長期投資のすすめ12~為替ヘッジに必要なコスト~
前回ご紹介した為替ヘッジは金利差と需給によって変わり、ヘッジに必要なコストの中で大部分を占めるのが交換する相手の国と日本の短期金利差になります。米ドル建て資産の事例だったので、この場合はアメリカと日本の短期金利差になります。これに追加分の金利を加えたものがコストです。何回も取り上げましたが米ドルは世界中で使われており需要がある通貨です。なので、世の中でドルが足りなくなっている場合(○○ショックなどが発生した時など)はこの追加分が大きくなります。
この例では日米金利差がどんどん大きくなっていくとコストが膨らみます。そもそも債券は買う人が沢山いれば金利は下がるのですが、最大の買い手である米国の中央銀行である連邦準備銀行がどれくらいの資産を買っているのか、そして米国短期金利はどのように動いているのかを確認しましょう。
(出所:Refinitiv)
赤が短期金利です。2021年2月現在は2019年からの購入規模拡大に合わせて下がっていますが、2008年より手前では5%を超えていることが分かります。過去20年間の推移を確認しましょう。オレンジが米国の短期金利、紫が日本の短期金利になります。
(出所:Refinitiv)
オレンジの方が高い金利になっていますので、この場合は差分が大まかなコストです。海外の債券に投資した際のリターンはインカム(利金のコツコツとした積み上げ)とキャピタルゲイン・キャピタルロス(債券価格の値動き)と為替変動に分かれます。せっかく為替リスクを抑えたとしてもリターンはコストで消えてしまいます。
みんかぶ投信で調べよう!
実際に購入できる投資信託で長期推移を確認しましょう。みんかぶ投信で確認できる「インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)1年決算型」・「インデックスファンド海外債券(ヘッジあり)1年決算型」の比較になります。黄色が「ヘッジなし」・赤が「ヘッジあり」です。またこのファンドの通貨別構成比は2021年1月29日時点のもので大部分が米国と欧州になっています。
(出所:日興アセットマネジメント)
これらの結果をみると、どうやら過去20年間は為替ヘッジコストが大きな足枷になってしまったことがわかります。上記サンプルの投資信託に組み込まれているユーロや英国ポンドはもっと為替ヘッジコストが低いです。それらの国で為替ヘッジを検討すればいいのではないかと思う方も多いと思いますが、みんかぶ投信でぜひ海外の債券ファンドを検索して下さい。その多くが米ドル建てなのです。債券以外でも原油など様々な海外の資産が米ドル建てになっています。為替ヘッジの仕組みと結果を見ながら、リターンの源泉である原資産に注目しながらご自身に最適なリスク量とリターンを見極めることが大切になります。
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❏長期投資のすすめ10~新興国投資の大きなリスク「為替」との付き合い方~
配信元:ミンカブ・ジ・インフォノイド
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順位 | ファンド名 | 運用会社 | レーティング(1年) |
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1 | インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)1年決算型(DCインデックス海外債券(ヘッジなし)) | 日 興 |
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2 | インデックスファンド海外債券(ヘッジあり)1年決算型(DCインデックス海外債券(ヘッジあり)) | 日 興 |
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このコラムの著者

みんかぶ編集室 (ミンカブヘンシュウシツ)
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