シブサワ・レター ~こぼれ話~ 第12回「子どものためカーボンゼロのより積極的な目標設定を!」

インタビュー
配信元:NTTデータエービック
著者:渋澤 健
投稿:2021/04/09 16:00
シブサワ・レター ~こぼれ話~ 第12回「子どものためカーボンゼロのより積極的な目標設定を!」

シブサワ・レター ~こぼれ話~
第12回「「子どものためカーボンゼロのより積極的な目標設定を!」
日本資本主義の父 渋沢  栄一 から数えて5代目に当たる渋澤 健が、世界の経済、金融の “今” を独自の目線で解説します。
 
 
第12回のテーマは「子どものためカーボンゼロのより積極的な目標設定を!」です。

 

 

 

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 

最近、渋沢栄一の書籍や漫画の監修の機会が増えていますが、格別にうれしい作品が3月下旬に刊行されました。それは、絵本です。

 

以前から子ども向けに絵本を制作する夢を抱いていましたが、なかなか取り組むことができていませんでした。子どもでもわかる簡単なことを理屈っぽく難しく説明するのは簡単ですが、多くの大人でもわからない難しいことを簡単に説明することは容易ではありません。また、そもそも自分は絵が下手です。

 

ところが、去年の秋に日本商工会議所青年部の広報委員会から、「子供達(小学低学年)を対象に、渋沢栄一の考え、お金についてなどの絵本製作を考えています」というご連絡をいただき、年末に向けて作業の形が固まってきました。

準備していただいた下書きのネームに対して、私がアイデアをインプットするオンライン会議を何回か繰り返し、制作担当のおかださえさんが見事に作品に表現してくださいました。

 

完成品を手に取った時は、涙が込み上げてくるほど感動しました。

本当に素晴らしい作品を制作していただき、心より感謝しております。

 

キャラクターデザインが可愛らしくて親近感が湧きました。

特に登場する男の子の二人が、我が家の次男と三男が幼い頃にそっくりだねと、妻と共に微笑みました。

 
 

絵本は非売品ですが、発刊に当たり、全国の日本商工会議所青年部のメンバーおよび一般から協賛を募り、22,000冊を刷ることができました。

 

今後、全国各地の知事や市長への寄贈式を行い、図書館、小学校・幼稚園、保育園などへ配布されるようです。

素晴らしい取り組みで、日本商工会議所青年部広報委員会の皆さまの志と行動力に感銘を受けました。ぜひ、日本全国のお子さんの手元に届くことを願っています。

 

絵本はお金の伝統的な3つの役割、1.交換、2.価値の尺度、3.貯蓄から始まり、コモンズこどもトラスト・セミナーで子どもたちと学ぶ「4つのお金の使い方」1.「使う」2.「貯める」3.「助ける」(寄付)、4.「働かす」(ありがとうをつくる=投資)へと展開します。

 

お金は「ありがとう」の連鎖により巡り回りって豊かな社会へとつながる。また自分のためのMEから、みんなのためのWEという渋沢栄一の精神も絵本で表していただきました。

 

渋沢栄一が目指していたのは、今日よりもよい明日。みんなのために、みんなが豊かな社会をつくること。それは、「一滴一滴がやがて大河になる。」

 

つまり、「多く人々のチカラを合わせることが大きなチカラになる!」という栄一が提唱した「合本主義」を、絵本を通じて子ども目線で伝えることができたことを大変うれしく思います。

 

現在、大きなチカラが急務で、多くの人々のチカラを合わせることが不可欠な世の中になりました。2030年までに「誰一人取り残さない」SDGs、2050年までに「カーボンニュートラル」という温暖化ガス削減は大きなチカラ、多くの人々のチカラを合わせることがなければ実現できない壮大な目標です。

 

21世紀の文脈においてサステナビリティとグリーンは子ども世代の豊かな社会に欠かせない条件であります。コロナ禍の前には「気候変動問題は世代間の論争」という声も聞こえてきましたが、今は世界各国の本気度が増しています。

 

もしかすると今までの10年、20年、30年がITによって世の中のゲーム・チェンジが起こったように、これからの10年、20年、30年のゲーム・チェンジは「グリーン」になるかもしれません。子ども世代の豊かな社会に「グリーン」は不可欠です。

 

