長期運用に適しているのはどっち!? 「USA360」VS「USAトレプラ」

インタビュー
配信元:NTTデータエービック
投稿:2021/11/09 16:00
長期運用に適しているのはどっち!? 「USA360」VS「USAトレプラ」

運用期間中のマーケット下落に備えるファンド


昨年のコロナショックの後、株式市場は内外ともに、順調に上昇していますが、今後の経済動向によっては、調整局面入りすることも考えらます。

資産形成を目的とした運用では、投資環境の変化に関わらず、長期運用することが大切です。調整局面でもより安定的な運用を目指したいところです。

 

米国株式市場の長期の成長を捉える運用をしつつ、運用期間中のマーケットが下落する局面への備えを持つファンドとして2019年11月に「楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)」を取材し、紹介しました。
「USA360」インタビュー記事(2019年11月)


USA360」は、米国株式と異なる特性をもつ米国国債先物の組み合わせることで、投資環境の変化に対して運用資産の安定化を図っています。
USA360」は、特性の異なる資産クラスに分散投資するバランスファンドです。
但し、現在の金利水準では、株式と債券の組み合わせで、運用資産の安定化を図るためには、リターンの相当部分を犠牲にしなければなりません。
そんな問題の解決策として、レバレッジを効かして運用をしているのが、「USA360」の特徴です。

 

2021年4月には、「USA360」と同じ楽天投信投資顧問によって「楽天・米国株式トレンドプラス・ファンド(USAトレプラ)」が設定されました。
販売用資料等によると、「USAトレプラ」の特徴は、米国の株式の中長期的な成長を享受しながら、想定外のマーケットの急落に対する備えを併せ持つ。とのことです。
目指しているところは「USA360」と同じように思われますが、株式と組み合わせる部分が異なります。
USA360」は株式と米国国債先物取引の組み合わせですが、「USAトレプラ」は、米国株式と「日中トレンド戦略」の組み合わせです。それによって、商品性(価格特性)がどう違ってくるのでしょうか?
運用会社である楽天投信投資顧問様に、
1.「USAトレプラ」の設定の背景
2.「日中トレンド戦略」について
3.「USA360」と「USAトレプラ」の違い

をお伺いしたうえで、「USA360」と「USAトレプラ」どちらが良いのか?どの様な投資スタンスが適しているのか、または適していないのか?を考えてみたいと思います。


インタビューにお答えいただいたのは、楽天投信投資顧問株式会社 第一運用部長 竹林威志様です。

 


米国株式を長期でお持ちいただくために「金利」とは別のクッション効果を探す


-「楽天・米国株式トレンドプラス・ファンド(USAトレプラ)」の設定経緯は?
USA360」は、米国株に長く投資をしていただく手段として、米国株式に90%に加えて、その3倍の270%を米国国債先物に投資することによって、「金利」を株式市場下落時のクッションとして活用しています。
しかしながら、常に「金利」が株式下落のクッションになるかというと、そうでない局面もあり得ますので、「金利」とは性格の異なるクッション効果が期待できる投資対象を探していました。
コモディティや様々な投資戦略などの特性を調べていく中で、候補として浮かび上がったのが「日中トレンド戦略」です。
まず下のチャートをご覧ください。

「日中トレンド戦略」と米国株式の過去の推移を見ると、市場が混乱し、株式が大きく下落する局面の多くで、日中トレンド戦略が利益を上げていることが分かります。
一方で、市場が安定していて、「日中トレンド戦略」の利益が上がりにくい時期は、米国株式は堅調に推移しています。
米国株式市場と「日中トレンド戦略」は、ともに長期的にプラスのリターンが期待できることに加えて、お互いを補完する関係にあると考えられます。
それならば、その二つを100%ずつ合わせると、米国株式を長期で安心してお持ちいただけるようになるのではないかと考え「USAトレプラ」の設定に至りました。

