【図解】ETF(上場投資信託)ってどんな金融商品?
ETF(上場投資信託)は、「Exchange Trade Fund」の略称で、イメージとしては「投資信託の手軽さ」と「株式の売買のしやすさ」を合わせ持った金融商品です。
「投資信託の仕組み」を理解しておくと、ETFの仕組みや商品性も理解しやすくなるため、まずは投資信託の仕組みを図で理解していきましょう。
投資信託は以下の3つの工程で成り立っている金融商品。
- 投資家が投資信託(運用会社)に資金を投資する
- 資金を集めた運用会社が「国内外の株式や債券」へ投資をして
利益獲得を目指す
- 「生じた運用益」と「配当」を投資家へ分配する
簡単にいえば、「運用のプロに資金を預ける代わりに、利益が出たら僕/私に一部還元してね」という仕組みで成り立っているのが投資信託ということです。
では、肝心のETFの仕組みはどうなっているのでしょうか。答えはとてもシンプル。
東京証券取引所(東証)などの取引所に「上場」している投資信託が「ETF」です。上場させることで「株式と同じように取引できるようにした投資信託」という認識で問題ありません。
ここまでのまとめ
ETFは「上場」して株式と同様に取引できるようになった「投資信託」のこと
【わかりやすく比較】ETFと株式・投資信託との違い
前章でETFは「上場した投資信託」と説明しましたが、株式や投資信託とは何が違うのでしょうか。
特に「ETFと投資信託の違い」は多くの人が気になるポイントだと思います。まずは比較表を見ながらETFとその他金融商品との違いを大まかに理解してみましょう。
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ETF
(上場投資信託) |
投資信託 |
株式 |
取引コスト
(手数料) |
信託報酬(0.1〜0.5%程度) 取引手数料 |
信託報酬(0.5〜3.0%程度) 取引手数料 |
取引手数料 |
価格の
決まり方 |
リアルタイムで更新される |
1日1回基準価額が決められる |
リアルタイムで更新される |
投資対象 |
国内外の株式・債券・不動産など |
国内外の株式・債券・不動産など |
国内外の上場企業 |
売買の
しやすさ |
◎
取引時間中であれば、リアルタイムで売買可能 |
△※1
国内市場へ投資する投資信託→営業日当日の基準価額で約定
海外市場へ投資する投資信託→翌営業日の基準価額で約定 |
◎
取引時間中であれば、リアルタイムで売買可能 |
配当性の
高さ |
◯ |
△ |
◯ |
必要投資資金 |
数万円程度 |
100円〜 |
数万円程度 |
取引コスト
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ETF
(上場投資信託) |
投資信託 |
株式 |
取引コスト
(手数料) |
信託報酬(0.1〜0.5%程度) 取引手数料 |
信託報酬(0.5〜3.0%程度) 取引手数料 |
取引手数料 |
コスト例 |
保有金額が10万円なら1日300円かかる |
保有金額が10万円なら1日1000円かかる |
取引金額が10万円ならSBI証券の定額プランの場合「0円」で取引可能 |
まずは、投資をする上で非常に重要な要素の一つ「取引コスト」による違いを見ていきましょう。
取引の仕方や金額にもよりますが、一般的に取引コストでは以下の不等式が成り立ちます。
株式<ETF<投資信託
今回の主役であるETFは、株式より運用に手間がかかっている分コストがかかりますが、投資信託ほどかからない金融商品になります
- 株式の取引コスト→売買金額によって「固定金額」でコストがかかる
- ETFの取引コスト→株式の売買手数料+投資信託より
割安な信託報酬手数料
- 投資信託の取引コスト→基準価額の◯%など
「変動金額」でコストがかかる
価格の決まり方
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ETF
(上場投資信託) |
投資信託 |
株式 |
価格の
決まり方 |
リアルタイムで更新される |
1日1回基準価額が決められる |
リアルタイムで更新される |
