これからも伸びが期待できる理由
インドの成長の要因としては、世界No.1を誇る人口や政府による積極的なインフラ設備投資、インド政府の政策に後押しされた製造業の発展等が挙げられます。
インド政府は経済のさらなる発展を後押しすべく様々な政策を打ち出しており、2024年度のインフラ設備投資に対する予算案はGDPの3.4%に匹敵する11兆ルピーに上るほか、2020年から導入されたPLIスキーム(国内外産連動型インセンティブ・スキーム)と呼ばれる製造業の主要な分野に対する国内投資や海外直接投資(FDI)の増進を目的とした金銭的な投資インセンティブ・プログラムは、インド国内における海外企業の誘致と国内生産増強を強力に後押ししています。
これからも伸びが期待できる3つの理由
- 1,2 出典:World Population Review, 2023年10月時点。
- 3 出典: India Budget Estimates, 2024年2月時点
- 4 アップルは2025年までにはiPhoneの25%をインドで生産する見込み(出典: Bloomberg, 2023年4月時点)。
グーグルは2024年中にインドでPixelの生産を開始すると発表(出典:Reuters, 2024年2月時点)
- 5 出典:S&Pグローバル、4月時点
インドの人口の強みに関して特に注目すべきなのがその内訳で、こちらのグラフを見ても分かる通り他の国と比較しても成長力が期待できる人口比率となっています。インドの全人口の半数は25歳以下であり、生産年齢人口も中国を抜いて世界No.1になる見込みです。
人口の強み
- 出所:United States Census Bureau, International Database, 2024年時点
経済の成長と共に、インド株の成長も
GDPと株価指数は相関性が高いと言われている一方で、経済成長が必ずしも株価の上昇につながらない場合もあることをご存じでしょうか。経済大国と呼ばれた中国ですが、こちらのグラフを見ていただくとお分かりいただける通り、経済成長と株価の成長率は必ずしも連動するとは限りません。それに対し、過去20年の値動きで見ると、インドの株価指数は急成長する経済と共に堅調な伸びを見せているのが分かります。この経済成長に伴う力強い値動きがインド株が注目を集めている大きな理由の一つです。
GDPと指数の成長率
- 出典:ブルームバーグ、2024年3月末時点。2003年末を100として指数化。GDPはIMF出典の名目GDPを使用。すべて米ドル建て。上記は過去の実績であり、将来に運用成果を保証または示唆するものではありません。
インド株は注目の年
2024年6月には、有権者が10億人近くにのぼる、世界最大と言われる総選挙が行われました。経済政策に積極的なモディ政権の続投が決まったことで、今後のインドの成長に更なる期待が高まっています。1999年から2019年までの選挙後の市場パフォーマンスをさかのぼってみると、開票から1ヶ月後、および6か月後には株価は上昇する傾向が多いことが見られます。
株式市場へインド総選挙が与える影響
- 出所:National Stock Exchange of India, 2023年12月29日時点。上記は過去の実績であり、将来に運用成果を保証または示唆するものではありません。
あなたのポートフォリオ、インド足りてますか?
インド株はまだ投資したことがない方にとって魅力的な市場であるだけでなく、既に投資している方にも再注目いただきたいアセットクラスです。世界の経済成長に投資がしたいと考えた時にまず思い浮かぶのは、全世界株「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」ではないかと思います。世界株とも呼ばれるこちらの指数に連動する投資信託やETFは個人投資家にも人気が高く、この1銘柄で世界に分散投資ができるというのが最大のメリットなのですが、インド株の「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」での採用比率は、インドの世界のGDPや時価総額に占める比率を下回っております。インド市場に世界からの注目が集まっている今、ポートフォリオを見直す良いタイミングかもしれません。
「オール・カントリー」指数、GDP、および時価総額に各国が占める比率
- 出典:IMF、ブルームバーグ、2024年4月末時点。「オール・カントリー」:「MSCI ACWI Index」。GDPは2023年時点の米ドル建ての名目GDPを使用
魅力的だが難しい市場
ここまでインドの魅力についてご紹介してきましたが、インドへの投資はハードルもあります。新興国は一般的に先進国市場よりも政治や経済、社会情勢の変動が大きくなる場合があることに加え、インド市場は海外投資家による株式の直接購入制限していることもあり、個別株を直接購入することはもちろん、市場環境に関する情報にアクセスすることも容易ではありません。そのため、日本から幅広くインド株に投資する主な方法としては、個別銘柄への投資ではなく少額から手軽に分散投資ができる投資信託やETFを利用することが一般的です。
インド株投資の難しさ
投資信託とETFの違い
インド株に投資をする投資信託と、ETFの違いは以下の通りです。投資信託では自動での積み立てや分配金の自動再投資などのメリットがある一方、ETFは株の様にリアルタイムでの市場価格で取引ができ、いくらで購入できたがが即時にわかるのが大きいメリットです。特にインドのようなボラティリティの高い市場の場合には、いざというときに機動的に売買できるETFは心強いのではないでしょうか。
インド株に投資をする投資信託とETFの比較
- 1 商品ユニバース:FundMarkにて登録のある、インド株を主要な投資対象とするインデックス型投信(7商品)
- 出所:ブラックロック、東京証券取引所、FundMark、2024年5月7日時点。
まとめ
今後も高い経済成長率が継続することが期待されるインド市場。日本からの直接投資ができないことや、日本語での情報が限られていることなどから、個人投資家にとっては少し投資へのハードルがあると思われることも多いのですが、投資信託やETFといった金融商品を利用すれば、手軽に少額から分散投資をすることが可能です。政府による経済政策や人口ボーナスが下支えするインドのダイナミックな経済成長を自身のポートフォリオに組み込むことを検討してみてもいいかもしれません。