人気の中心は外国株式ファンド
外国株式ファンドと日本株式ファンドの設定額推移(除くETF)
NTTデータエービックを基にみんかぶ作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
2019年初から2022年8月末までの月間の設定額では、外国株式に投資するファンドが大きく設定額を拡大させた一方で、日本株式に投資するファンドについては、横ばい状態となっており、ここ数年は外国株式に対する個人投資家の注目が高かったことが分かります。
このような個人投資家の判断は、外国株式と日本株式の過去のパフォーマンスや、今後の成長力に対する期待値の差などが背景になっているのかもしれません。しかしながら、日本の株式市場は、バブル期以降の長期停滞相場から脱して新たなステージを迎える局面にあるとも言える ことをご存知でしょうか。
日本株は次の上昇相場でバブル崩壊前高値を超える可能性
野村アセットマネジメントが不定期で出している「福田の視点 」というレポートでは、“長期の調整、円高・デフレスパイラル、金融システム不安を克服することで、日本株市場は停滞から成長への新たなステージに入ったと言えるのではないでしょうか。”と述べられています。同レポートには、2022年8月末時点の日経平均株価のPBR(株価純資産倍率)1.2倍、予想ROE(自己資本利益率)9.0%が今後も継続すると仮定した場合の、日経平均株価のシミュレーションが掲載されており、3年後には史上最高値38,957円の背中が見えてくる水準 が示されています。
楽観的な予測に基づくものではなく、足元のPBRとROEが今後も続くと仮定したシンプルな予測であるだけに信頼度は高い印象があります。
バブル崩壊以降のパフォーマンスで、外国株式の後塵を拝している形の日本株式ですが、当時は割高であった株価水準に向け、長い時間をかけて企業の利益成長などを背景に株価は回復してきており、日本株式市場が、今後新たな成長ステージに向かうのであれば、資産運用において、日本株式ファンド は見逃せない選択肢 と言えます。
運用実績と将来性から「情報エレクトロニクスファンド」に注目
それでは具体的にどんな日本株式ファンドに投資すればいいのでしょう。
どのファンドを選ぶかで、投資成果にも大きな差が出てくるので、ファンド選びは非常に重要です。
過去10年、5年、3年のトータルリターン(分配金再投資)を基に、ファンドを絞り込んでみます。
2022年8月末現在で、10年以上運用実績のある日本株式ファンドは、410ファンドあります(通貨選択型ファンドを除く)。投資環境等によりそれぞれの期間で、運用成績の良いファンドは異なりますが、「情報エレクトロニクスファンド 」 は各期間通して常に上位の運用成績を残しています。
「情報エレクトロニクスファンド」のトータルリターンと順位
期間
トータルリターン
順位
10年
642.26%
4位
5年
78.54%
4位
3年
76.41%
2位
2022年8月末現在(対象ファンドは410ファンド)
「情報エレクトロニクスファンド」の特徴
過去10年のパフォーマンス
2012年8月末を100として指数化
NTTデータエービックを基にみんかぶ作成
ファンドは基準価額(分配金再投資)です。基準価額(分配金再投資)とは、当初設定時より課税前分配金を再投資したものとして計算した価額であり、ファンドの収益率を測るためのものです。したがって、課税条件等によって受益者ごとに収益率は異なります。また、換金時の費用・税金等は考慮しておりません。TOPIX(配当込み)はファンドのベンチマークではありません。
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
「情報エレクトロニクスファンド」の運用実績を市場全体と比較してみると、市場全体が上昇する時期において、より力強く上昇するという特徴が見てとれます。
日本株式市場が、新たな成長ステージに向かう局面においても、好パフォーマンスが期待される ところです。
「情報エレクトロニクスファンド」の投資対象
日本株式の中でも、電気機器、精密機器などエレクトロニクスに関連する企業群や情報ソフトサービス、通信など情報通信に関連する企業群の株式を主な投資対象としています。
企業の成長性や株式の市場性などに留意して銘柄を選定し、分散投資を行ないます。
「情報エレクトロニクスファンド」の投資対象である日本のエレクトロニクス関連企業群は、テクノロジーの変化や外国企業との競争の中で、各分野において高い技術力を有する企業が多く存在しており、今後も、IoTなどテクノロジーの進化が見込まれる中、強い競争力を発揮していくことが期待 されます。
「情報エレクトロニクスファンド」は、2011年4月に運用担当者が交代しており、交代後の運用パフォーマンスが際立っています。
そこで、直接取材して好パフォーマンスの秘訣や今後の見通しをお伺いしました。
インタビューにお答えいただいたのは、チーフ・ポートフォリオマネージャー の福田 泰之 様です。
福田チーフ・ポートフォリオマネージャーに訊く!「情報エレクトロニクスファンド」のポイント
ハイパフォーマンスの秘訣について教えてください。
株価が大きく上昇するには業績が伸びるだけでは不十分で、株価バリュエーションも同時に切り上がってはじめて、大きな株価上昇が実現します。この両方を満たす銘柄とはどういう銘柄か? それは、成熟企業だと思われていた会社が、新規事業、製品、戦略、何らかの変化によって成長企業へと変貌する時 に、両方が切り上がり、その掛け算で株価が何倍にもなる場合があります。 そういう銘柄を発掘していく、そして発掘した銘柄を安易に利食いしたりせず、その成長ストーリーに納得がいくまでとことん付き合う、この投資“戦略 ”が高いリターンを生んできた要因だと考えています。
相場の転換点を見極めて、相場の下落局面では安定企業の割合を増やしながらショックを抑える運用をし、上昇局面では積極的に成長企業の組み入れを増やしています。銘柄選択の際に気を付けていることを教えてください。