ETF&株式と投資信託の大きな違いの一つが「価格の決まり方」です。
投資信託の場合「基準価額」といって、1日1回だけ価格が決められます。そのためリアルタイムで価格が変動せず、短期売買には不向きの金融商品です。
一方、ETFと株式は「上場」しているため、市場が開いている時間は「リアルタイム」で価格が変動します。
そのため、短期トレードで値幅を狙うこともできます。またETFの場合はインデックス投資として 「長期保有」する目的にも適しているため「バランス」の取れた金融商品ともいえますね。
投資対象
|
ETF
(上場投資信託) |
投資信託 |
株式 |
投資対象 |
国内外の株式・債券・不動産など |
国内外の株式・債券・不動産など |
国内外の上場企業 |
投資対象は、「ETF・投資信託」と「株式」で異なります。
株式の場合、自分でえらんだ上場企業が投資対象になりますが、ETF・投資信託の場合、組み込まれている株式や債券、不動産に「分散投資」していることになります。
売買のしやすさ
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ETF
(上場投資信託) |
投資信託 |
株式 |
売買の
しやすさ |
◎
取引時間中であれば、リアルタイムで売買可能 |
△※1
国内市場へ投資する投資信託→営業日当日の基準価額で約定
海外市場へ投資する投資信託→翌営業日の基準価額で約定 |
◎
取引時間中であれば、リアルタイムで売買可能 |
「売買のしやすさって?」と思うかもしれませんが、ここでは「多様なトレードスタイルに適しているかどうか」だと思ってください。
まず、ひとつだけ△になっている投資信託についてです。投資信託は前述の通り「1日1回しか」価格変動がされないだけでなく、 「約定タイミング」がリアルタイムではない点にも注意が必要です。
投資信託を売却または買付する場合、基準価額がわかる前のタイミングで注文をださなければいけません。つまり「正確な約定価格が予想しづらい」のです。
一方、ETF、株式はリアルタイムで価格が変動しますし、いつ売買注文を出しても「買い手/売り手」が入ればすぐに約定します。 そのため「多様なトレードスタイル」に適しているということができます。
- 投資信託→基本的に中長期向け(レバレッジ型投信などを除く
- ETF・株式→短期〜長期まで幅広いトレードスタイルに適している
配当性の高さ
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ETF
(上場投資信託) |
投資信託 |
株式 |
配当性の高さ |
◯ |
△ |
◯ |
投資の醍醐味のひとつでもある「配当金」についてです。
投資信託の中には「分配金再投資型」もあります。また分配金が受け取れる投信でも純資産から無理やり分配金として配り基準価額を下げてしまうタコ足配当の「元本払戻金(特別分配金)」もあるので注意が必要。
現金として配当を狙う目的に、投資信託はあまり向いていません。自動で分配金を再投資してくれるものは「長期投資」なら強い味方になりますけどね。
株式で高配当銘柄に投資する方法もありますが、投資資金・銘柄選定の観点からも「中上級者向け」と言えるでしょう。
初心者だけど「分配金で毎月ちょっと贅沢してみたい!」と考えている人には「ETF」が1番おすすめです。なぜならETFには「高配当狙いのパッケージ商品」のような銘柄が存在するから。
必要投資資金
|
ETF
(上場投資信託) |
投資信託 |
株式 |
必要投資資金 |
数万円程度 |
100円〜 |
数万円程度 |
必要投資資金のハードルが最も低いのは「投資信託」です。ここがETFと投資信託の最後の大きな違い。投資信託の場合「金額」で買付が可能なので「100円分だけ買ってみたい」などの超少額投資にも対応しています。
一方、ETFの場合は1株(数万円)単位でしか売買できず、株式も基本的に100株単位(単元株)での売買が基本になります。
ETF「最大の魅力」は〇〇×〇〇にあり
ところでETFの最大の魅力って何だと思いますか?インデックスに間接投資できるから?株式と同じように売買ができるから?
