みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます
広告非表示の他にも、みんかぶプレミアム会員だけのお得なサービスが盛りだくさん!
みんかぶプレミアムとは「時代が求めた新たな評価軸」
「生」を一つの線とすれば、それは無数の点から成り立っている。その点はどれも決して内容の無いからっぽのものではなく、うちに無限の出来事を有している。そして、点の中には他の点に対し、また線である「生」そのものに対して反応し影響を与える大きな点があるのだが、それを「機」と呼ぶのだそうだ。個人の生活も、商売も、政治も皆、「機」によって盛衰する。
筆者の人生の「機」の一つは、「投資信託」にあったと言っても過言ではあるまい。投信のファンドマネージャーを務め、投信の評価会社を立ち上げた。また、初めてテレビに出演したり、雑誌に掲載されたりした機会は、すべて投資信託にあった。そんな筆者が、投信の評価について筆を執る機会を得た。このこと自体、自分の半生を書き記すようなものなのだが、我慢してお付き合いただければと思う。
今回は「なぜ投信の評価が注目されるようになったのか」ということについて、時代背景を含めて書いてみたい。第2回は「ブルームバーグやリッパーでの苦労話」を書きたいと思っている。金融情報会社のブルームバーグは投信の評価機関でもある。その評価機関としての申請から評価方法、そして投信に係わる情報画面の構成までをほぼ一人で担当した。また、ロイターのグループ会社の一つにリッパーという投信の評価会社がある。このリッパーが発表した第1回の投信アワードの選定にも大きく関わった。そして、最後の第3回では投信の評価において中心的な役割を果たす「シャープレシオ(シャープの測度)」について、わかりやすく解説するとともに、見落とされがちなその欠点も指摘しておきたいと思う。
さて、1990年というのは、金融界で働いている者にとって決して忘れることのできない年である。バブルの崩壊が始まった年だからだ。1989年の年末に日経平均株価が3万8915円という史上最高値を記録した日からわずか4ヵ月で1万円以上の下落を記録。そして、10ヵ月後には約半分の2万円を割り込む事態となった。しかし、これはまだ、長い暗黒のトンネルの入口での出来事だった。
投信業界に激震が走ったのは、それから間もなくのことである。それまでは、どんなにマーケットが乱高下しようが、償還を迎えるファンドでマイナスのパフォーマンスを出したことがなかったのだが、バブル崩壊の大暴落によりマイナスで償還するファンドが現れたのである。当然、ファンドマネージャーや運用会社はもちろんのこと、業界に対する投資家の視線は厳しさを増してくる。
それまでのファンドマネージャーに対する評価というのはいたって簡単なモノであった。まずは絶対評価。どれだけプラスの成績で運用できたか、というものだ。1990年以前であれば、これだけでも良かったのかもしれない。しかし、相場の低迷により思うような成績が収められなくなると、次に持ち出してきたのが相対評価である。これは、株価指標(ベンチマーク)との対比で評価をする。例えば、TOPIXが10%下落したにもかかわらず、当該ファンドは5%の下落で踏みとどまった、という具合だ。だが、毎回ベンチマークをアウトパフォームできるわけでもない。そこで、次に持ち出したのが他社比較である。パフォーマンスはマイナス、ベンチマークにも負けている、でも他社のファンドと比べると業界で3番である、というように。しかし、このような前近代的な評価を、この後に訪れる「投信の時代」は求めてはいなかったのだ。
もともと投信を販売していたのは証券会社だけであった。ところが、1990年以降、投信を販売する機関が拡大していく。中でも、大きな影響を与えたのが1998年12月からスタートした銀行の窓販である。銀行が価格の変動する金融商品の販売に踏み出したのだ。ご存知だとは思うが、投信の販売会社には販売手数料と信託報酬が支払われる。
ここで注目すべきは1998年という時期である。なぜなら、「2000年問題」が待ち構えていたからだ。この「2000年問題」は、コンピューターの2000年問題ではない。1990年前後の利回りの高かった郵便局定額預金の10年の満期が到来する、という2000年問題だ。2000年以降、2年間で100兆円を超える定額預金が満期を迎え、次の行き先を探すことになる。こんな美味しい話を黙ってやり過ごすわけがない。そこで、目に留まったのが投信なのである。投信には株式型もあれば債券型もある。投資家のリスク選好に合わせてファンドを提供できる。こうして金融界挙げての投信ブームがやってきたのだ。
と同時に、自分たちが販売する投信に対する客観的な評価が必要になってきた。しかも、日々売買できる追加型の投信というのは、上場している会社よりもその数は多い。2017年11月現在でもおよそ6000ファンドある。これだけあるファンドの中で、どのファンドが良いのか、公平で、かつわかりやすい評価が求められた。こうして1990年代後半に投信の評価機関が産声を上げ始めることになる。
川口 一晃(かわぐち かずあき)
ブルームバーグL.P、プルデンシャルFA証券などを経て、2004年に「オフィスKAZ」代表取締役に就任。銀行系証券会社で11年間ファンドマネージャーを務めた後、ブルームバーグL.Pでは、アプリケーションスペシャリストとして投信の評価システムを開発し、ブルームバーグL.Pを投信の評価機関にする。現在、テレビ・ラジオ出演、雑誌・書籍への執筆、講演など幅広く活躍。
配信元:みんかぶ
みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます
広告非表示の他にも、みんかぶプレミアム会員だけのお得なサービスが盛りだくさん!
みんかぶプレミアムとはファンド名 | 基準価額 (前日比) |
|
---|---|---|
1
位
|
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
33,890円
-54円
|
2
位
|
インベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(世界のベスト) |
9,401円
-8円
|
3
位
|
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) |
27,499円
-51円
|
4
位
|
iFreeNEXT FANG+インデックス |
71,385円
-113円
|
5
位
|
netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし) |
40,056円
-65円
|
みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます
広告非表示の他にも、みんかぶプレミアム会員だけのお得なサービスが盛りだくさん!
みんかぶプレミアムとは