「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」概要
運用会社 |
三井住友DSアセットマネジメント |
投資対象 |
日本を含む世界の割安株・中小型株 |
ファンド形態 |
ファンド・オブ・ファンズ形式 |
販売手数料 |
無手数料(ノーロード) |
販売会社 |
いちよし証券 |
ファンド情報:https://itf.minkabu.jp/fund/79314226
ノーロード型アクティブファンドを取り扱うのは、お客様に対する「意思表明」
対面営業主体の証券会社で「ノーロード型」のアクティブファンドを取り扱うのは大変、珍しいケースだと思います。取扱いに至った背景を教えて下さい。
証券会社の収入は、株式や投資信託の売買手数料などいわゆるコミッション収入中心であるとのイメージが強いので、対面営業の証券会社が、ノーロード型のアクティブファンドを取り扱うのは、一般的ではないと思われるでしょう。
我々、いちよし証券は、売買手数料を主軸とするビジネスモデルから脱却し、資産管理からの収益の拡大を目指す残高重視のビジネスモデルへの転換を図っています。ノーロード型のアクティブファンドである「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」の取扱いは、そのことをお客様に「意思表明」しているのです。
コミッションビジネスが一概に悪い訳ではありませんが、日本の個人金融資産の貯蓄から投資への流れが加速しない要因の一つには、金融庁の指摘を待つまでもなく販売会社の営業姿勢があると考えられます。
基準価額が上昇すると他のファンドに乗り換える・・その際、税金と手数料を投資家が負担する、といった事を繰り返すような傾向があって、効率的な運用が出来ていないのではないか?
なぜ、そういうことを繰り返すのかというと、収益モデルがコミッション収入(売買手数料)に偏っていることが影響していると思います。
投信の乗り換えを繰り返すのではなく、売買は必要最小限に抑え、長期間しっかり保有頂くことが、効率的な資産形成には重要です。その為に、金融機関は売買手数料(コミッション)を収益の中心とするのではなく、お客様からお預かりした資産から報酬を頂くような資産管理型のビジネスモデルに転換していく必要があると考えています。
今後は、日本の証券業界は、資産管理型のビジネスモデルに移行していき、将来的には、販売手数料は段階を踏んで無くなっていくだろうと予測しており、そのような状況を想定して、販売手数料なし(ノーロード)で、残高に対する信託報酬のみを頂くファンドに取り組もうということになりました。
資産管理型営業への取り組みは「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」からスタートしたと考えていいですか?
資産管理型営業には、以前から取り組んできました。
いちよし証券では、1990年代の後半から20数年来、資産管理型のビジネスモデルへの転換を目指しています。近年、特に重視して取り組んできたのが2015年よりサービスを開始した「いちよしファンドラップ ドリーム・コレクション」です。
今までの取組みを更に加速させる取組みとして、今回の「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」があるとお考え下さい。
ファンドラップは、異なるアセットクラスに分散投資することで、リスクを管理しながらお客様のベース資産(中核となる資産)の運用をするものです。これは、継続して取り組んでいきますが、中・長期にリスクを取って資産を増やすというニーズに応える商品が、今回の「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」となります。
長期で資産を増やして頂くことを目的としたファンド設計
「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」の投資対象や運用スタイルはどの様な経緯で決まったのですか。
企画・検討を開始して、すぐに商品性が固まったのではなく、どんなファンドが中長期の資産形成に適しているか?長期で資産を増やして頂くためには何が必要か?等々、社内で議論、検討を重ねました。
まず投資対象については、世界経済の成長とともに上昇してきたことが確認できることから、長期で成長が期待できるグローバル株式としました。
- (注1)GDPは1980年~2027年、2022年以降はIMF予想。株価は1980年末~2021年末、年次。
- (注2)グローバル株式はMSCI ワールド・イン デックス(配当込み、米ドルベース)。
- (出所)IMF、Bloombergのデータを基に委託会社作成