本記事における「ETF最大の魅力」は手軽に「分散投資」×「簡単に売買」の両方ができる点だと考えます。
投資信託の場合は、「思ったより利益が出たから売却しよう」と思っても、海外市場に投資する投資信託の場合、約定日が「翌日以降」になってしまい約定タイミングの評価額が下がってしまう可能性があります。
株式の場合は、銘柄選定を間違えると「大きな損失」になってしまいますし、複数銘柄に投資をするとなると数十万円単位のお金が必要になります。
この2つの「歯痒いポイント」を解決してくれるのが「ETF」です。たしかに認知度は株式・投信に劣りますが、歴史がまだ浅い商品なので仕方ない部分でもあります。
ETFはどんな投資家におすすめの商品なのか
それではETFはどんな目的を持つ投資家におすすめの商品なのでしょうか。もちろん、ETFにメリットが多いといえど、目的によって向き不向きはあります。
たとえば、短期的に大きな値上がりを狙いたい(数十%の値上がりなど)場合に、ETFは間違いなく不向きです。
では、どんな目的にぴったりなのか。それは以下のような悩み・目的を持っている人におすすめです。
- 個別銘柄の投資はリスクが高いと感じる
- 銘柄選定が面倒
- 投資信託はすぐに思った価格で売れないのがイマイチ…
- 長期保有を考えているけど利益が乗ったら一旦売却もありだと考えている
- 下落相場でも儲けたいけど信用取引や先物は嫌
上記項目に関して3つ以上当てはまった場合、ETFはあなたにとって有力な投資先になるはずです。
次からは、ETFに興味を持った人向けに「実践的な活用方法」を紹介します。
ETFに投資して「上昇相場・下落相場」を乗り切る方法
投資を続けていると必ずといっていいほど「上昇相場」と「下落相場」を経験することになります。
特に「下落相場」では、株式や投資信託も軒並み下がってしまい「損失が膨らんでいく…」と落胆してしまうケースも多くあります。
しかし、投資信託やETFには、対象指数のパフォーマンスが下がると値上がりする「インバース・ベア型商品」が存在します。
この章では、下落相場でのリスクヘッジ方法も含めて「ETFの活用方法」を紹介します。
【上昇相場編】ETFの活用術
株式市場が上昇トレンドに入っている際は、主要株価指数に連動したETFを活用するのがおすすめ。
主要株価指数の具体例は以下の通り。
- 日経225平均株価
- TOPIX
- ダウ工業平均株価
- S&P500(S&P500種指数)【人気】
- NASDAQ100指数【人気】
- MSCIコクサイ・インデックス etc.
相場が上がっているからといって全銘柄上がるわけではないため、リスク分散を効かせながら「株価指数」に連動したETFに投資する方法が投資初心者には手堅いと思います。
みんかぶETFで「上昇相場に強いETF」を探してみる
【下落相場編】ETFの活用術〜インバースETF〜
次は、お待ちかね「下落相場」の乗り切り方です。
金融引き締めや、世界経済が不況になると「株式」をはじめとしたリスク資産は「値下がり」してしまう傾向にあります。
いくら「長期保有だから今は関係ない!」と思っても、 実際に資産額が減っているのを見ると凹むものです。
そこで、知っておきたいのが「インバース・ベア型ETF」の存在です。
ひとこと解説インバース型ETFとは?
