高度成長期のタイへの投資を考える

コラム
配信元:ミンカブ・ジ・インフォノイド
投稿:2019/11/28 07:00
高度成長期のタイへの投資を考える

タイは現在、高度成長の真っ只中にあります。それに加えて、インラック政権の内需拡大政策もあり、急激な賃金上昇となっています。

 

単位:%

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
成長率 7.2 2.7 1.0 3.1 3.4 3.9 4.1
インフレ率 3.0 2.2 1.9 -0.9 0.2 0.7 1.1

出所:外務省 タイ王国(Kingdom of Thailand)基礎データより

 

外国企業の力を借りた経済発展

タイ経済はもともと農業中心の産業構造でしたが、1980年代、急速に工業中心の産業構造に変化しました。1980年代後半から生じた円高ドル安という状況変化により、日本を中心とした製造業の投資がタイに押し寄せたためです。その急速な勢いに押される形で、農業はタイ経済の発展戦略から外れてしまいました。

結果的にタイの経済成長は海外からの直接投資が大きな原動力となりました。海外からの資本と技術が入り、そこにタイの安価な労働力が結びついたのです。中でも日本は全外国投資額の40%近くを占めており、大きな影響を与えています。

 

日本からタイへの輸出入

出所:外務省 タイ王国(Kingdom of Thailand)基礎データよりミンカブ・ジ・インフォノイドにて作成

 

タイの工業化政策

1997年のアジア経済危機で大きなダメージを受けたタイは、自力での回復を諦め、外国企業を受入、自国経済の回復を図りました。これを受け外国からの企業誘致活動を推し進め、この時、日本がまっさきに手を挙げたのです。

タイは国全体が平野で地形的に工場が作りやすいという特徴があります。このため広範囲に工場を作ることができ、現在工業団地は大小含めておよそ60団地あると言われており、大きな団地だけでも約30団地あります。

 

 

タイ経済のリスク

 

タイの政情不安
 

新興国によくある政情不安。これはタイにも存在します。2006年のタクシン政権の崩壊以降、タイの政治・社会は不安定でした。2010年には過激デモ活動があり、この時治安部隊とデモ隊が衝突し、商業施設への放火や繁華街座り込みなど、都市機能は麻痺しました。各地で反政府デモが繰り広げられ、死者87名、けが人1400名を超える大惨事となりました。

ただ、2010年の実質GDP成長率は7.8%、2004年の南部でのテロ激化時は6.3%、2006年軍事クーデターでのタクシン追放時は5.1%と高い成長率を保っており、クーデターの影響はタイの経済成長に影響を及ぼしていません。

タイ経済は外国からの直接投資と急速な工業化で経済発展しています。このため、外国企業中心のタイ経済に及ぼす影響は少なかったのではないかと考えられます。タイでは政治と経済は別である考えていいでしょう。

 

 

実は毎年のように発生している洪水

 

2011年国土の3分の1が構図により水没するという大きな被害が発生しました。この時、特に自動車・自動車部品、集積回路、IC、電気電子産業分野は約1400億バーツ(約3500億円)の被害を受けたと言われています。

タイは平野が多く、国土の中央にチャオプラヤー川が流れているおかげで、世界有数の肥沃な土地を有しています。これにより米をはじめとしたさまざまな農作物を作ることが可能で、食料自給さらに輸出できるまでの規模を誇っているのです。

タイには山林が非常に少なく、山があってもなだらかな山ばかりです。国土の高低差がない国なのです。このため雨季(6月~10月)に大量の雨が降っても、日本のようにザーと海に流れ出るわけではなく、ゆっくりとチャオプラヤー川を下って行きます。そのため、バンコク以外の地域については、ニュースにならない程度の洪水は毎年のように発生しているのです。

2011年の洪水発生を受けてタイ政府は中長期の洪水・治水対策を発表していますが、どこまで実行されるかは不明です。

ただし、2011年の洪水発生を受けて、外国企業がタイ進出を躊躇したかというと、結果はその逆。2012年の外国からの直接投資予定学は、前年同期比2.4倍、一昨年比4.6倍になったのです。これは日本の名だたる企業がタイでの生産を継続・拡大し、タイを生産・輸出拠点としたことが一番の要因と考えられています。

急速なグローバル展開を強いられている企業にとって、洪水の可能性はあっても、タイにはそれ以上の魅力があるという国だということです。

 

 

タイ関連ファンド

タイに投資をするファンドは数が少ないものの何本か存在します。

イーストスプリング・タイ株式オープン(イーストスプリ)』、『ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・タイ・フォーカス)(野村)』、『タイ投資ファンド(野村)』、『ダイワ・ライジング・タイランド株式ファンド(大和)』の4本です。『イーストスプリング・タイ株式オープン(イーストスプリ)』は9社で取り扱われていますが、『ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・タイ・フォーカス)(野村)』と『タイ投資ファンド(野村)』は野村證券のみ、『ダイワ・ライジング・タイランド株式ファンド(大和)』は大和証券のみでの取扱となっています。

イーストスプリング・タイ株式オープン(イーストスプリ)』は、マネックス証券スルガ銀行が手数料ゼロのノーロード・ファンドとしています。

 

タイ一国への投資というのは、リスクが高いと考えられます。インドネシアなどASEAN諸国の経済発展は目覚ましいものがありますが、一国一国で見るとまだまだリスクが高いと考えられます。長期分散投資という観点からすると、タイ一国への投資は避け、ASEAN全体や新興国全般という国を分散したファンドに投資する方がリスクは低減されると考えます。

 

 

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