アンモニア 脱炭素の隠し玉、巨大市場創出へ

地球温暖化防止の観点から脱炭素社会に向けた取り組みが世界的に加速している。そのなか、太陽光発電などの再生可能エネルギーや水素と並んで有力視されている燃料がアンモニアである。アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を出さないということに加え、水素と異なり極低温でなくても液化するため輸送や貯蔵が容易であり、比較的コストを抑えられることが利点として挙げられる。
2050 年に1兆円市場形成も
アンモニアの従来の用途としては火薬や接着剤などの工業製品や農業用化学肥料として使われていた。しかし、今後は発電や船舶用燃料などで利用が進むことが予想され、これまでと比べ物にならない巨大市場が創出される可能性も出てきた。政府はグリーン成長戦略の一環としてアンモニアの導入目標を2030年に300万トン、2050年には3000万トンとすることを掲げている。仮に、1立方メートルあたり20円として金額ベースに換算すると約1兆円に達する。ちなみに現在の市場規模は100万トン強であるから、30年後にはおよそ30倍近い水準のマーケットが形成されることになる。
ただし、アンモニアに弱点がないわけではない。ネガティブ視されるのは、まず、刺激性の強い独特の臭気が挙げられる。街中や住宅などでの活用は現実問題として困難な部分があり、あくまでB to B分野での脱炭素用途に使うケースが主流となりそうだ。また、燃焼時に二酸化炭素は排出しないものの窒素酸化物を発生させてしまうため、燃焼性の改善や脱硝装置の活用といった工夫も必要となってくる。
関連企業としては、主に化学メーカーやプラントメーカーが注目される。また、グローバル案件で橋渡し役を担う総合商社の存在も見逃せない。株式市場でもアンモニア関連は「脱炭素」から派生する有力な物色テーマとして、投資家の関心が日増しに高まりつつある。
脱炭素関連の注目ファンドとは
脱炭素関連のファンドの中で注目したいのは、脱炭素ジャパン(野村)、脱炭素テクノロジー株式ファンド(カーボンZERO)(大和)、イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド(三井住友DS)の3本だ。
脱炭素ジャパン(野村)は、国内株式の中から脱炭素への貢献が期待される銘柄を実質的な主要投資対象とする。脱炭素テクノロジー株式ファンド(カーボンZERO)(大和)は、国内株式だけではなく、海外株式を含む、脱炭素社会の実現に向けたソリューション(温室効果ガスの排出を削減するテクノロジーやサービス等)を提供する企業に投資をする。イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド(三井住友DS)も主として脱炭素化社会実現に向けた取り組みやイノベーションに貢献する企業、あるいはその恩恵を受けることが期待される世界の企業に投資をする。
どれがいいかは、国内株式のみのものがいいのか、海外株式を含んだものがいいのかで決めるのが良さそうだ。また、それぞれのファンドで取り扱っている金融機関も違うので、ここもチェックをしておくと良いだろう。
≫脱炭素テクノロジー株式ファンド(カーボンZERO)の販売会社
≫イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドの販売会社
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配信元:ミンカブ・ジ・インフォノイド
関連銘柄
順位 | ファンド名 | 運用会社 | レーティング(1年) |
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1 | 脱炭素ジャパン | 野 村 |
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2 | イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド | 三井住友DS |
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3 | 脱炭素テクノロジー株式ファンド(カーボンZERO) | 大 和 |
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このコラムの著者

みんかぶ編集室 (ミンカブヘンシュウシツ)
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