先月、菅首相は小泉進次郎環境相に気候変動担当を兼務させ、内閣官房に気候変動対策推進室が新設されました。産業界の代表や専門家らによる有識者会議も立ち上げられました。今年の国際政治カレンダーが、その背景にあるのでしょう。

 

4月中旬に日米首脳会談が開催される予定で、オリンピック開催やコロナ禍対策がアジェンダに乗ることは間違いないですが、気候変動問題にもかなり焦点が当てられるのではないでしょうか。

何故なら、4月下旬に米国は40ヶ国の首脳を招いて気候変動サミットを開催します。バイデン大統領が主宰する最初の大きな国際イベントになりますので、「グリーン」を通じて新政権の存在感を示すことは優先事項になるでしょう。

 

また、このサミットでは英国も立ち位置を意識するでしょう。G7が6月中旬に英国で開催される予定で、11月にパリ協定COP26会議が同じく英国で開催されるということを考えると、英国にも「グリーン」のアジェンダセッティングを掲げる国際政治的な動機が働くと思います。

 

このような舞台に、日本が「手ぶら」で参加する訳にはいきません。

2050年のカーボンニュートラルを達成するために、2030年までの温暖化ガス削減の新たな目標を策定して宣言するのではないでしょうか。

 

お!と驚くほど、今までの日本の慎重な態度を覆す新目標が示されることが大事で、また、各国のグリーン主導権争いを考えると悠長に11月のCOP会議を待つことできません。

今月の下旬に米気候変動サミットに向けて、インパクトある宣言に期待しています。

 

温暖化ガス削減の可視化の指標になる再生エネルギー比率の政府計画では、30年度の再生エネ比率は22~24%(足元は18%)ですが、経済同友会は30年に40%を提案しています。目を見張る新目標が宣言されるのか。

子どもたちの豊かな社会のため、WEのため、飛躍が急務です。


□ ■ 付録: 「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □
(『論語と算盤』経営塾オンラインのご入会をご検討ください。http://ht.ly/ROYmI)

 

     『渋沢栄一 訓言集』国家と社会

 

   国家を進め、国家を強くせんと欲するからは、
 五歩十歩の進みを持って、小成に安んじてはならない。
  他の列強と拮抗する程度まで、奮進せぬばならない。

 

日本人は真面目です。何が出来るか、出来ないかをきちんと把握してから意思決定したいという傾向があります。ただ、チマチマとした目標設定ではなく、大胆に。そうでなければ、世界の列強と肩を並べることができない、と栄一は唱えています。


    『渋沢栄一 訓言集』国家と社会

 

        国家の親善提供は、
        言葉にあらずして、
          実行にある。

 

言うだけで、実行がないことは信用を失う行為であり最悪です。また、言わないから、何もしないということは問題外です。やはりベストは言葉に表して、それ以上に実行することでありましょう。

                    謹白

              

 

❑❑❑ シブサワ・レターとは ❑❑❑
1998年の日本の金融危機の混乱時にファンドに勤めていた関係で国会議員や官僚の方々にマーケットの声を直接お届けしたいと思い立ち、50通の手紙を送ったことをきっかけとして始まった執筆活動です。
現在は今まで色々な側面で個人的にお知り合いになった方々、1万名以上に月次ペースにご案内しています。
当初の意見書という性格のものから比べると、最近は「エッセイ化」しており、たわいない内容なものですが、私に素晴らしい出会いのきっかけをたくさん作ってくれた活動であり、現在は政界や役所に留まらず、財界、マスメディア、学界等、大勢の方々から暖かいご声援に勇気づけられながら、現在も筆を執っています。

渋澤 健

 

 【著者紹介】
渋澤 健
シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役。コモンズ投信株式会社取締役会長。1961年生まれ。69年父の転勤で渡米し、83年テキサス大学化学工学部卒業。財団法人日本国際交流センターを経て、87年UCLA大学MBA経営大学院卒業。JPモルガン、ゴールドマンサックスなど米系投資銀行でマーケット業務に携わり、96年米大手ヘッジファンドに入社、97年から東京駐在員事務所の代表を務める。2001年に独立し、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業。07年コモンズ株式会社を創業(08年コモンズ投信㈱に改名し、会長に就任)。経済同友会幹事、UNDP(国連開発計画)SDGs Impact運営委員会委員、等を務める。著書に『渋沢栄一100の訓言』、『人生100年時代のらくちん投資』、『あらすじ 論語と算盤』他。

 


 
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