インフレとは物価水準が上昇してお金の価値が目減りする現象
インフレーションとは、モノやサービスの価格が持続的に上昇する現象です。
ここでいうモノやサービスの価格は物価と言い換えられます。
物価が上昇すると、以前に購入したときよりも多くのお金を払わないと同じモノやサービスを購入できなくなります。
例えば「(インフレ下で)3年前まで1000円で購入できていたモノが1500円になった」という場合、購入したモノが3年前とまったく同一であれば
・インフレによって3年間で価格が1.5倍に上昇した
・インフレによって物価が上昇し、1.5倍のお金を払わないと同じものが購入できなくなった
と言えます。
さらにインフレは次のような形でも現れます。
商品価格100円のチョコレートAは、商品価格は5年間変わっていないが、5年をかけて進行したインフレの影響を受けて、最近10粒入りが8粒入りに変更された。
この場合、1粒あたりの価格はインフレによって25%も上昇しているのですが、一見しただけでは分かりづらいため、消費者の多くは値上げに気付かずに購入してしまいます。こうした実質的な値上げは、レーダーに探知されにくい軍事技術になぞらえて「ステルス値上げ」と呼ばれています。
インフレが続くと、手元にある現金や低金利のままの預貯金の価値は目減りしていきます。
たとえ緩やかなインフレであったとしても、20年後、30年後には現在の価値に換算すると半分程度の価値になっていることがあるため(下表)、老後資金を考えて資産形成をしている人は注意が必要です。

※小数点以下は四捨五入
インフレに強い資産は「有価証券」「現物資産」「外貨」
それではインフレには、どのように対処すればよいのでしょうか。
基本的な対策は、現金を他の資産に変えて保有すること。現金以外の資産の価値は普通はインフレとともに上昇するため、インフレの影響(お金の価値の目減り)を防げるのです。
ただし、どのような資産でもよいわけではありません。資産には、インフレに強いものと弱いものがありますから、現金をインフレに強い資産に変えて保有することが重要です。
インフレに強い資産として、以下の3つが挙げられます。
有価証券

最初に挙げられるのが株式をはじめとする有価証券です。
インフレは、企業の売り上げや利益を押し上げる要因です。したがって中長期的に見れば、インフレの進行とともに株価も上昇すると考えられます。つまり、株式に投資しておけば、インフレでも資産価値は目減りしない可能性があります。
ただし、全銘柄の株価が同じように上昇するわけではありません。個別の銘柄の値動きを予想できない場合は、インデックス型の投資信託を購入するとよいでしょう。
インデックス型の投資信託やインデックス運用方針の説明について掲載されている「投資信託の種類と特徴」もぜひ参考として読んでみてください。
現物資産

現物資産の代表例は不動産や金地金です。
現物資産がインフレに強い理由は、モノ自体に価値があるから。価値が極端に下がることは考えにくいため、インフレに強いといえます。
また、市場では上記のような共通認識があるため、現物資産は先行きを予想しにくい状況で買われる傾向があります。従ってインフレ下では価格の上昇が期待できます。
外貨

外貨もインフレに強い資産と考えられています。
インフレで日本円の価値が下落すると、米ドルやユーロなどの外貨の価値が相対的に上昇するからです。
従って外貨で資産を保有しておけば、日本円の価値が下落しても資産全体の価値を維持できる可能性があります。
インフレに備えたポートフォリオ形成の考え方
複数の保有資産の組み合わせをポートフォリオといいます。
ポートフォリオについては「アセットアロケーション、ポートフォリオとは? 投信用語をわかりやすく解説」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
インフレが本格化する時代は、インフレに強いとされる複数の資産を組み合わせて保有することがお勧め。特徴の異なる資産を組み合わせると安定した運用を行いやすくなります。

ただし実際に運用する際は自分が許容できるリスクを考えることが重要です。
インフレに強いとされる株式は、基本的にハイリスク・ハイリターンに分類される金融商品です。不動産や金地金も、リスクの高いグループに分類できるでしょう。
インフレに強いという理由だけで、全資産を株式や不動産、金地金に投資するとリスクが大きくなってしまいます。
インフレに備えるため株式や現物資産の保有比率を高めることは重要なのですが、自身の許容できるリスクに合ったポートフォリオを考えなければいけません。
安定した資産運用を心がけるためには、インフレに強いかどうかだけでなく、各資産の特徴に注目することが必要です。
例えば「個別株」はハイリスク・ハイリターンですが、「インデックス型投資信託」を選ぶと(同じように株式市場に投資しても)リスクを低減することができます。
また「有価証券」「現物資産」「外貨」など特徴の異なる資産を組み合わせると(値動きが異なるため)安定した運用を行いやすくなります。
まとめ
インフレとは「モノやサービスの価格(物価)が持続的に上昇する現象」です。
物価が上昇することはお金の価値が下がるということでもありますから、お金はなるべく他の資産に変えて保有するようにしましょう。
ただしお金以外にもインフレに弱い資産はありますから、資産運用は「インフレに強い資産」を選ばなければいけません。インフレに強い資産の代表例は「有価証券」「現物資産」「外貨」の3つです。
そして実際にインフレに備えたポートフォリオを考える際のポイントは、まず「特徴の異なる資産を組み合わせ、安定した運用をすること」。次に「自分が許容できるリスクを明確にして、それに合わせて資産の種類や比率を決定すること」です。
これからはインフレに強い資産を選んで、自分のライフプランやリスク許容度などに合わせたポートフォリオを形成し、物価高騰に備えるようにしましょう。
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