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100円で資産運用⁉本音の投資信託⑬ 読んでみよう、投資信託のトリセツ(12)

コラム
配信元:NTTデータエービック
投稿:
100円で資産運用⁉本音の投資信託⑬ 読んでみよう、投資信託のトリセツ(12)

今回は、いよいよ交付目論見書7ページの「手続・手数料等」に入っていこう。


ここは、交付目論見書(トリセツ)の中でも、特に大切な部分なので、しっかりと説明できればと思う。


この「手続・手数料等」の記載方法については、投資信託協会の「交付目論見書の作成に関する規則に関する細則」第6条(以下「ガイドライン」という)に細かく定められている。


そのため、どのトリセツを見てもほぼ同じ形式で書かれている。投資家からすると、比較しやすくなっているので便利である。

 

初めに、「お申込みメモ」である。ここに記載されている18項目はすべて「ガイドライン」にある項目である。今回は、前半の10項目について見ていこう。

 

ひふみプラス交付目論見書

 

まず「購入単位」とは、どういうことか。投資信託は多くの場合、当初1口1円で設計されている。例えば、投資家から集まったお金の合計額が100億円とすると、100億口で運用が始まることになる。


そして、その資産(信託財産という)に組み入れられた株式や債券などが時価で評価されることにより、その100億円が101億円に増えたり、99億円に減ったりするのだ。
口数が100億口のままとすると、信託財産が101億円になった場合、1口あたりは1.01円になり、99億円の場合は0.99円になる。


そして、投資家が日々目にしている投資信託の値段、つまり基準価額は、通常10,000口あたりで毎日公表され、その値段で売買されている(次の「購入価額」で詳しく説明する)。

 

では、その投資信託を購入する単位とは、何か。簡単に言うと、いくらから購入できるか、ということである。
単位には、金額単位と口数単位というものがあり、以前は、口数単位の口数指定でも販売されていたが、今はほとんど金額単位の金額指定となっている。


そして、その金額単位を10,000円以上1円単位としている販売会社が多いようだ。
ただ最近は、オンライン専門の金融機関もあるし、店舗販売をしている金融機関でもオンラインによる販売を行っているケースがある。

 

より投資信託を購入しやすくするためだと思うが、そういう販売会社では、1,000円以上1,000円単位とか、100円以上1円単位などの購入単位も見られる。
ひふみプラス」の場合は、ここに記載されているように、各販売会社でそれぞれ購入単位を決めている、ということである。


次に「購入価額」とは何か。これは、投資信託を購入する値段のことを言っている。
 

以前にも説明したが、投資信託の値段は「基準価額」と言って、毎日、その投資信託の純資産総額を受益権総口数で除して求めている。
それは1口当たりの値段になるが、公表する場合は、通常10,000口当たりの価格としている。一般的に基準価額と言う場合、この10,000口当たりの基準価額のことを言う。


そして、ここには、
「ご購入のお申込受付日の翌営業日の基準価額(1万口当たり)」
と書かれている。


つまり、購入を申し込んだ当日に公表される基準価額ではなく、翌営業日に公表される基準価額で購入するということである。
金曜日に申し込んだ場合、翌営業日は月曜日となるので、月曜日に公表される基準価額で購入する、ということになる。


「購入代金」は、ガイドラインでは、「投資者が購入代金を支払う期限について記載するものとする」と書かれている。


つまり、上の「購入単位」と「購入価額」で計算される「購入代金」を、販売会社に支払う期限が記載されていることになる。
その支払期限までに、購入者はお金を用意して支払う必要があるのだが、この期限も、販売会社ごとに決められているということだ。

 

注意が必要なのは、この「購入代金」を支払う際には、あとで出てくる、所定の「購入時手数料」などを加えて支払う必要がある、ということだ。

その点を忘れないようにしよう。


「換金単位」は、購入の反対で、この「ひふみプラス」を売却してお金に換えるときの単位である。
こちらは、「金額指定」だけでなく、「口数指定」の併用や「口数指定」だけの販売会社もある。

 

その理由は、次の「換金価額」と関係がある。


「換金価額」とは、投資家が「ひふみプラス」というファンドを売却(専門用語では解約という)する際の値段のことだが、ここには、「解約の請求受付日の翌営業日の基準価額(1万口当たり)」と書かれている。
購入時と同じで、売却の申込をした日の値段ではなく、翌営業日の値段ということである。


