『歴史的下落局面でも資金流入は継続』 ~3月の資金流出入状況から~

2020年3月の投資信託の概況が投資信託協会から発表されました。
公募株式投信(ETF除く)の設定額から解約額と償還額を差し引いた資金増減額は、3,223億円増となりました。
運用資産減少額は歴史的水準
コロナショックにより、3月の世界の金融市場は歴史的な下落に見舞われました。
それにより、3月中の運用資産減少額は、7兆3,931億円となり、大幅減少となった2月から倍以上に膨らみました。
この減少額は月末時点での集計ですので、市場が最も下落した3月中旬での減少額は、さらに大きかったと推測されます。
月間の減少額、7兆3,931億円は、リーマンショック後(2008年10月)の9兆3,973億円に次ぐ水準です。
資金流入額は高水準を維持
昨年後半、3か月間は利益確定の換金により資金流出となりましたが、2020年は、年初から資金流入が続いています。
1月、2月と比べ、3月は解約額が増加したものの、それ以上の設定額も増加しました。
歴史的な下落局面にありながら、高水準で資金流入額が継続しているのは以下の要因が考えられます。
① 昨年後半に利益確定をしていた投資資金の還流
② 積立投資の普及による投資環境に左右されない買付の増加
⓷ 資産形成目的(長期投資)
ファンド分類別 年初来の資金流入額上位ファンド
【国内株式型】
ファンド名 | 運用会社 | 資産流出入額(百万円) | |
2019年10月~12月 | 2020年1月~3月 | ||
日経225ノーロードオープン | AM-One | -53,052 | 58,011 |
インデックスファンド225 | 日 興 | -43,845 | 19,024 |
しんきんインデックスファンド225 | しんきん | -124,84 | 15,107 |
MHAM株式インデックスファンド225 | AM-One | -37,400 | 13,976 |
三井住友・225オープン | 三井住友DS | -13,689 | 13,913 |
国内株式型の上位はすべて日経平均連動型インデックスファンドとなりました。
上位5ファンドとも、昨年後半の資金流出から、年初来では資金流入に転じています。
利益確定していた資金が還流しているものと思われます。
【国際株式型】
ファンド名 | 運用会社 | 資金流出入額(百万円) | |
2019年10月~12月 | 2020年1月~3月 | ||
ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンド(アメリカン・ロイヤルロード) | Tロウプライス | 148,272 | 123,556 |
GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズBコース(為替ヘッジなし)(nextWIN) | G S | 0 | 113,168 |
ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) | ピクテ | 177,001 | 111,877 |
次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G) | 三井住友トラスト | 20,250 | 93,479 |
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 | アライアンス | 36,038 | 63,728 |
昨年後半も年初からも継続して資金流入しています。新規設定から日の浅いファンドが多い中、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」の検討が目立ちます。
【バランスファンド】
ファンド名 |
運用会社 | 資金流出入額 | |
2019年10月~12月 | 2020年1月~3月 | ||
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型) | 日 興 | 156,912 | 72,098 |
マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンド(スマレバ) | 大 和 | 56,790 | 57,172 |
インデックスコレクション(バランス株式30) | 三井住友トラスト | 633 | 48,224 |
リスクコントロール世界資産分散ファンド(マイスタート) | AM-One | 43,746 | 45,879 |
グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型) | 日 興 | 92,091 | 41,321 |
昨年来、注目が高まっているレバレッジ型バランスファンドが3本となりました。
但し、「グローバル3倍3分法ファンド」は、(1年決算型)(隔月分配型)ともに、年初来の資金流入額は、昨年後半の半分以下となっています。設定来、初めて基準価額が大幅に下落する局面となったことで、様子を見ている投資家が多いのかもしれません。
【REITファンド】
ファンド名 | 運用会社 | 資金流出入額(百万円) | |
2019年10月~12月 | 2020年1月~3月 | ||
ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) | 大 和 | 40,238 | 38,607 |
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) | 大 和 | 46,199 | 35,802 |
ニッセイ世界リートオープン(毎月決算型) | ニッセイ | 18,758 | 19,552 |
J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) | 三井住友トラスト | -12,851 | 14,554 |
ダイワ米国リート・プラス(毎月分配型)為替ヘッジなし | 大 和 | 24,872 | 13,038 |
「J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)」は、昨年後半に流出した資金の以上の資金が流入しています。
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❑ 『年間では、23年ぶりの資金流出』 ~12月の資金流出入状況から~
配信元:NTTデータ エービック
関連銘柄
順位 | ファンド名 | 運用会社 | レーティング(1年) |
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1 | ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) | 大 和 |
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2 | ダイワ米国リート・プラス(毎月分配型)為替ヘッジなし | 大 和 |
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3 | ニッセイ世界リートオープン(毎月決算型) | ニッセイ |
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4 | ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) | ピクテ |
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5 | インデックスファンド225 | 日 興 |
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6 | GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズBコース(為替ヘッジなし)(nextWIN) | G S |
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7 | MHAM株式インデックスファンド225 | AM-One |
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8 | J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) | 三井住友トラスト |
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9 | 次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G) | 三井住友トラスト |
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10 | インデックスコレクション(バランス株式30) | 三井住友トラスト |
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11 | 三井住友・225オープン | 三井住友DS |
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12 | ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンド(アメリカン・ロイヤルロード) | Tロウプライス |
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13 | グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型) | 日 興 |
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14 | グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型) | 日 興 |
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15 | ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) | 大 和 |
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16 | マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンド(スマレバ) | 大 和 |
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17 | 日経225ノーロードオープン | AM-One |
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18 | リスクコントロール世界資産分散ファンド(マイスタート) | AM-One |
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19 | しんきんインデックスファンド225 | しんきん |
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20 | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 | アライアンス |
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このコラムの著者

NTTデータエービック (エヌティーティーデータエービック)
投資信託の評価機関として蓄積した各種データをもとに、みんかぶ投信のニュースやレポート、コラムを執筆しています。また、投信会社を訪問し、話題の投資信託等のインタビュー記事など投資に役立つコンテンツを提供しています。
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