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「仕事としての運用」は長期、分散、積立が基本 ― 神戸孝

「仕事としての運用」は長期、分散、積立が基本 ― 神戸孝

 

資産形成を目的とした「仕事としての運用」の最大の特徴は、リスク(収益のブレ)をコントロールすることだと前回お話ししました。そのために必要になるのが、長期投資、分散投資、積立投資なのです。

 

 

◆なぜ長期投資なのか

 

 値動きのある商品が取引される市場(マーケット)には、多くのプロ(証券会社や金融機関、機関投資家など)が参加しており、短期売買での勝敗を分ける情報量、情報の分析力、資金量、発注スピードなどで劣りがちな個人投資家が、プロに打ち勝つのはかなり難しいといえるでしょう。

 

 しかし個人投資家には、期間損益を問われる立場のプロが持っていない「時間」という武器があります。長期投資ならば、投資対象自体の価値が増すのを待つことができますし、利益が利益を生む複利効果も期待できます。「今なら何が儲かりそうか」ではなく、もう少し長い目で見て、「将来有望そうなものに自分の資金と時間を投じる」というスタンスで投資対象を捜すことが成功への近道です。「投資の本質は成長にある」ことを忘れないでください。そして、成長するには当然のことながら、ある程度の時間がかかります。個人投資家の王道が長期投資といわれる理由はここにあります。

 

 

◆なぜ分散投資なのか

 

 長期投資を行う際に重要になる複利効果を味方にするには、儲かったり損したりを繰り返すのではなく、できるだけ収益のブレ(=リスク)を抑えた運用を行うことがポイントになります。

 下表は、値動きの異なる2つの金融商品で4年間複利運用を行った結果を比較しています。商品Aは、20%儲かる年もあれば、20%損失を出す年もあるという値動きが大きい商品で、4年間の平均収益率(騰落率)は5%でした。一方、商品Bはリターンがマイナス2%からプラス8%の間に収まる比較的値動きがおとなしい商品で、平均収益率は4.5%だったとします。この2つの商品に1000万円ずつ投資をして複利運用を行ったとすると、平均収益率が低い商品Bの方が、何と4年後の資産額は大きくなっていることがわかります。実は複利効果というのは両刃の剣のようなもので、マイナス側にも働くのです。ブレが大きいAのような商品では、せっかくの複利効果が3年目のように大きくマイナス側に働いてしまうことがあります。まとまったお金の複利運用では、ブレが小さい運用の方がお金は増えやすいということを知っておきましょう。

 

<値動きの異なる商品にそれぞれ1,000万円投資した場合の4年後の元利合計額>

  1年目

2年目

3年目 4年目

年平均

騰落率

4年後

元利合計

商品A +10% +20% -20%

+10%

5% 1161.6万円
商品B

+6%

+8%

-2%

+6% 4.5% 1189.2万円

 

 運用中のブレを小さくするために効果的な運用方法が「分散投資」です。複数の銘柄に投資を行う投資信託は分散効果が高い商品といえ、「仕事としての運用」を実践する際に活用しやすい商品になります。投資信託の投資対象には株式、債券、不動産などがありますが、それぞれ値動きの方向性や大きさ、価格変動のタイミングなどが異なるため、上手に組み合わせて運用(ポートフォリオ運用)することで資産全体のブレを抑えることが可能になります。その効果と具体的なポートフォリオの作り方については次回ご説明したいと思います。

 

 

◆なぜ積立投資なのか

 

 ブレを抑えるためには、商品(投資対象)の分散だけでなく、購入時期の分散も重要です。価格が高いときに購入してしまうと、その後に値が下がると大きな損失を被ってしまいかねませんが、購入時期を何回かに分けることで、そういった高値掴みのリスクを避けることもできます。

 

 特に、毎月一定金額ずつ購入していく積立投資であれば、商品の価格が高い時には少ししか買わず、安い時により多く買うことになり、結果的に平均購入価格を引き下げる効果が期待できます。通常、買ったものが値下がりすると嫌な気分になりがちですが、積立投資ならば値下がりすれば「たくさん買えている」ということなので、精神的なストレスもかなり小さくなるはずです。

 

 下図は、値動きの異なる4つの商品に10年間積立投資を行った結果を比較したものです。黄色や水色のケースのように、積立ての開始後、しばらくは価格が下がった方が、その後、価格が回復を始めると、資産額が一気に増えていくというのが積立投資の特徴といえます。積立て当初よりも10年後の基準価額が20%以上値下がりしている水色のケースの方が、年1.5%ずつ着実に右肩上がりで値上がりし続けた赤色のケースよりも資産額が大きくなっていることには驚かれるのではないでしょうか。ただし、実際の運用では紺色のケースのように後半値下がりしてしまい元本割れとなってしまうこともありえるので、ある程度まとまった金額になったら、その分は価格が上振れしている際に売却して、もう少し安定的な運用に移すようにするといいでしょう。

 

積立式の投資では前半下落、最終局面上昇が有利

 

 

【著者】神戸 孝

神戸孝氏

㈱三菱銀行、日興證券㈱を経て、1999年独立系FP会社の老舗的存在といえるFPアソシエイツ&コンサルティング㈱を設立。自ら個人・法人等のコンサルティング、各種講演会・研修会の講師などを行う傍ら、全国の独立系FPのための支援ビジネスも展開している。FP歴は日興證券㈱勤務時代を含めると約30年、資産運用に強いFPの第一人者として評価が高く、金融審議会専門委員や金融庁の「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」委員、金融広報中央委員会(日本銀行)の金融経済教育推進会議委員、日本FP協会理事なども歴任している。

 

CFPⓇ(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)、1級FP技能士、日本FP学会会員

 

<著書>
『NISAで儲けろ!』(朝日新聞出版)
『気づいたら貧困層!?』(監修・KADOKAWA)
『女性のための個人型確定拠出年金の入り方』(監修・KADOKAWA)  ほか

 

配信元:FPアソシエイツ&コンサルティング株式会社

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