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みんかぶプレミアムとは投資信託のトリセツとして、「ひふみプラス」の交付目論見書を取り上げ、今回で7回目になるが、その「ひふみプラス」の交付目論見書が6月20日付で更新されている。
今後のご購入の際には、この6月20日使用開始の交付目論見書を閲覧されたい。
直近の新型コロナウィルスによる相場環境の変化にも触れられている。個人的には、色が明るくなり、表紙もスッキリした印象を受ける。
さて今回は、「ファンドの特色」のうち、「特色2」を見ていこう。
「ひふみプラス」交付目論見書 特色2
「特色2」には、「株式の組入比率は変化します。」とある。
そのすぐ下の図を見ると、株式の組入比率が100%の時もあれば、株式だけでなく現金を組入れる場合もあることが示されている。
まず「組入比率」から説明しよう。
「ひふみプラス」に集まる投資家のオカネは、初めは全て現金である。
投資家は金融機関に現金を持ち込んで、またはオンラインで現金を振り込むなどにより、「ひふみプラス」というファンドを購入する。
その現金は、「受託銀行」の「ひふみプラス」専用の口座に入金される。そして「運用会社」であるレオス・キャピタルワークスは、その口座にある現金で、株式や債券などへの投資を開始する。
「ひふみプラス」の場合は、直接株式に投資するのではなく、「ひふみ投信マザーファンド」に投資することになる。
ファンドが設立された当初、「運用会社」が実際に投資を始めるまでは、そのファンドの専用口座は、現金100%、株式0%という状態にある。
そして、投資を始めて、その現金を全て株式の購入に充てた場合、ファンドの口座を見ると、株式の比率が100%、現金は0%になっている。
このように、ファンドの中の株式や債券、現金などの比率のことを、組入比率と言う。
「ひふみプラス」の場合は、「ひふみ投信マザーファンド」に投資するので、信託財産の構成を見ると、「ひふみ投信マザーファンド」の組入比率が表示される。
しかし、その「ひふみ投信マザーファンド」は株式に投資しているので、間接的に「ひふみプラス」も株式に投資していることになる。
そして「ひふみプラス」の株式の組入比率という場合は、この「ひふみ投信マザーファンド」における株式の組入比率が関係してくるのである。
少しややこしくなるが、この部分を説明しておこう。
例えば、「ひふみプラス」が、「ひふみ投信マザーファンド」を仮に99%組入れているとしよう。そして、「ひふみ投信マザーファンド」では、株式の組入比率が90%だったとする。
この場合、「ひふみプラス」における株式の実質的な組入比率は、99%×90%=89.1%ということになるのである。
マザーファンドに投資するベビーファンドの、株式などの組入比率を見る場合は、このようにして実質的な組入比率を計算することになる。
そして、この「ひふみプラス」は、その株式の組入比率が「変化します」とある。それはどういう場合か。
図には、「状況に応じて株式の組入比率が変化」とある。
そして図の下の「例えば」以下に、その「状況」についての例が書かれている。
この部分はお読みいただきければお分かりいただけると思う。
ただ、この文中には「ポートフォリオ」という聞きなれない用語が出てくる。この用語の説明は必要だろう。
「ポートフォリオ」は、英語で「紙鋏み」とか「書類カバン」という意味で使われる単語で、もともとはイタリア語を語源とするようだ。
しかし、金融や投資に関連して「ポートフォリオ」という用語を使う場合、通常は「(金融商品の)組合せ」や「(金融商品の)構成」という意味で使われることが多い。
例えば、「私の株式のポートフォリオは全部で10銘柄、そのうち銘柄Aが15%で一番多く、銘柄Gは一番少なくて5%しか保有していない」とか、「父の資産のポートフォリオは、不動産50%、株式と債券が20%ずつ、そして定期預金が10%だ」、というように使われる。
ここでは、「ポートフォリオに占める株式比率」という使い方がされているので、「ポートフォリオ」は、「ひふみプラス」の信託財産全体のことを指して使われているように見える。
つまり「ファンド全体に占める株式の比率」と言い換えても通じるだろう。
