海運 グローバル物流の中核担う

海を利用して貨物を輸送する海運は、グローバル物流の中核を担っている。一度に大量の貨物を運ぶことができるため、他の輸送手段と比べても重量当たりの輸送コストが格段に低い点が強みだ。今なお収束の兆しが見えない新型コロナウイルスによって、世界経済は多大なデメリットを被ったが、海運はむしろ収益面で構造的なプラス変化が生じた。
巣ごもり需要でコンテナ運賃高騰
コロナ禍においてリモートワークやオンライン授業・講演・イベントといった新たなビジネスカテゴリーが開拓され、人々の生活形態の変化が家具やパソコンなどの巣ごもり需要を喚起した。これによってコンテナ輸送量は大きく増加することになったが、同時期に人手不足によって港湾機能が低下したこともあり、コンテナ船運賃の高騰につながった。
これを背景に、今年度(22年3月期)は海運業界に空前の利益がもたらされ、日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)の大手3社は業績の高変化に連動して株価も大きく変貌を遂げている。また、鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船運賃も足もとで回復傾向を強めており、引き続き海運セクターの収益環境に吹く追い風は強い。こうしたなか、各社はLNG船へのシフトなど脱炭素化に向けた取り組みにも余念がない。
ただ、中期的には海運市況が軟化する可能性も否定できない。コンテナ船の新船の発注が相次いだことで、船腹過剰に対する懸念や、米中摩擦の激化による影響も警戒される。PERや配当利回りなどの指標面では依然として超割安圏に位置しているものの、海運大手3社の株価は9月下旬に高値をつけた後、揃って下値を試す展開を余儀なくされた。ここからは、来年度(23年3月期)の業績見通しを織り込みに行く展開が予想される。海運株に対しては強弱観が対立しやすく、今後もその動向に投資家の熱い視線が注がれることになりそうだ。
物流関連ファンドとは
投資信託の中で、物流関連のファンドとしては、アジア・スマートロジスティクスファンド(三井住友DS)がある。このファンドの運用方針は、日本を除くアジア・オセアニア各国・地域のロジスティクスビジネスにおけるイノベーションに関連し、成長が期待できる企業の株式に投資を行うというものだ。ロジスティクス(物流)のほか、eコマース(電子商取引)、自動化等に関連する企業を含めて、ロジスティクスビジネスにおけるイノベーションに関連し、成長が期待できる企業を「スマートロジスティクス関連企業」とし、その株式に投資を行う。大手ネット証券を含め17の金融機関で取り扱われている。
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配信元:ミンカブ・ジ・インフォノイド
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順位 | ファンド名 | 運用会社 | レーティング(1年) |
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1 | アジア・スマートロジスティクスファンド | 三井住友DS |
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みんかぶ編集室 (ミンカブヘンシュウシツ)
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