インバース(Inverse) とは「逆の、反対の」という意味で、連動対象としている指数と「逆」の値動きをするように設計されたETFが「インバース型ETF」です。
さらに、単純に逆の値動きをするのではなく「マイナス◯倍」というように「レバレッジ」がかかっていることも特徴のひとつです。
例:日経平均を対象としてインバース型ETFの場合
日経平均が10%値下がりした→インバース型ETFは約10%上昇する
【イメージ図】 NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信のチャート2021年9月~2022年3月
(引用元:https://minkabu.jp/stock/1571/chart)
では、具体的にインバース型ETFをどのように下落相場で活かすのか。活用方法は2つあります。
- 保有銘柄のリスクヘッジとして活用する
- 下落相場で短期の利益追求をする
そこでインバース型ETFの登場です。「これからも保有銘柄も採用されている株価指数も下がりそうだ」と思った場合、インバースETFを同金額程度購入をしておきます。
簡単なシミュレーション例※
保有株・日経平均が共に10%下落した場合
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保有額(評価額) |
評価損益 |
保有銘柄 |
100万円→90万円 |
-10万円 |
インバース型ETF |
100万円→110万円 |
+10万円 |
- インバース型ETFは、正確に対象指数のマイナス◯倍になるわけではないため、 実際の値動きとは多少異なります。あくまで「わかりやすい例」として数値を記載している点にご注意ください。
また、利益追求のためにインバース型ETFを活用する方法もあります。
これから下落相場が続くと思ったタイミングでインバース型ETFを買付ておき、 リバウンド(値上がり)したタイミングで買い増しをして「短期利益」を狙うのも投資方針として”あり”です。
トレンドに合わせて使い分け!業種別ETFに注目
景気循環と循環ごとに上がりやすいセクターがあることを説明したうえで、業種別ETFで景気循環に乗れば利益をうまく取れることを解説。
投資目的に合ったETFの選び方【簡単3STEP】
投資目的に合ったETFの選び方を紹介します。今回は以下3つの目的別にETFの探し方を紹介します。
- 値上がり率を重視する「利益追求目的」
- 定期収入が見込める「高配当目的」
- 下落相場に備えた「リスクヘッジ目的」
値上がり率を重視する「利益追求目的」
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まずはみんかぶETFのトップメニューにある「ETF・ETNの種類から探す」を選択します。
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次に投資を考えているカテゴリー・地域で絞り込みをします。
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最後に「並び変え」を選択して「年間騰落率が高い順」にソートします。すると値上がり率上位のETF/ETN銘柄がチェックできます。
検索結果例
定期収入が見込める「高配当目的」
配当重視の場合でもステップ1,2までは共通です。
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まずはみんかぶETFのトップメニューにある「ETF・ETNの種類から探す」を選択します。
-
次に投資を考えているカテゴリー・地域で絞り込みをします。
-
最後に「並び変え」を選択して今度は「分配金利回りが高い順」にソートします。すると高配当ETF/ETN銘柄がチェックできます。
検索結果例
下落相場に備えた「リスクヘッジ目的」
リスクヘッジ目的の場合は、ETF/ETN検索のところで「インバース商品」を選択します。
すると、インバース型ETFが銘柄番号順に並んで表示されます。
ただ、このままだと連動指数などがバラバラなので「選択条件」を確認して自分が気になっている投資対象に絞り込みをすると便利です。
日経平均のインバース型ETFを探している場合
気になるETFを見つけたら...?
最後に、ETF個別銘柄の確認方法を紹介します。
気になるETFを見つけたら、個別銘柄の詳細を確認してみましょう。「みんかぶETF」で検索した後、検索結果の銘柄名をクリックすると、個別銘柄ページを見ることができます。
あわせて、証券会社のサイトで購入条件などを確認しておくのもおすすめです。個別銘柄ページから証券会社のサイトへ簡単に遷移することができるので、情報収集の一環として見てみましょう。
また、上記の証券会社サイトから、みんかぶETFに遷移された方は、ボタンに証券会社名が自動的に表示され、ワンクリックで証券会社の銘柄情報ページを確認できるようになっています。
例:SBI証券をお使いの方
まとめ
今回はETFの基礎知識から、他商品との違い、ETFの実践的な活用方法まで網羅的に説明をしてきました。
ETFは、初心者が中級者にレベルアップするために「とてもおすすめ」の金融商品です。まずは、フィルターをかけずにどんなETFがあるのか「みんかぶETF」で探してみてはいかがでしょうか。
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