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100円で資産運用⁉本音の投資信託⑰ 読んでみよう、投資信託のトリセツ(16)

コラム
配信元:NTTデータエービック
投稿:
100円で資産運用⁉本音の投資信託⑰ 読んでみよう、投資信託のトリセツ(16)

今回は「ファンドの費用」のうち、「その他費用・手数料」について説明していこう。

 

この「ひふみプラス」において、投資家が負担する費用のうち、信託財産から間接的に負担する費用は、前回までに説明した、「運用管理費用(信託報酬)」と「監査費用」が主なものとなっている。

 

そして、この「その他費用・手数料」は、その名の通り、「運用管理費用(信託報酬)」と「監査費用」以外の費用であり、これも投資家が信託財産の中から間接的に支払っているものである。ここには、いくつか例示されているので見ておこう。

 

まず、「組入有価証券の売買の際に発生する売買委託手数料(それにかかる消費税)、先物取引オプション取引等に要する費用」である。

 

この手数料は、1999年の売買委託手数料の完全自由化により、大きく水準が下がった。売買委託手数料に関しては、「ひふみプラス」のようなアクティブ運用のファンドは、バスケット取引など規模の大きな取引を行うインデックスファンドに比べ、若干コストがかかる傾向はあるようだ。それほど神経質になるレベルではないが、気になる方は交付運用報告書で、その都度確認するといいだろう。

 

次に「外貨建資産の保管等に要する費用」である。
この「ひふみプラス」では、組入れている「ひふみ投信マザーファンド」が、2017年10月に決算を迎えた第6期から外貨建資産である米国株式に投資を開始している。そして、昨年10月に迎えた第9期決算の運用報告書を見ると、米国株式を含め約17.5%の外貨建資産を保有している。

この外貨建資産を保管する機関が、カストディアンと呼ばれる海外の保管銀行である。カストディアンでの保管に際して、保管費用が発生することになるが、その費用は投資家の負担となる。

 

次の「信託事務の処理に要する諸費用および受託会社が立て替えた立替金の利息」については、1万口あたりのコストとしては、ほとんど目に付かないレベルなので、説明は省略させていただく。

 

そしてこの「その他費用・手数料」については、「運用状況等により変動するものであり、予めその金額や上限額、計算方法等を具体的に記載することはできません。」とされている。

 

これは、これらの費用が、「運用管理費用(信託報酬)」や「監査費用」と違い定率ではないため、事前に料率を提示することはできず、組入有価証券の売買の状況や、外貨建資産の組入率など運用状況に応じて、毎期変わってくるということを、宣言しているのである。

 

ただし、この金額が、「運用管理費用(信託報酬)」と比較して、同等程度のレベルになるのであれば、決して小さな数字ということはできず、場合によっては、運用成果に影響を与えることにもなりかねない。
そういう場合には、「予め(中略)具体的に記載することはできません。」と言われて、「はい、分かりました。」と言う訳にもいかないだろう。

 

そこで、毎期決算後に交付される「交付運用報告書」で、実際にかかったコストを確認することをお薦めする。この「交付運用報告書」には、毎期の「費用明細」が掲載されているので、その都度確認できる。
直近の「交付運用報告書」から抜粋したものが下の表である。「その他の費用・手数料」に該当するのは、赤い枠内の部分である。

これを見ると、個人的な感想であるが、「売買委託手数料」がやや多いのかな、という印象である。先に述べたように、「ひふみプラス」のようなアクティブ運用のファンドの場合、個別銘柄の売買となるため、株価指数の構成銘柄をまとめて売買するインデックスファンドなどと比べ、「売買委託手数料」がやや割高になるケースが多いといえる。

 

そして、肝心なことは、ファンドの運用成果は、これらの費用を控除したあとのものだということだ。もし、運用成果が芳しくなく、そのときにこの「費用明細」を見て、その費用が以前よりもかなり嵩んでいるようであれば、場合によっては、費用が運用成果に影響を与えている可能性もあるので、注意は必要であろう。

 

前回少し触れたが、「その他費用・手数料」に関連して、注意する必要な点がある。
それは、従来「運用管理費用(信託報酬)」の「委託者報酬」に含まれていた、「法定書面の作成」や「基準価額の算出等」の役務の対価を、この「その他費用・手数料」の部分で、委託者報酬とは別に、投資家(受益者)の負担としている委託会社がある、ということである。

 

別途負担としている部分の料率は、0.100%程度を上限としているファンドが多く、ファンドの運用成果にさほど大きな影響を与えるものではないと思われる。

 