楽天・米国株式トレンドプラス・ファンド(USAトレプラ)」は、米国株式市場の長期成長トレンドを捉えることを目的として純資産総額の100%程度相当となる株価指数先物を実質的に保有します。併せて米国株式市場の日中トレンドを捉えることによる収益獲得を目指して、株価指数関連取引を活用します。

 

大きな下落相場で、収益獲得が期待される戦略


-「日中トレンド戦略」とは?
「日中トレンド戦略」は、対象株価指数*の前日の引け値に対して、一定の閾値(例えば、プラス0.5%或いはマイナス0.5%など)を超えると、ポジションを取りに行くというシンプルな形をとります。原則、判定は1日4回で、買い建てまたは売り立てのポジションを構築し、そのポジションは取引終了時点ではすべて解消します。日中トレンド戦略部分はオーバーナイトのポジションは保有しません。
また、前日の引け値に対してトレンドが出ない日は、ポジションの構築はしません。
*対象株価指数=S&P500指数

 対象株価指数の1日の値動きが概ね右肩上がりとなり、引けにかけて 上昇する場合や、概ね右肩下がりとなり、引けにかけて下落する場合 などに、利益の発生が期待されます。
一方で、一旦上昇した後、引けにかけて下落する場合や、 一旦下落した後、引けにかけて上昇する場合などに、損失の発生が 見込まれます。
「日中トレンド戦略」は、市場の上昇・下落に関わらず、寄り付きから引けまでの日中、市場の方向性(トレンド)が継続すると、利益が出やすく、継続しないと損失となる可能性がある投資戦略といえます。

 

市場が大きく動くときは、日中のトレンドが継続しやすい傾向が見られます。
要因としては、市場参加者が動揺して、安値で売却する「狼狽売り」などの投資行動など市場心理的なものに加えて、インデックスファンドやブル・ベア型ファンドの増加など近年、見られる市場特性があると考えられます。
インデックスファンドは、インデックスとの連動性を維持するために、引けにかけて取引をする必要があると考えられますし、ブル・ベア型ファンドのようにレバレッジをかけたファンドも、投資家からの注文や株式市場の変動を受け、引けにかけて順張りのポジション調整をする必要性が生じ安いと考えられます。また、CTAに代表されるトレンド追随型のヘッジファンドや、リスクパリティと呼ばれるファンドも、そのファンドの性格上、トレンドを加速させる傾向があると言われています。

 

「日中トレンド戦略」の推移(シミュレーション)をもう一度ご覧ください。
2007年の世界金融危機(リーマンショック)と2020年のコロナショック時では、株式市場の下落をカバーするほどのリターンを上げています。


目的は同じでも異なる機能を持つ「USA360」と「USAトレプラ」


-「USA360」と「USAトレプラ」の違いは?
両ファンドとも、長期で米国株式にご投資いただくための追加の機能を持っている点では同じです。
追加の機能部分は、「USA360」は米国国債先物であり、「USAトレプラ」は、「日中トレンド戦略」です。従って、両ファンドの違いは、概ね米国国債先物市場と「日中トレンド戦略」の特性の違いとなります。

 

過去の株式の調整局面で、どの様な違いが出たかをシミュレーションから確認しておきましょう。

 

2000年のITバブル崩壊ですが、「USA360」は、債券先物市場が、利下げ効果もあり堅調に推移し、株式の下落をカバーする結果となりました。一方、「日中トレンド戦略」は、十分な利益を上げることが出来ず、株式下落のクッション効果は限定的なものにとどまりました。
【ITバブル崩壊】

 

2008年の世界金融機(リーマンショック)では、株式が大幅に下げる一方で、金融緩和が積極的に実施されました。「USA360」は、マイナスになったものの、債券先物部分のクッション効果により、その下げ幅は抑制されています。「USAトレプラ」は、株式市場が大きく動いたことで、日中のトレンドが頻繁に発生した結果、「日中トレンド戦略」のリターンが高まり、株式の下落を十分にカバーしています。
【世界金融危機】

 

2020年のコロナショック時も同様に、「USA360」は、株式の下落を低減する効果、「USAトレプラ」は、株式の下落をカバーする成果を残しました。
【コロナショック】
 


