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市場暴落の原因と今後の市場見通しについて

レポート
配信元:ミンカブ・ジ・インフォノイド
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市場暴落の原因と今後の市場見通しについて

各運用会社の発表しているレポートを元に、現在の市況についてまとめます。世界の株式市場は2月下旬以降、大きな下落が続いています。現在の下落の背景としては、新型コロナウイルスの感染拡大に加え、原油価格の暴落に伴う信用不安が発生したことがあります。新型コロナウイルスへの対応に関して、感染拡大を抑えるために、各国は人々の移動や活動を制限する措置を取り始めています。イタリアでは全土で個人の移動を制限し、米国では英国を除く欧州からの入国制限を打ち出しました。感染拡大を防ぐためには止むを得ない面もありますが、こうした制限措置が大きな経済・社会的コストをもたらすことへの懸念が株価の下落に拍車を掛けています。

また、落ち込む世界経済を支える為、各国は政策対応を行っています。ECBは3月12日開催の理事会で新型コロナウイルス感染拡大で動揺する欧州経済を支えるため、銀行への資金供給を大幅に拡大し、資金繰りに窮する企業への資金供給を促すことを決めました。また、1,200億ユーロ(約14兆円)の資産を追加購入する量的緩和も決定しました。FRBは3月17-18日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催する予定ですが、最低でも50bp(ベーシスポイント)、場合にはよっては75bpないしは100bpの利下げを実施すると予想されています。現在のFFレートは1.00~1.25%の水準にありますので、100bpの利下げが実施された場合、ゼロ金利近辺まで政策金利が引き下げられることになります。

市場は新型コロナウイルに対応する為の移動制限が景気を冷やす一方、政策対応についてはまだ不十分と判断しており、株価の急落は止まっていません。当面、欧米の新規感染者数がピークアウトするか、市場が深刻な世界景気の後退を織り込み終えるまでは、下落基調が続くものと予想されています。しかし、中期目線で考えた場合、感染抑止の為の移動制限はピークアウトに繋がる対応となり、各国の政策対応も、感染抑制期間の過度な景気悪化を防ぎ、収束後の景気の急回復を手助けすると考えられます。まだ株価の底は見えない状況ですが、 特に日本株など一部の資産では、長期目線で見た場合の「割安感」が強まっている、と考えている運用会社も多くなっているようです。

 

 

各運用会社のレポート概要

今後の市場見通しに関する各運用会社の分析レポートの概要をいくつかご紹介します。

 

野村アセットマネジメントの3/12のレポートでは、世界経済は今も強い不確実性に晒されていますが、世界の株式市場の中心に位置する米国株市場において、こうした下落・調整は過去複数回経験し乗り越えてきたことと、現在の米国株市場に対してどのような見方ができるかについて、まとめています。

リーマンショック以降、大きく上昇し高値を更新し続けてきたイメージが強い米国株市場ですが、詳細に見ていくと、今回のような調整局面を、複数回経験してきました。2018年は米中貿易問題、2015年から 2016年にかけては原油価格暴落、2011年は欧州債務危機を背景として米国の株式市場は下落基調を強める場面がありました。しかし、株式市場はこうした懸念が最悪期を脱していく過程で、これまで着実に反発してきたことを忘れてはいけないのではないか、としています。

リーマンショックを想起する声もありますが、当時株式市場が大きく下落した背景には、金融システム不安があります。その後世界は金融規制を強化する方向で動いてきたことなどを踏まえると、そうした展開に結び付けて考えるのは 時期尚早と考えています。また、新型肺炎拡大の事態収束はいまだに見えていませんが、発端となった中国においては感染拡大のペースに鈍化の兆しが見受けられます。

足元の下落を受け、米国株の割高感を背景とし た下落懸念は払拭される方向に進むと考えています。3月11日現在の米国株市場の予想PERは16.0倍であり、過去20年の平均値である16.7倍を下回る水準となっています。米国株市場は大きく下がったとはいえ、史上最高値から僅かな日数しか経過しておらず、時間的な調整が十分でない可能性には留意が必要ですが、中長期の目線で見 た場合、足元の調整局面は株式市場への魅力的な投資機会になるものと考えます、と比較的今後の見通しに関してポジティブな見解を示しています。

 

りそなアセットマネジメントでは、3/10のレポートにて、今後の見通しを以下のようにまとめています。サウジアラビアがロシアとの減産協議決裂後、一転、増産の方針を示したことを受け、原油価格先物(WTI 期近)が30ドル台前半まで急落しました。これを受け、マーケットでは、北米シェールなどエネルギー関連企業の債務返済能力の問題が生じるとの懸念が急浮上しました。3/9の世界同時株安は、エネルギー関連企業の 『信用リスク』という新たな不透明要因が一気に織り込まれた形です。

 

FRBは 3 月 3 日に臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開き政策金利の 0.5%引き下げを決定しました。しかし、声明文では「適切に行動する」との文言を残し、早期追加利下げの可能性を示唆しました。FRBの緩和に前向きな姿勢を受け、マーケットでは来週のFOMCで更に0.5%の大幅利下げが行われるとの見方が広がり、週明けの急速なドル安・円高につながった形です。 ただ、9 日のNY市場で、ドル円相場は東京の終値とほぼ変わらず の102 円台で横ばいの動きが続いており、リスクオフ時の円買い圧力が限定的であることが改めて示されております。 この先のドル円相場については、引き続き、米国の政策金利見通しに左右されると見ており、 年後半には再びドル高基調に戻る展開を想定しております。

 

現在のマーケットは「不安」が支配している状態と考えられます。その「不安」が取り除かれるためには、1)新型コロナウイルス感染がピークアウトすること、2)経済的ダメージの抑制、 の2 点が必要と考えられます。 感染状況については、中国で感染の増加ペースが鈍化してます。これは、厳格な隔離措置が感染の封じ込めに有効であることを示唆するもので、同様の措置を採った韓国でも増加は鈍化傾向にあります。イタリアでは人々の移動制限を全国規模に拡大、米国でも8つの州が非常事態宣言を出すなど、ここ 1~2 週間で各国の対応が危機モードになったことは前向きな変化と考えられます。 他方、経済への打撃緩和策については、金融緩和策だけでなく、財政政策についても米議会が9000億円規模の新型コロナウイルス対策予算を採決、EUも財政パッケージを準備するなど新たな動きが出始めております。 マーケットが落ち着きを取り戻すためには、中国・アジアに代わって感染増加の最前線となっている欧州と米国での感染者数の増加ペース鈍化と、各国が協調して金融・財政両面から政策を総動員することが必要と考えられる、としています。

 

 

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