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インタビュー世界最大の運用会社ブラックロックに訊く

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2019/08/08 08:58

世界最大の運用会社ブラックロックに訊く

 今回は世界最大の運用会社といわれるブラックロックの日本法人ブラックロック・ジャパン社にお話をうかがいました。インタビューさせていただいたのは、取締役の浜田 直之様です。

 

 

―それではまず御社の概要について教えていただけますか。

 

 

 ブラックロックは1988年に設立され、昨年30周年を迎えました。現CEOのラリー・フィンクや社長のロバート・カピートが中心となって、モーゲージ債券に特化とした運用会社としてスタートしました。その後は、株式の運用に強いメリルリンチ・インベストメント・アドバイザーズを2005年に買収し、2008年には当時ETFの最大のプロバイダーであったバークレーズ・グローバル・インベスターズの買収などを経て、運用資産では世界最大の運用会社に成長しました。6月末時点で、グループとしてお客様からお預かりしている運用資産は約700兆円あり、世界100カ国以上の投資家の方々に幅広いプロダクトやソリューションを提供しています。

 

Pensions & Investments誌による「世界の運用機関資産残高ランキング」

Pensions & Investments誌による「世界の運用機関資産残高ランキング」

 

 

 

―御社の強みはどういったところですか。

 

 3つのポイントでご説明します。まず1つ目は、多種多様な投資対象資産を運用している点です。伝統的な株式や債券をはじめ、複合資産からなるマルチアセット戦略(絶対水準の目標を設定し、多様な投資対象へ機動的な資産配分で投資を行う戦略)、さらにはヘッジファンド、プライベート資産や不動産などのオルタナティブ投資も含み、幅広いラインナップとソリューションを提供できることが強みといえます。

 

約6.84兆ドル(約737兆円)に及び様々な資産を運用


 また、2つ目としては、ETFが挙げられます。iシェアーズというブランドでETFなどのインデックス商品を提供しています。iシェアーズETFの世界シェアは約35%で、なかでも債券ETFに関しては50%以上と、圧倒的なシェアを持っています。

 

 3つ目として、他の運用会社と大きく異なるのは、ブラックロックがテクノロジーの会社でもあるということです。我々の一番の強みはリスク管理にあると考えています。Aladdinという独自のリスク管理プラットフォームを開発しており、政府系機関から、大手金融機関、運用会社にいたるまで幅広い機関投資家にご提供しております。また、運用面でも、ETFにはテクノロジーが活用されており、ビッグデータの分析・活用、あるいはAIの技術が実際の運用にも活かされています。テクノロジーに着目すると、ブラックロックのライバルは、アマゾンやアリババ、グーグルなどテクノロジーの会社かもしれません。

 

 

 

―それ程グローバルで巨大な資産運用会社である一方、日本の一般投資家にはあまり馴染みのない方も多いのではないでしょうか?日本国内においては、どのようにビジネス展開をされているのでしょう?

 

 

 ブラックロックは機関投資家の間では知られていますが、個人の方はご存知ない方も多いと思います。一般の投資家向けに、販売会社である金融機関を通じて自社のブランドで提供している商品の数がそれほど多くないことや、他の運用会社に運用のエンジン部分のみを提供しており、表舞台にあまり出ていないことが影響しているのだと思います。ブラックロックの日本法人であるブラックロック・ジャパンには約360名おり、運用商品からAladdin、運用戦略のコンサルティングなどのソリューションに至るまで、幅広くサービスを展開しております。

 

 

―個人投資家の方にはどういった商品を提供しているのですか。

 

 前述のとおりですが、自社ブランドで提供している商品と日本の運用会社様と連携して提供している商品があります。個人の皆さまに商品を提供するには、マーケティングやサポート力が非常に重要であると思います。その点で強みがある経験豊富な日本の運用会社様が、投資家の皆さまのために我々の運用プロダクト、ストラテジーを必要と考えているのであれば喜んで提供させていただいております。

 

 他の運用会社の商品に組み込まれているケースとしては、アセットマネジメントOne様や三井住友DSアセット様を通して、マルチアセット戦略を用いたファンドを提供させていただいているのが代表的な例です。(一覧表参照)

 

 自社ブランドとしては、当社の特徴であり強みでもあるビッグデータ解析・活用といったテクノロジーを使ったブラックロック・米国小型株式ビッグデータ戦略ファンド(為替ヘッジなし)」、「ブラックロック・米国小型株式ビッグデータ戦略ファンド(為替ヘッジありなどがあります。

 

 

―ブラックロックというと金(ゴールド)のイメージを持っている投資家の方も多いようです。

 

 はい、金融緩和期待や地政学的リスクの高まりから、足元で金価格が急上昇していますが、ブラックロックにはゴールドのETFはもちろん、長いトラックレコードがある、金鉱株に投資するファンドがあります。金ではなく金を採掘する企業に投資対象を絞ったファンドを提供しているのは、世界でもブラックロックのみと自負しています。

 

 

―グローバルで資産運用を展開する御社として、海外と比較した場合、日本の個人金融資産の現状をどのように捉えていますか?