- 三井住友DSアセットマネジメント作成の販売用資料より抜粋
但し、長期間保有した場合、世界的な景気後退に伴う株価低迷期も想定されます。1999年から2000年にかけてのITバブル崩壊、2008年のリーマンショックとその後の株価低迷期などです。
そこで、地域や投資スタイルを投資環境に応じて見直すことで、安心して長期保有して頂きやすい運用内容を検討しました。
まず、国や地域への投資配分は、日本、米国、欧州、新興国に各国・地域の株価バリュエーション分析に基づいた割安度を基に決定し、原則3か月ごとに見直すこととしました。
投資スタイルは、割安株(バリュー株)と中小型株に投資し、成長性と安定性の両立を目指します。
- GAFAM(ガーファム)はアルファベット(グーグルの親会社)、アップル、フェイスブック(現在はメタ・プラットフォームズ)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト の5社を指す造語。
- (注1)データは1998年12月末~2022年3月末、月次。
- (注2)グローバル・大型株式はMSCI AC ワールド・インデックス・大型株、グローバル・中小型株式は MSCI AC ワールド・インデックス・中小型株、グローバル・バリュー株式はMSCI AC ワールド・インデックス・バリュー、グローバル・グロース株式はMSCI AC ワールド・インデックス・グロース、いずれも配当込み、米ドルベース。
- (出所)Bloombergのデータを基に委託会社作成
- 上記は過去の実績および将来の予想であり、当ファンドの将来の運用成 果および市場環境の変動等を示唆あるいは保証するものではありません。
- 三井住友DSアセットマネジメント作成の販売用資料より抜粋
グローバル株式の中でも、近年はGAFAM等の台頭でグロース株式の優位性が高まっていましたが、中長期においてはバリュー株式がグロース株式を上回っている局面が多く見られること、また、大型株式と小型株式に分けてみると、大型株式は世界経済の成長に伴って上昇している一方で、中小型株式は、独自のビジネスモデルや高い技術力を有する企業が多く、世界経済の成長を上回る上昇となっています。これらのことから、割安株(バリュー株)と中小型株に注目しました。
購入時の手数料を無料(ノーロード)とすることは、検討開始段階で決まっていましたが、保有期間中、継続してお客様に負担いただくことになる信託報酬は、検討の結果、運用実績に応じて変動する実績報酬を採用することとしました。
お客様に中長期保有で資産を大きく増やして頂くことが、当社の収益に繋がるという考え方です。 その為、実績報酬以外の部分である基本報酬は、極力低く抑えることを目指しました。
投資先ファンドは、三井住友DSアセットマネジメントが厳選
運用会社は、三井住友DSアセットマネジメントですね。運用会社選定の決め手は何ですか?
先程、申し上げたファンドスキームで運用するファンドを設定できないか数社の投信会社に打診し、4社から回答がありました。
実績報酬を含むトータルの運用コストをできるだけ低く抑えたい旨を伝えており、回答のあった4社のうち3社は、外国株式への投資については、インデックスファンドを基本とした商品案でした。
一方、三井住友DSアセットマネジメントの商品案は、投資先ファンドに相対的に経費の低いスマートベータ運用のファンドを採用する提案でした。スマートベータ運用は、市場平均で得られる利益に対して、さらに一定のルールによる選別を行うことで、より高いリターンやより低い価格変動(ボラティリティ)といった優れた成果の実現を目指す投資戦略のことであり、一般的なアクティブ型のグローバル株式ファンドに比べて基本報酬を抑制しつつ、市場平均に対してプラスアルファが期待できる内容であったことが決め手となりました。
- 三井住友DSアセットマネジメント作成の販売用資料より抜粋
ファンド設定時点の各国・地域別、戦略別の組入れ比率と投資先ファンドは上記のようになっています。これは、固定されたものではなく、投資環境等によって見直していきます。
まず各国・地域の組み入れ比率は、いちよし証券のラップ運用チームが株価のバリュエーション分析に基づいた割安度等を基に決定し、3か月ごとに見直します。
投資先ファンドは、各国・地域毎に、情報収集・運用能力に優れた運用会社が運用する投資信託を三井住友DSアセットマネジメントが厳選します。また、継続的にモニタリングし、必要な場合は除外・追加します。
お客様と同じ目線に立ったアドバイス
対面営業の証券会社と取引をするお客様は、営業担当者からのフォローを期待していると思います。 ノーロード型でかつ運用コストも低く抑えているファンドを購入するとその後、十分なアフターフォローを受けられないのではと心配するお客様もいるのでは?