しかし、問題なのは料率の多寡ではなく、「運用管理費用(信託報酬)」や「その他費用・手数料」に含まれる委託会社の役務に関する対価を計上している項目が、会社によってバラバラで、それが投資家(受益者)側からみると、いかにも分かりにくい状態にあるという点である。

 


委託会社によって、投資家(受益者)への費用負担の求め方や水準が異なっていても、構わないとは思う。しかしそれが、投資家(受益者)から見て一目瞭然で分かるようなものでなければ、それでなくとも取っ付きづらいとされる投資信託が、益々魑魅魍魎なものに見えてしまうのではないか、と心配である。

 

最近、それほど大きな記事ではないが、「日経ヴェリタス」(日本経済新聞社)や「ファンド情報」(株式会社格付投資情報センター)などでも、この「その他費用・手数料」の問題が取り上げられた。金融庁でも問題視しているとのことなので、いずれ投資家(受益者)分かりやすいものになることを期待したい。

 

投資家(受益者)が負担する費用の水準は、各運用会社の個々のファンドで事情が異なるので、様々であっても良いとは思う。
しかし、投資信託という金融商品の中心に位置する委託会社が受取る「委託者報酬」の中身(構成要素)が、委託会社によってバラバラなのでは、何のために、投資信託協会が「委託した資産の運用の対価」と例示したのかが分らなくなってしまうのではないだろうか。

 

まさか、委託会社ごとに、委託者報酬の中身を自由に決めてもいいという意味で、「委託した資産の運用の対価」と例示したわけではないだろう。
投資家(受益者)の負担するコストのことなのだから、投資家(受益者)側からみて分かりやすいものであるべきだと思うのは、ごく普通のことではないだろうか。

 

ここでは「ひふみプラス」の「交付目論見書」を例にとって説明しているが、この「ひふみプラス」は、「つみたてNISA」の対象ファンドにも指定されている。

 

その「つみたてNISA」に指定されるファンドの要件には、「運用管理費用(信託報酬)」の上限が、指定インデックスファンドファンアクティブド等、ETFのそれぞれに設けられている。
極端なことを言えば、「運用管理報酬(信託報酬)」を低くしようとして、「法定書面の作成」や「基準価額の算出等」に関する費用を、「運用管理報酬(信託報酬)」から切り離して「その他費用・手数料」に持ってくることもできるのである。

 

最近、注目が高まっている「iDeCo」や「つみたてNISA」は、投資信託がその中心商品になっているので、業界は率先して、より分かりやすい開示を目指してほしいところである。

 

少し話がずれてしまったが、「その他費用・手数料」に関しては、現状、個々のファンドで対象となる費用項目が異なっているので、しっかり確認してもらいたい。

 

さて、最後に「税金」である。
この「税金」の部分は、適用されるタイミングと、一般的な税率(源泉徴収時)が、個人投資家を例にして記載されている。
 

分配金が支払われる場合、その分配金は「配当所得」という扱いになり、その分配金普通分配金の場合は20.315%が課税される(「元本払戻金(特別分配金)」の場合は、非課税)。また換金(解約)および償還時には、その利益部分が譲渡益となり、その譲渡益は「譲渡所得」という扱いで、同じく20.315%が課税される。ただし、この「ひふみプラス」は、「つみたてNISA」の対象ファンドでもあるので、「つみたてNISA」で購入する場合は20年間非課税となる。

 

これらのことは、欄外の※印のところに詳しく書かれているので、ご確認いただきたい。もしご不明な点があれば、税の専門家にお尋ねになることをお薦めする。

 

以上、これまで16回にわたり、投資信託のトリセツである「交付目論見書」の読み方を説明してきた。拙い文章、分かりづらい文章等、多々あったと思うが、これまでお読みいただき、大変感謝している。ありがとうございました。

 

今後も、投資信託の啓蒙・普及に向けて、投資信託について、いろいろとお伝えしていきたいと思っているので、引続き、ご愛読いただければ幸いです。

 

土ノ江健人

 

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《著者紹介》

 土ノ江 健人
 長年、投信会社で、ファンド運用からファンド企画・管理、マーケティング等の投信業務に携わる。投信会社退職後は、それまで培った知識と経験、豊富な人脈を生かし、ファイナンシャル・プランナーとして今後、資産形成の中核となる投資信託のさらなる普及・拡大を目指して多方面で活躍中。

配信元:NTTデータエービック

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NTTデータエービック (エヌティーティーデータエービック)

投資信託の評価機関として蓄積した各種データをもとに、みんかぶ投信のニュースやレポート、コラムを執筆しています。また、投信会社を訪問し、話題の投資信託等のインタビュー記事など投資に役立つコンテンツを提供しています。

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