 

 海外、特に米国と日本を比較した場合、すべてにおいて米国が進んでいて、日本が遅れているということはないと思います。高齢化の進展に加えて、低金利の長期化など運用を取り巻く環境が世界で同質化しており、金融商品のトレンドも同じ傾向が見られるようになってきました。

 

ブラックロック・ジャパン 取締役 浜田 直之様

 

 

 

―日本の金融は米国に10年以上遅れていると、よく言われていましたが、必ずしもそうではないのは意外です。具体的にはどういうことですか。

 

 例えば、分配型ファンドを巡る動きです。

 

 米国でも従来から分配型ファンドはありました。ファンド内のインカム収入の90%以上を分配しないと法人税が課税されるので、毎月、毎四半期などの頻度で収益分配をしていますが、投資元本を取り崩すような日本の高分配ファンドは、以前は海外から奇異な目で見られていました。

 

 

―たしかに、元本を大幅に上回るような分配型には違和感がありますね。

 

 たしかに分配の水準については異常に感じられる部分もあります。ただ一方で、最近では、世界的な高齢化の進展を背景に、退職後の資金を確保する目的の多様化が進むにつれ、2007年頃から米国でも、運用を通じてリターンを追求しつつ、投資元本の一部も取り崩し定率分配する「マネージド・ペイアウト・ファンド」が登場しました。提供が始まったのが金融危機の時期に重なり、当初は伸び悩みましたが、ベビーブーマー世代が退職を迎え、関心が高まる中で、ここ数年は高い成長がみられるようです。日本でも呼応するように、分配水準(取り崩し比率)を明示するファンドが相次いで設定されており、その動向は米国でも注目されています。

 

 

 

―御社も日本の投資家向けに「マネージド・ペイアウト・ファンド」を提供されているのですか?

 

 

 ブラックロックでは、退職後の準備を十分にしないのは大きなリスクであると考えています。医学の進歩により健康寿命が延びているのに合わせて、資産の寿命も延ばしつつ、取り崩すことが重要と考えており、そのソリューションとして運用のエンジンを提供しているのが、三井住友DSアセットマネジメント様の「ライフジャーニー」シリーズです。

 

寿命の延びに伴い、「健康寿命」「資産寿命」が重要に

 出所:Neil et, Aging Money and Life Satisfaction: Aspects of Financial Gerontology, 1992より野村資本市場研究所作成の資料を基にブラックロックが作成

 

 

 

―お金を「育てる」と「使う」その両方に活用できるファンドと言えそうですね。では最後に、これから資産運用を始めようと考える方々へのメッセージをお願いします。

 

  

 政治のポピュリズムから起こった排他主義やナショナリズムなど、グローバリゼーションの巻き戻しが、今の不透明感をもたらしている要因の一つと考えていますが、その背景にあるのは“技術革新”だと思います。技術革新は、社会に大きな恩恵をもたらしていますが、一方で格差の拡大につながっています。この格差の問題が今のポピュリズムを生んでおり、国や企業などが格差是正に取り組むべきですが、それは容易ではありません。

 

 したがって、不透明感が強く、ボラティリティが高い(金融市場が上下に大きく変動する可能性が高い)時代を前提とすべきです。例えば、高速道路ではなく、県道を走っていると考えてみればどうでしょう。高速道路に比べて県道は曲がりくねっています。曲がりくねったことに遭遇しても驚かないことが重要です。

 

 こうした環境において重要なのはまず、短期の変化に負けないように、時間を味方につけて長期で地道に投資を続けることです。また長期投資の中で、何がどういう動きをするのか、各資産の値動きの特徴を理解することも大切です。それによって、短期的な動きに惑わされず、落ち着いた判断ができるようになります。最後に、値上がりにばかり気をとられて、偏った投資をしないことです。大きく損をしないためにも、様々な資産に分散することです。長期投資、時間分散、資産分散を心がけつつ、投資を始めてみましょう。

 

 

 

【インタビュアーより】

 米国で日本の投信の動向に注目しているというのは意外でした。毎月分配型ファンドは、1990年代半ばに米国籍の外国投信を日本に持ち込んだのが最初で、その後2000年代に入り人気化したものの、一方で高すぎる分配水準など様々な問題点も指摘されてきました。

 今後は、「ライフジャーニー」シリーズのように、トータルリターンと分配率の水準が適正なファンドが主流となっていくのではないでしょうか?

 

 

《一覧表》

【アセットマネジメントOne】

グローバル・アロケーション・ファンド毎月決算・為替ヘッジなしコース(目標払出し型)(世界街道)

グローバル・アロケーション・ファンド年2回決算・為替ヘッジなしコース(目標払出し型)(世界街道)

グローバル・アロケーション・ファンド毎月決算・限定為替ヘッジコース(目標払出し型)(世界街道)

グローバル・アロケーション・ファンド年2回決算・限定為替ヘッジコース(目標払出し型)(世界街道)

 

グローバルドライブ(3ヵ月決算型)限定為替ヘッジ

グローバルドライブ(3ヵ月決算型)為替ヘッジなし

グローバルドライブ(年1回決算型)限定為替ヘッジ

 

グローバル・アロケーション・オープンAコース(年1回決算・為替ヘッジなし)

グローバル・アロケーション・オープンBコース(年4回決算・為替ヘッジなし)

グローバル・アロケーション・オープンCコース(年1回決算・限定為替ヘッジ)

 

【三井住友DSアセットマネジメント】

日興ブラックロック・ハイ・クオリティ・アロケーション・ファンド(為替ヘッジなし)

日興ブラックロック・ハイ・クオリティ・アロケーション・ファンド(限定為替ヘッジ)

日興ブラックロック・ハイ・クオリティ・アロケーション・ファンド(為替ヘッジなし/年2回決算型)

日興ブラックロック・ハイ・クオリティ・アロケーション・ファンド(限定為替ヘッジ/年2回決算型)

 

ライフ・ジャーニー(かしこく育てるコース)(最高の人生の描き方)

ライフ・ジャーニー(かしこく使うコース)(最高の人生の描き方)

ライフ・ジャーニー(充実して楽しむコース)(最高の人生の描き方)

 

人生100年応援ファンド(資産成長コース)(みらいストーリー)

人生100年応援ファンド(ちょっぴり受取コース)(みらいストーリー)

人生100年応援ファンド(おもいっきり受取コース)(みらいストーリー)

出所:NTTデータ エービック


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