大幅上昇銘柄を発掘 し、大幅下落銘柄を回避 する、この2つをいかに両立させるかがパフォーマンスを決めるポイントだと認識しています。先ほどのハイパフォーマンスの秘訣とは逆に、株価が大きく下落するケースというのは、業績の下振れと同時に株価バリュエーションも切り下がってしまう、結果として成長企業だと期待されていた会社が成熟企業に転落してしまうケース です。投資するにあたって、こうした銘柄は何としても避けなければなりません。
長期的にはハイパフォーマンスである一方、直近3ヵ月はマイナスのパフォーマンスになっています。これから購入を検討している方へ、要因と今後の見通しを教えてください。
今年に入り、当ファンドが主な投資対象としている日本の電機セクターの銘柄が下落 していることが大きな要因です。例えば、東証33業種分類の電気機器指数(配当込み)は年初来▲16.6%下落しており、当ファンドの基準価額(分配金再投資)の騰落率▲16.7%とほぼ同等の下落率です(2022年8月末時点) ※ 。
電気機器指数(配当込み)はファンドのベンチマークではありません。電気機器指数は東証業種別株価指数(電気機器)。
長期金利上昇により、PERなど株価バリュエーションの高いIT関連銘柄を中心とした米国の成長株が大きく下落する中で、当ファンドは株価バリュエーションにも配慮したうえで銘柄を選別しており、何とかダメージ・コントロールできると判断していました。実際、米国の成長株を中心とするNASDAQ総合指数が年初来で▲24.5%下落(米ドルベース、2022年8月末時点)したのと比較すると下落率が小さかったことは事実ですが、想定以上に当ファンドもダメージを受けてしまったことは誤算でした。
世界の景気後退を懸念する見方が急速にコンセンサス化しましたが、私は、市場センチメントは悲観に振れ過ぎており、そのコンセンサスとのギャップに投資チャンスを見出しています。 中国のロックダウン(都市封鎖)による一時的な悪影響と景気減速の流れが区別されないまま、景気後退を懸念するセンチメントを形成しているように見えます。当ファンドが上位に組み入れている銘柄を見ても、電子部品株 などを中心に円安メリット を享受でき、PERが10倍前後まで低下している銘柄も多い ことから、中長期目線で投資する良いチャンス だと考えています。
米国では中央銀行の利上げ、金利上昇と共に成長企業株が大幅に下落しました。日本でも今後、似たような環境になる可能性はあるのでしょうか?またその際は安定企業の割合を増やすことで対応できるのでしょうか?
バブルが起きていたとすれば、それは本質的には株式市場(GAFAMなど)ではなく債券市場(長期金利)であったということです。2000年のITバブルの時は「.com」という社名なら何でも買われたくらい株式市場はバブル化していましたが、現在のGAFAM などはファンダメンタルズのしっかりしたエクセレント・カンパニー です。それらが単に割高な水準まで買われたということに過ぎず、いわば株式市場の日常です。 一方、債券市場では、2014年6月のECB(欧州中央銀行)、2016年2月の日銀がマイナス金利政策を導入するなど異常な政策を採用し、金利裁定機能を通じて世界的に金利水準を押し下げることになりました。この異常な政策は長く続けられるものではなく、インフレ圧力の高まりとともに世界中の中央銀行が政策転換を迫られ、債券バブルが終わりを迎えているのです。
それから長期金利上昇で売り込まれた成長企業に、日米間でやや違いがある点も指摘しておきたいと思います。米国はGAFAMに代表されるIT関連企業が下落の中心ですが、日本はリクルートやエムスリーといった安定成長企業であって、必ずしも典型的なインターネット関連企業が中心ではありません。日本の主なインターネット関連企業は国際競争力が強いと言えず、高い株価バリュエーションも付けられていません。
日本の主力のテクノロジー企業は資本財(製造装置)、素材(電子材料)、生産財(電子部品・デバイス) といった製造業中心 であり、これらの企業こそが情報エレクトロニクスファンドの中核的な投資先 となっています。円安メリットを享受できる企業も多く、これらの銘柄群の株価バリュエーションは、バブル化してもいませんでしたし、むしろ株価が連れ安していることで割安感が強まっており、2022年の年末にかけては底打ち反転も期待できると見ています。
最後に、MINKABUユーザーへ一言お願いします!
2022年4月、当ファンドは信託期間の延長を決定いたしました(2024年2月21日から2029年2月21日まで5年延長)。1984年2月22日の設定以来、複数回の延長を経てきましたが、2024年2月には設定40周年の節目を迎えます。
投信先進国・米国と違い、日本の投信業界では新ファンド設定が優先されがちで、長く運用を継続している公募株式投信は非常に数が限られています。当ファンドはその代表的存在であると自負しており、中長期的に良好なリターンを実現していくことで「歴史に裏打ちされた信頼」を実証しつつ、長寿ファンドの気概を示していきたいと意気込んでおります。 今後とも、ご愛顧賜りますよう、よろしくお願いいたします。
野村アセットマネジメント株式会社
チーフ・ポートフォリオマネージャー
福田 泰之(ふくだ やすゆき)
1995年に野村證券投資信託委託(現野村アセットマネジメント)に入社し、造船、重機、運輸の企業調査・分析を担当。
その後、ロンドン現地法人での企業調査・分析や東京本社にて国内の投資信託・年金の運用担当を歴任。 日本株3年、欧米テクノロジー株3年半の調査業務を含め、25年以上にわたる運用調査経験を有し、担当する複数の日本株ファンドで高い運用成績を実現。 外部評価機関からの表彰を数多く受賞している。
「臨機応変」に対応する柔軟さと、チャンスが来た時にはリスクを取って勝負する「メリハリ」をモットーに、変化の激しい市場に真摯に対峙する。
【当資料で使用した市場指数について】
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