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コラム税制優遇のある各制度(iDeCo、NISA、つみたてNISA)の活用法―神戸 孝

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2018/09/07 15:45

税制優遇のある各制度(iDeCo、NISA、つみたてNISA)の活用法―神戸 孝

 

前回は効率的な資産形成・資産運用のために活用したい3つの税制優遇制度をご紹介しましたが、実際に投資・運用を始める場合、どの制度をどのように利用すべきか迷ってしまう人も少なくないようです。NISAは個別の株式にタイミングを見計らいながら、まとめて投資することも可能なので、「趣味としての投資」にも活用できます。一方、iDeCoやつみたてNISAは積立式での投資しかできませんから、「仕事としての運用」向きの制度といえます。今回は、「仕事としての運用」を行う上でのそれぞれの制度の活用法についてご説明したいと思います。

 

◆年金作りには確定拠出年金

「確定拠出年金」は、基本的に個人の年金作りを目的とした制度です。そのため60歳まで資金を引き出すことはできませんが、拠出する掛金が全額所得控除となるなど、3つの制度の中では最も税制が優遇されているため、リタイア後の生活資金を準備したいという人にとっては最優先で考えるべき制度といえます。

これから20~30年かけて資産を形成していく世代であれば、リスク(収益のブレ)は大きいけれども収益性も高い国内外の株式ファンドや、株式の比率が高めのバランス型ファンドなどを積立購入していき、リタイアの時期が近づくにしたがって、徐々に値動きが小さめな債券の比率が高めのものに移していくというのが一般的な活用法といえるでしょう。

 

◆年代別・目的別 NISA・つみたてNISAの活用法

「NISA」・「つみたてNISA」は、いつでも運用商品の売却が可能であるため、より幅広い目的での活用が可能です。特に、「つみたてNISA」は、子供の教育費や住宅取得費などに備えて、これから資産を形成していきたい若い世代に適した制度といえるでしょう。

 

〇資産形成層(20歳代~40歳代)
ストック(貯蓄)はまだ十分ではないが、フロー(収入)は比較的安定しているという状況であることが多いこの世代は、毎月の積立金額は少額でも、非課税期間が20年とNISAの4倍ある「つみたてNISA」を活用するといいでしょう。長期の運用が可能な世代であり、値動きが大きめの商品の方が平均購入単価は低くなる可能性が高いことから、分配金をできるだけ出さずに複利運用が行われるハイリスク・ハイリターン・タイプの商品を積極的に活用してもいいでしょう。
 

【投資対象商品】

・中小型株ファンドなどのハイリスク・ハイリターン・タイプの

 無分配型のファンド

・海外資産の比率が高めの無分配型のバランス型ファンドなど  

 

一方、「NISA」は年間の非課税枠が120万円と、つみたてNISAの3倍あるため、すでにある程度まとまった金融資産を保有している世代にとって、活用しやすい制度といえます。

 

〇プレ・リタイア層(50歳代~)
そろそろリタイア後の生活が気になり始める50歳代の方が、住宅ローンや子供の教育費の負担から解放され、退職までの期間で老後資金を作ろうというような場合、NISAを積立方式で活用することが考えられます。1年あたりの非課税枠が大きいことから、ご夫婦で毎月10万円ずつ積立てられるというような状況であれば、5年間で約1,200万円の非課税投資が可能です。 運用できる期間があまり長くとれないというような場合には、値動きの大きな商品よりも、ミドルリスク・ミドルリターン・タイプの商品を活用するといいでしょう。
 

【投資対象商品】

・無分配型・安定成長型のバランス型ファンド

・REITファンドなど

  

 

〇リタイア層(60歳代~)

 

■個人年金代わりに分配型ファンドを購入
毎月の生活費の不足分やお小遣いといった資金ニーズに対応する目的で、個人年金がわりに毎月分配型のファンドをNISA口座で購入するという方法が考えられます。ただし、元本を取り崩して支払われる分配金(特別分配金)には元々税金がかからないため、非課税のメリットを活かすことができなくなってしまいます。NISA口座では、できれば普通分配金を中心に払い出すようなものを選ぶようにするべきでしょう。

 

【投資対象商品】

・値動きが小さめで、分配が普通分配金中心の国内債ファンド
・外債ファンド(為替ヘッジ付)
・J-REITファンドなど

 

 

■インフレ等に備える資金の運用口座として活用

リタイア後の家計にとって、保有している資産の価値が物価の上昇と共に低下していく「インフレ」は、最大の敵といえるでしょう。そこで、将来のインフレや増税への対策として、物価上昇時に価格が上昇する傾向のある金融商品をNISA口座で購入し、保険的な位置付けで保有し続けるという方法が考えられます。具体的には、インフレ抵抗力があるといわれる株式を一部組み入れたバランス型のファンドや、インフレ時の通貨価値の下落に備えられる外貨建ての債券、REITで運用されるファンドなどが選択肢になるでしょう。

 

【投資対象商品】

・無分配型・安定型のバランス型ファンド
・外債ファンド(為替ヘッジなし)
・グローバルREITファンドなど

 

 

■贈与と組み合わせて活用

リタイア世代から子供や孫に贈与した資金をNISA口座で運用するということも考えられます。基礎控除(毎年110万円)の範囲内であれば贈与税がかからない上に、その資金を非課税で運用できることになります。子供や孫の世代では、将来に向けた資産形成を目的とした長期の運用が一般的と考えられ、複利効果を高めるためにもできるだけ分配金を出さないタイプのファンドで、将来の成長が期待できる投資対象に投資を行うものが候補となるでしょう。
 

【投資対象商品】

・無分配型・成長型のバランス型ファンド
・世界株ファンドなど

 

ご自分のニーズに合った投資信託や税制優遇制度を上手に活用しながら、資産形成・資産運用を継続していきましょう。
 

 

【著者】神戸 孝

神戸孝氏

㈱三菱銀行、日興證券㈱を経て、1999年独立系FP会社の老舗的存在といえるFPアソシエイツ&コンサルティング㈱を設立。自ら個人・法人等のコンサルティング、各種講演会・研修会の講師などを行う傍ら、全国の独立系FPのための支援ビジネスも展開している。FP歴は日興證券㈱勤務時代を含めると約30年、資産運用に強いFPの第一人者として評価が高く、金融審議会専門委員や金融庁の「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」委員、金融広報中央委員会(日本銀行)の金融経済教育推進会議委員、日本FP協会理事なども歴任している。

 

CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)、1級FP技能士、日本FP学会会員

 

<著書>
『NISAで儲けろ!』(朝日新聞出版)
『気づいたら貧困層!?』(監修・KADOKAWA)
『女性のための個人型確定拠出年金の入り方』(監修・KADOKAWA)  ほか

出所:FPアソシエイツ&コンサルティング株式会社

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