比較的安定したクッション効果が期待できるのが、「USA360、発生確率は少ないけれど、大きく市場が変動する局面、いわゆるテールリスクが発生する局面で、その効果を期待できるのが「USAトレプラといえるでしょう。

 

-どちらが良いとは言い切れない?
どちらも米国株式を長期で安心してお持ち頂ける仕組みをご提供したい、との想いで設定したファンドです。どちらが良い、ではなく株式市場の下落時に、期待できるクッション効果が異なっていることがポイントです。長期の運用期間中の“安全装置”として、異なる性格のクッションを併せて持つことをご検討いただければと思います。

 

 


「USA360」と「USAトレプラ」は、「OR」ではなく「AND」の投資スタンスで


取材前は、「USA360」と「USAトレプラ」、これから投資するならどちらが良いか、を考える予定でした。しかし、設定の経緯やファンド特性から分かったことは、「USA360」か「USAトレプラ」ではなく、「USA360」と「USAトレプラ」という投資スタンスが適しているということです。


一言に、株式市場の下落局面といっても、下落幅、回復までの期間は様々です。これは、株式市場がどの様な背景や要因で下落局面入りしたかによります。
今後、株式市場が調整局面入りする場合、どの様な要因で、どのような相場展開となるか、現時点では分からないことから、やはり備えは複数、持っておいたほうが、より安心して長期投資が可能となるでしょう。
旅行の際、降雨に備えてカバンに折り畳みの傘を入れておくと安心です。しかし、昨今、見られるゲリラ豪雨に遭遇すると折り畳みの傘だけでは、凌ぎきるのは難しいかもしれません。折り畳みの傘と携帯用の雨合羽をカバンに入れておくと、さらに安心感が増す・・・といった感じでしょうか?

 

これから投資するなら、「USA360」と「USAトレプラ」に分散投資することで、株式下落時に対する備えを複数持つことになります。
一方、既に「USA360」を保有している人は、慌てて一部を解約して「USAトレプラ」に乗り換える必要性は低いように思われます。比較的安定したクッション効果が期待できる「USA360」は継続保有して、今後の資金を追加する際の候補として「USAトレプラ」を検討し、結果としてクッション効果の分散を図るのが良いでしょう。

 

「USAトレプラ」に投資する際の注意点


株式市場の下落局面で、逆に利益を上げた投資戦略が注目され、新しくファンドが設定されるケースがあります。しかし、下落局面で有効であった投資戦略は、株式市場が落ち着きを取り戻すと、投資成果が芳しくなく、期待外れとなってしまうケースがよくあります。結局、その投資戦略が効果を発揮する頃には、ファンドは解約されてしまい残高がほとんど残っていないことになりがちです。
USAトレプラ」の「日中トレンド戦略」は、コロナショックとその回復局面で、大きなリターンを上げた投資戦略です。しかし、足元の落ち着いた市場環境においては、日中トレンドが継続しない、利益に繋がらない状況となっているようです。
USAトレプラ」は、米国株式の中長期的な成長を享受しながら、想定外のマーケットの急落に対する備えを持つファンドです。想定外の事態は、滅多にやってくるものではなく、それまで期間、急落に対する備えは無駄のように感じることが多いかもしれません。しかし、想定外の事態は予測不可能であり、起こると損失は大きなものになります。投資に際しては、一時的な運用成果で判断するのではなく、あくまで運用期間中の急落に対する“安全装置付きファンド”であるという特徴を忘れないでおきたいものです。

 

「楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)」について詳しくはこちら

 

「楽天・米国株式トレンドプラス・ファンド(USAトレプラ)」について詳しくはこちら

 

 

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NTTデータエービック (エヌティーティーデータエービック)

投資信託の評価機関として蓄積した各種データをもとに、みんかぶ投信のニュースやレポート、コラムを執筆しています。また、投信会社を訪問し、話題の投資信託等のインタビュー記事など投資に役立つコンテンツを提供しています。


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