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みんかぶプレミアムとは今回から2回、「つみたてNISA」対象ファンドの分配金について触れてみようと思う。
ここで読者の皆さんは、「つみたてNISA」対象ファンドはそもそも分配金を出していないのだから、分配金のことなど気にする必要はないのではないか、と思われるかもしれない。
しかし、金融庁の「NISA特設ウェブサイト」にある、「つみたてNISA」の概要の部分では、「非課税対象」として、「一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益」と説明されている。
「分配金」が支払われることは、当たり前のことのように書かれているのだ。
実は、投資信託という金融商品は、そもそも分配することが大原則の金融商品である。
一般的に、投資家が株式や債券へ投資を行うと、株式の配当金や債券の利息を受け取る際に課税される。
それに対し、投資信託は、投資家から集まった資金(信託財産)で株式や債券に投資を行っても、株式の配当金や債券の利息を受け取る際に、一般的に課税されることはない。
これは、所得税法176条第1項の規定で、投資信託は株式の配当金や債券の利息を受け取る際に課税されないことになっているからなのだ。投資信託では、投資家(受益者)から集められた資金は、信託財産と呼ばれ、信託銀行のファンドごとの口座で管理されている。この信託財産から株式や債券に投資した場合、その配当金や利息は信託財産を管理している口座で受け取ることになる。その際、税金を控除されることなく、言い換えれば、税金を差し引かれることなく、配当金や利息の全額を受け取れるということである。
難しい言い方になるが、これを投資信託の「導管性」という。
どういうことかというと、受け取った配当金や利息は、本来の資金の出し手である投資家(受益者)に帰属するものであり、投資信託は単なるパイプ(導管)の役割を果たしているだけ、という考え方である。
課税されなかった株式の配当金や債券の利息は、信託財産に組入れられる。そして投資信託は、決算時に分配が可能な場合、その信託財産から配当金や利息などを原資として、原則として年一回、投資家(受益者)に分配金を支払う。そして、投資家(受益者)が、分配金を受け取る際に税金を納める、という仕組みになっているのだ。
これは「つみたてNISA」の対象となったファンドといえども、例外ではない。
「つみたてNISA」対象ファンドも投資信託である以上、分配金を支払うことは大前提である。「つみたてNISA」対象の各ファンドの分配方針にも、その表現は様々だが、分配を行う旨が記載されている。
では、実際はどうなのだろうか。
2022年1月末までの1年間に、分配金の支払い実績のある「つみたてNISA」対象ファンドは、筆者が調べたところ、「指定インデックス投資信託」で5ファンド、「指定インデックス投資信託以外の投資信託」で2ファンド、合計7ファンドあった。その中には、1万口あたり1,900円の分配を行っているファンドもあるのだ。
確かに現時点では、ETFを除く203ファンド(2022年3月末現在)の中で、分配を行っているファンドは7ファンドだけなので、さほど気にする必要はないのかもしれない。
しかし投資信託は、大原則として年一回分配することを求められている金融商品である、という点は理解していただきたい。そして、実際に7本のファンドが、分配を行っているという点も見逃せないだろう。
今後、もしかすると、「つみたてNISA」対象ファンドが分配をしなくてもいい、「無分配型」の投資信託として認められることがあるかもしれない。しかし、今のところ、そういう話は聞こえてこない。
つまり、現時点では、どのファンドであっても分配の可能性はあると考えておいた方がいいだろう。
さて、前置きが長くなってしまったが、本題に移ろう。
「つみたてNISA」における分配金に関して、金融庁の「NISA特設ウェブサイト」の「つみたてNISAに関する注意点」には、次の通り記載されている。
『非課税の対象となる分配金
・ETFの分配金は、証券会社を通じて受け取る場合(株式数比例配分方式を選択している場合)のみ非課税となります。
分配金再投資とスイッチング
・NISA口座で収益分配金の再投資やスイッチングを行う場合、その分の非課税投資枠が必要です。
収益分配金の再投資やスイッチングは、新規購入の場合と同様に非課税投資枠を利用します。そのため、その年の非課税投資枠(つみたてNISAの場合は40万円)を使い切っている場合、NISA口座内での収益分配金の再投資やスイッチングはできません。
特別分配金の取り扱い
・投資信託の分配金のうち、元本払戻金(特別分配金)は元本の払い戻しに相当し、利益として受け
取るものではないことから、課税口座(特定口座や一般口座)においても、そもそも非課税であり、NISAの非課税のメリットを享受できません。』
順に説明していこう。
