長期投資のすすめ4~お金を国に「貸す」投資~

前回は会社にお金を貸す方法として社債について取り上げました。私たちと同じように会社もお金を借りてビジネスをしています。そして規模が大きくなると信用金庫や銀行からの融資だけではなく、債券を発行している場合があります。おさらいになりますが、債券は売買することが可能です。なので、私たちがそれを購入することで、会社に融資をすることができるようになります。あまりピンとこないかもしれませんが、国も同じように借金をしています。会社の発行する債券は社債。国の場合は国債といいます。そして、この国債の利回りに、社債などの基準となる長期金利があります。2020年10月23日現在の主要先進国の金利はこちらです。
出所:Refinitiv
日本は金利が低い国ですが、なんとドイツやフランスのようにマイナスの国もあります。なぜお金を借りるのに利息を払わなくてよいのでしょうか?個人で借金をすると考えられない話ですね。お金を借りる側の視点だと理解しにくいかもしれませんが、逆の立場で考えてみましょう。債券は売買することが可能です。つまり値段がついており、ゼロ金利やマイナス金利で購入しても、債券価格が値上がりすれば、プラスになるのです。将来的に今よりも、もっと値段が上がり、金利が下がると考えている投資家が購入しているのです。
信用と金利
社債と同じように、国も信用によって、借金する際の条件、国債の利回りが変わってきます。とくにヨーロッパでは通貨がユーロで統合されいますので、為替を気にせずにイタリアの投資家がドイツ国債やフランス国債を買うことができます。債券とは借金の証書のようなものです。つまり、ちゃんとお金を返せるかな?というポイントが重要です。国の財政収支がそこまで悪くないフランスや健全なドイツの財政事情は、イタリアやギリシャやスペインからすると非常に信頼できるといえるでしょう。「ギリシャショック」という言葉をご存じの方もいるかもしれません。もし約束の日が近づいて来た時、「お金を返すのを予定よりも待ってください」、「利子部分が払えません」等と言われると、貸す側は不安でお金を引き上げてしまうでしょう。すると債券の価格がどんどん下がって金利は上昇していきます。一見すると高金利の新興国にお金を貸すのはお得な気がしますが、このような不安要素があるのです。
自分の住んでいる国、その財務省が発行する債券はとても信用度が高いと考えることができると思います。その金利を基準にして、国よりも信用度が下がる会社の金利が決まっていきます。国より会社、会社より個人の信用方が低いですね。なので、ゼロ金利で国が借金をできたとしても、信用の差によって、私たちが個人でクレジットカード会社や銀行などから借金をすると、相対的に金利が高くなってしまうのです。
会社や国にお金を貸す方法である債券について紹介してきましたが、次回は一つの国よりも、より広い概念であるヨーロッパや世界などにお金を貸す方法について取り上げてみたいと思います。
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配信元:ミンカブ・ジ・インフォノイド
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みんかぶ編集室 (ミンカブヘンシュウシツ)
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