ここで「換金単位」が、口数指定が多い理由がお分かりになるのではないだろうか。換金を申し込むタイミングでは、いくらで売却できるかが、決まっていない。


売却単価が決まっていないので、金額を指定することはできず、投資家が保有口数の一部を売却しようとする場合は、保有分のうち、売却する口数を指定する必要があるということである。


次に「換金代金」である。ここも「ガイドライン」には、「換金代金の支払いを開始する日を記載するものとする」と書かれている。
売却の申込をした場合、いつ売却代金を受け取れるのかを記載しなさい、ということになる。


ここには、「解約の請求受付日から起算して5営業日目から、販売会社の本・支店等においてお支払いいたします。」とある。


解約請求受付日、つまり販売会社(金融機関)が、投資家の売却の注文を受け付けた(ここはこのあとの「申込締切時間」と関係する)日を含めて、5日目から、ということである。金曜日に売却申込を受け付けたとすると、翌営業日の月曜日の基準価額で、解約代金が確定し、金曜日から起算して5営業日目の木曜日から換金代金を受け取ることができることになる。


「申込締切時間」は、売却だけでなく購入時にも関係するが、投資家は何時までに購入や売却を申し込む必要があるか、ということである。
トリセツには、「毎営業日の15時までに受け付けたものを当日のお申込み」とするとある。
 

ただし、そのあとに「販売会社によって受付時間が異なる場合があります」とある。販売会社によっては、受付終了時間を早めたりする会社があるかもしれないので、確認が必要だろう。


次の「購入の申込期間」とは、何を意味しているのだろうか。
ここには、「2019年12月21日から2020年12月18日まで」とあり、そのあとに「なお、申込期間は上記期間満了前に有価証券届出書を提出することによって更新されます」とある。

 

ここは少し説明が必要だろう。まず、ここに示されている、2020年12月までの約1年間の期間の意味だが、これは、このトリセツの内容で「ひふみプラス」を購入できる有効期間、と考えていいだろう。

 

そして、このトリセツは、レオス・キャピタルワークスという委託会社が内閣総理大臣(実際は財務省)に提出している「有価証券届出書」という書類に基づいて作成されている。


この「有価証券届出書」は、年に一度は提出する必要があり、その都度トリセツは改定される。トリセツの改定に併せて、「購入の申込期間」が更新されることになる。
(実際は、トリセツは年に2回更新されるが、購入期間は1年に1回更新)


「換金制限」については、トリセツに書いてある通りなのだが、それほど気にすることはない。保有金額がさほど大きくない個人の投資家の場合は、換金の制限を受けることは稀だと考えられるからである。

 

ここよりも、次の「購入・換金申込受付の中止および取消」に注意が必要だろう。


ここには、「金融商品取引所等における取引の停止、その他やむを得ない事情等があるときは、購入・換金のお申込みの受付けを中止にすること」と書かれている。


この中の「やむを得ない事情」とは、約款(委託会社と受託会社がこの投資信託について締結した契約の内容が書かれたもの)に「外国為替取引の停止、決済機能の停止その他やむを得ない事情」と書かれている。


これは、天災地変等で東京証券取引所等において取引が中止になる、または外国為替取引が停止になる、などの場合には、委託会社の判断で、購入・換金の受付の中止、既に受け付けた購入・換金の受付を取り消すことがある、ということだ。

 

例えば、先日の東京証券取引所のシステム障害による売買停止の際は、この「ひふみプラス」も購入・換金申込受付の中止を決め、ニュースリリースとして投資家向けに発表していた。

 

次回は、お申込メモの後半部分について説明する。
 

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《著者紹介》
 土ノ江 健人
 長年、投信会社で、ファンド運用からファンド企画・管理、マーケティング等の投信業務に携わる。投信会社退職後は、それまで培った知識と経験、豊富な人脈を生かし、ファイナンシャル・プランナーとして今後、資産形成の中核となる投資信託のさらなる普及・拡大を目指して多方面で活躍中。

配信元:NTTデータエービック

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投資信託の評価機関として蓄積した各種データをもとに、みんかぶ投信のニュースやレポート、コラムを執筆しています。また、投信会社を訪問し、話題の投資信託等のインタビュー記事など投資に役立つコンテンツを提供しています。

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