご提供したいと考えたのが、商品開発のスタートです。
- ファクター投資
個別株の時価総額や割安度といった複数のファクター(マルチファクター)を分析した上で戦略に応じて最適な個別株を導き出し、 投資を実行することで市場平均を上回るリターンを狙う投資手法。高度な分析を要する投資手法は「スマートベータ」と呼ばれ、多くの機関投資家に採用されている。
開発にあたり想定したのは、「個別株投資をしたいけれど、今まであまり上手くいかなかった…。」「もう少し、効率よく株式投資をしたい…。」といったような、ある程度、投資経験がある投資家の方々です。
コンセプトは、「個別株へのファクター投資をベースに、リターンにこだわり、市場平均を上回る投資成果を目指す」です。
このコンセプトを実現するにあたって、お客様に出来るだけ透明性の高いサービスを提供したいという思いのもと、実際にお客様の口座の中で株式に投資する方法が良いだろうと考え、投資信託ではなく、投資一任という運用手法に至りました。
ファクター投資には大量のデータと高度な分析が必要です。また、実現には、数千万円の資金が必要となります。「Wealth Wing」は、この2つの課題を解決した資産運用サービスです。
Wealth WingのESG投資について
目指すのは、リターンとESG投資の両立
昨今、ESG投資の機運が高まっており、運用サービスを手掛ける側にもESGの観点が求められています。
「Wealth Wing」の商品設計にあたり、ESGスコアを使って何ができるかを分析した結果、低ESGスコアの企業のパフォーマンスが良くないことが分かってきました。そこで、低スコアの企業を投資対象から除く仕組みを運用に取り入れれば、リターンとESG投資を両立できると考えました。
「Wealth Wing」の銘柄分析プロセス
それを実現する運用手法として、「ネガティブスクリーニング」を採用しています。
ポートフォリオの決定プロセスにおいて、投資ユニバースから低ESG銘柄を排除した上で、期待リターンの高い銘柄を選別し、高ESGスコアかつ高リターンが期待できるポートフォリオを構築していきます。
WealthWing(ウェルスウイング)の3つの活用ポイント
1. 簡単な判断で、高度なアクティブ運用を実現
運用コースの決定に必要なのは、景況感とリスクについての2つの診断のみ
景況感診断
「Wealth Wing」の運用モデルであるファクター投資は、景気の動向によって運用に効果的なファクターが変わってきます。例えば、景気回復期にはグロース系の銘柄が良いとか、景気後退期は財務が健全な銘柄が良いなどです。 そのため、まず投資をするご自身が考えている、現在の日本の景気状態を選んでいただくようにしています。
2. リスク診断
景況感診断の内容に応じた運用コースの中から、お客様ご自身のリスク許容度に合わせて、最適な運用戦略を選択できます。
3. ランキングから選ぶ
景況感とリスクの診断から運用コースを選択するのは、少し難しいという方には、ランキング機能を用意しています。
各運用コースのリターンランキング、人気ランキング、ESGスコアランキングを提供しておりますので、それらランキング情報を参考に、運用コースを選んでいただくこともできます。
「スマートヘッジ」投資家の判断でリスクヘッジする機能
「Wealth Wing」は、個別株の運用なので、株式市場全体が下落する局面では、どうしてもマイナスになってしまいます。
我々が目指しているのは、アクティブリターンの獲得(ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの差)です。ベンチマークと逆の動きをするETF(インバースETF)を購入することで、 株価下落のリスクを打ち消し、アクティブリターンだけを獲得することを目指すのが、スマートヘッジ機能です。
リスクヘッジの度合いは、「ヘッジ小」「ヘッジ中」「ヘッジ大」の3つから、状況に合わせて好きな比率を設定できます。
また、投資環境や投資判断が変わった場合は、ヘッジのオン・オフ、ヘッジ比率の変更ができます。変更に伴う手数料はかかりません*。
- ヘッジ設定期間中は、信用金利等のコストがかかります。
株価下落の影響を低減する方法としては、投資対象の地域や資産クラスを分散するのが一般的かと思います。但し、世界的なリスク・オフの局面では、期待通りにリスクが低減されないなど、アセットクラスの分散によるリスク管理には限界があります。
スマートヘッジは、それとは異なるアプローチで、ご自身の判断でリスク管理ができる機能です。
利用時の注意点
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日本株のみ対象のため、国際分散投資も視野に入れる
- 「Wealth Wing」は、日本株を投資対象とした投資一任サービスなので、海外株式や債券等にも分散投資したい場合は、別途、株式や投資信託などへの投資が必要となります。
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投資額は個人で判断する(資産配分)
- 運用コースを決めるプロセスでも明らかなように、「Wealth Wing」は、ライフプランに応じて、 保有している金融資産全体をどのように資産配分するか決定するものではありません。金融資産のうち、どの程度リスク資産を保有するのか?その配分を含めて自分で判断する必要があります。
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リスク管理
- 「Wealth Wing」には、スマートヘッジ機能がありますが、投資環境に応じ、お任せでリスクを管理するものではなく、投資家の判断でヘッジのオン・オフ、ヘッジ比率を決めるものです。
- また、ヘッジをかけている期間は、コストが発生することに留意する必要があります。リスクが低減するからといって、常にスマートヘッジ機能を利用するのでなく、投資環境に応じて、効果的に活用したいところです。
まとめ
こんな方に「Wealth Wing」はおすすめ
- ・株式投資にESGの観点を取り入れたい(資産運用と持続可能な社会の実現を両立させたい)
- ・既に投資信託でESGファンドを持っているが物足りなさを感じている
「Wealth Wing」は、リターンとESG投資の両立を目指しているので、上記の投資家像にマッチする人は、是非検討するべきでしょう。
個別株に投資している人は、ESG投資としての「Wealth Wing」と個別株投資を組み合わせてみるのも有効な活用法といえます。
ロボアドなのにロボアドじゃない
「Wealth Wing」は、投資一任型のロボアドバイザー(ロボアド)の部類に入る運用サービスであると言えますが、従来のロボアドと同一線上で考えない方が良さそうです。
取材に応じた斎藤氏も、「リターンこだわるお任せ運用サービス」と表現されていました。
投資一任サービスとしての「Wealth Wing」の特徴を生かし、有効活用するには「資産運用のどの部分を任せて、どの部分は自分でやるのか」を明確にしておくべきでしょう。