「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」は、商品設計自体が、長期保有で資産を大きく増やして頂くことを主眼に商品設計をしており、投資環境の変化に合わせて、ファンドを売買しなくてもいいように、ポートフォリオを投資環境に応じて見直しながら運用していきます。
「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」で、当社が収益を上げるためには、お客様に長期で保有して頂き、そのことによるファンドの上昇のメリットを受けて頂く事が必要です。その為、中長期でお持ち頂けるよう運用状況等をフォローしてお客様に資産を増やして頂くことが、当社のアドバイザーのインセンティブにもなります。
今回の「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」は、お客様の利益と当社の利益が同じ方向性にあるのです。
「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」の取組みは、お客様と同じ目線に立っていると言えますね。お客様の反応は如何ですか?
まず、対面営業の営業担当者がノーロードファンドを提案することに驚く方が多いですが、概ね好意的に受け止めて頂いております。実績報酬については、仕組みは決して簡単ではないので、最初はよく分からないという反応ですが、実績報酬の仕組みに併せて、なぜ実績報酬を採用しているかなどを説明すると共感して頂くことが多いです。米国中心のグロース株ファンドをお持ちの方には、ファンドの投資対象や運用手法について、分散投資の対象としてご評価頂いております。
まとめ
いちよし証券では、「日本の証券業界は、資産管理型のビジネスモデルに移行していき、将来的には、販売手数料は段階を踏んで無くなっていくだろうと予測している」とのことでした。
現実にそのような流れになるかどうかは、まだまだ未知数ですが、大手の証券会社では、投信の購入時手数料を無料とする代わりに、投信の預かり残高に応じた残高報酬を受け取るといったサービスが既にスタートしています。しかし、これらは、投信の信託報酬とは別途、証券会社の預かり残高に応じて残高報酬がかかります。
一方、「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」は、投資家が負担するのはファンドから差し引かれる信託報酬等のみです。その意味で、より投資家寄りであるといえるでしょう。
どのような投資家向きのファンドか
短期志向の投資家向きでない
投資対象であるグローバル株式への投資スタイルは、バリュー投資と中小型株投資の組み合わせであり、国や地域配分も投資環境に応じて見直していくため、市場全体の動きと一致するとは限りません。 市場動向を見ながら、投資タイミングを判断する比較的短期志向の投資家は、ノーロードファンドでも、インデックスファンドを活用したほうが良いでしょう。
アドバイスを受けながら長期で保有する投資家向き
取材でも明らかなように、ファンドの商品性、販売会社の取組みともに、中長期で保有し資産を大きく増やすことを目的としています。いちよし証券は、対面営業主体の証券会社なので、担当者からのアドバイスを受けながら長期保有する投資家向きのファンドであるといえます。
ファンドの商品性(運用スキームや手数料体系)には、いちよし証券の考え方が反映されており、その考え方に共感できる方は、購入を検討してみる価値はあると思います。
いちよし証券では、ネット取引は出来ませんが、テレフォントレード取引は可能です。
「いちよし・グローバル株式ファンド(いちばん星)」を検討する際の留意点
申込単位は、1,000万円以上1円単位
販売会社のいちよし証券では、まとまった資金の中長期の運用先と位置付けており、スポット買付(通常の買付)の申込単位は、1,000万円以上、1円単位となっています。
投信積立の申込単位は5,000円以上1,000円単位
投信積立サービスを利用する場合は、5,000円以上、1,000円単位(一回の積立額の上限は30万円)となっていますので、資産形成層の投資家は、まずは投信積立から始めてみるのも良いでしょう。