もう一つ、(注)の2行目について説明しておこう。「証券投資信託は」で始まる一文である。
ここは法律用語の説明になるので、少し小難しくなるが我慢してほしい。
まず「証券投資信託」だが、この用語は「投資信託及び投資法人に関する法律」の「第2条4項」に、「主として有価証券に対する投資として運用することを目的とするもの」と定められている。
条文は分かりにくいかもしれないが、一般的に投資信託というと、この「証券投資信託」のことをいう場合が多いと考えていいだろう。
次に、「法令上」以下の文であるが、これは「投資信託及び投資法人に関する法律施行令」の「第6条」に定められているものである。
分かりやすく言い換えると、証券投資信託は、「主として有価証券に対する投資として運用する」のだから、「主として」という以上は、ファンド全体の50%超の部分には有価証券を組入れるようにしなさい、というものだ。
つまり、一般的に投資信託という金融商品は、株式や債券などの有価証券を50%超、組入れる金融商品ということになる。ただ例外も認められていて、ファンドの運用を開始した時やファンドの運用を終える時などは、50%以下でも問題ないとされている。
さて、このページの真ん中にある■の部分、「ひふみ投信マザーファンドの時価総額別構成比率の推移」というところに移ろう。
繰り返しになるが、「ひふみプラス」は「ひふみ投信マザーファンド」に投資しているベビーファンドである。そのため、実際の株式への投資は、「ひふみ投信マザーファンド」で行っている。
そのマザーファンドに組入れている株式を、時価総額の規模という基準で分けた場合の、構成比率の推移がグラフで表されているのである。
時価総額とは、上場企業が発行している株式の総数に株価を乗じた金額である。
発行済株式数×株価=時価総額ということであり、企業の規模を示すものとされている。
そして、このグラフの下には、「ひふみプラス」における規模別の定義が記載されている。
このグラフを見ると、運用が始まった2012年5月頃の「大型株」の比率は概ね20%程度だった。
しかし、直近は30%前後の組入比率となっている。また2017年頃から、海外株の組入を始めたことも見てとれるだろう。
そして、直近では新型コロナウィルス感染拡大に伴う不確実性リスクに備え、現金比率を最大で30%近くまで引き上げたことが分かる。
このグラフは、あくまでマザーファドの総額を100%とした場合の比率の推移であり、マザーファンド自体の規模の推移を表しているものではないことに注意が必要だ。
調べてみると、2012年10月1日の「ひふみ投信マザーファンド」の総額(純資産総額という)は31億38百万円であった。
それが2019年9月30日には、純資産総額7,371億74百万円へと、7年で200倍以上の規模に成長しているのである。
つまり、ファンドの規模が格段に大きくなったことで、時価総額300億円未満の超小型株の組入比率は、徐々に小さくなっていったとも考えられるだろう。
最後に「特色3」に移ろう。この部分は「トリセツ(5)」で先取りして説明した部分である。
その際、「ひふみ投信マザーファンド」には、この「ひふみプラス」というベビーファンド以外に「ひふみ投信」というベビーファンドがあると説明した。
実はもう一つ、「ひふみ年金」という確定拠出年金制度向けのベビーファンドがある。まだ規模は小さいが、確定拠出年金制度は今後拡大が見込まれているので、それに伴って「ひふみ年金」の規模も徐々に大きくなるのではないだろうか。
今回はここまでとして、次回は「ファンドの特色」の1つである、「投資制限」や「分配方針」に進んでいく予定だ。
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《著者紹介》
土ノ江 健人
長年、投信会社で、ファンド運用からファンド企画・管理、マーケティング等の投信業務に携わる。投信会社退職後は、それまで培った知識と経験、豊富な人脈を生かし、ファイナンシャル・プランナーとして今後、資産形成の中核となる投資信託のさらなる普及・拡大を目指して多方面で活躍中。
配信元:NTTデータエービック
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