まず「非課税の対象となる分配金」の部分だが、「つみたてNISA」では、「投資信託」に投資する場合と「ETF」に投資する場合で、分配金に対する取扱いが若干異なっている。
「つみたてNISA」においては、「ETF」の取扱い金融機関が極めて少ない。そのため、このシリーズでは「ETF」についてあまり触れてこなかった。今回は分配金に限ってETFについても触れてみよう。
まず、金融庁の分類でいう「指定インデックス投資信託」と「指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投信等)」に含まれるファンドに投資する場合は、どの金融機関に口座を開設しても、「投資信託」の分配金は、全て非課税の対象とされる(後述する「特別分配金」は別の意味で非課税)。
それに対し「つみたてNISA」対象の「ETF」の場合は、分配金の受け取り方法によって、非課税か課税か、が分かれるのだ。
「ETF」も投資信託の一つであるのだが、分配金については、上場株式の「配当金」と同等の取扱いとなっている。
現在「ETF」を購入できるのは証券会社のみだが、その「分配金」が非課税とされるのは、その受け取り方法として「株式数比例配分方式」を選択している場合だけなのである。
詳しい説明は省略するが、上場株式の「配当金」の受け取り方法には、①配当金受領証方式、②株式数比例配分方式、③登録配当金受領口座方式、④個別銘柄指定方式の4つがある。
実は「一般NISA」においても、上場株式に投資した場合に「配当金」が非課税となるのは、受け取り方法を「株式数比例配分方式」としている場合だけだ。
そして「つみたてNISA」において「ETF」へ投資を行う場合も、「分配金」の受け取り方法は、「一般NISA」と同様に、「株式数比例配分方式」にする必要があるということなのだ。
「ETF」に投資される方は注意が必要だろう。
ところで、「つみたてNISA」の利用者には、投資信託への投資が初めてという方もいるだろう。話はそれるが、この機会に投資信託の「分配金」について、簡単に説明しておこう。
まず、「分配金」と深く関連するものに、「個別元本」というものがある。
投資信託協会ウェブサイトの用語集によると、「個別元本方式」とは、「追加型投資信託の収益分配金や解約(償還)時の収益に対する課税計算を個々の受益者の取得価格(個別元本)を基に算出する方式のこと」ということだ。難しい用語が多くて、分かりづらいかもしれない。
分かりやすくいうと、「投資家ごとに、投資信託の購入時の価格を課税上の購入価格とすること」、それが「個別元本」のことである。この「個別元本」制度は、2001年4月から始まった。詳細は割愛するが、それ以前は、投資家の実際の購入価格と課税上の購入価格は違っていたのだ。
この「個別元本」は、「分配金」に密接に関係する用語なので、覚えておこう。
次に、「分配金」だ。
投資信託の「分配金」には、「普通分配金」と「特別分配金」という2つの種類がある。
「普通分配金」とは、「個別元本(購入時の基準価額)を上回る部分の分配金」のことだ。この「普通分配金」は、源泉徴収の対象とされ一定の税率で課税される。
一方「特別分配金」は現在、「元本払戻金(特別分配金)」という呼び方で使われている。
以前は「元本払戻金」という部分がなく、単に「特別分配金」とされていた。しかし、「普通分配金」に対する「特別分配金」という表現では、「特別分配金」には何か特別なプラスアルファがあるのではないか、と誤解を与えかねないということになり、2012年以降「元本払戻金(特別分配金)」が使われるようになったのだ。
そして、「元本払戻金」という部分が付け加えられたことからも分かるように、「特別分配金」は、「個別元本(購入価格)の払戻しに相当する部分」のことを意味する。決して何か特別なものではなく、投資家(受益者)が自ら投資した金額の払戻しに相当するということだ。
そのため「特別分配金」は非課税扱いとなるのだ。自分が投資したお金が戻ってくるだけなので、それに対し課税されるということはない。「特別」だから非課税なのではなく、もともと投資家の資金だから非課税なのである。
そして、「分配金」が「普通分配金」なのか「特別分配金」なのかの判断基準は、「分配金」を支払ったあとの、その投資信託の基準価額(投資信託の価格)が、「個別元本」よりも高いか低いかによる。
分配後の基準価額が「個別元本」より高い場合は、支払われた「分配金」の全てが「普通分配金」となる。
また、「分配金」が支払われたあとの基準価額が、投資家の「個別元本」よりも低くなる場合は、「分配金」の一部もしくは全部が「特別分配金」となる。
投資家ごとに「個別元本」は異なっているので、受け取る「分配金」が、「普通分配金」か、「特別分配金」かは、投資家ごとに違ってくるということを理解しておきたい。
今回はここまでとして、続きは次回としよう。
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配信元:NTTデータエービック
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