長期投資のすすめ16～株式投資ってなんだろう？～

株式投資の魅力として３つの特徴が日本証券業協会のホームページに掲載されています。売却益や配当金は資産形成の重要なポイントです。株主優待も好きな会社の商品やサービスを受け取れたら嬉しいですね。

（出所：日本証券業協会）

まず１つ目の譲渡（売却）益は前回説明したリスクプレミアムのことです。元本が変動しない預金とは異なり、上がったり下がったりする幅を受け入れることの対価として手に入ります。企業が成長して利益を出し続けると、その企業の期待値と共に変化しながら株価が上昇していくはずです。２つ目の配当金は債券のように発行時に決まっているものではありません。出した利益に応じて変化していくものです。変化という単語が何回も出てきますが、株式の値段である株価は、明日の値動きがわかりません。企業とは年に１回本決算を出しますが、１日で大きく売上や利益が伸びたりすることは稀です。短期の株価の値動きは、企業が生み出す利益とは違い、市場の期待に大きく左右されます。長期投資や毎日株価を見ないという発想はここから来ています。本質的な企業の強さや解決する社会課題を応援し、それにより収益と配当を得ることを投資と呼ぶのであれば、期待にお金を賭けることは投機とも言えるでしょう。

また株式投資によって得られる配当と定期預金の金利には大きな差があります。

　（出所：日本証券業協会）
 

いままでご紹介した債券投資の世界ではなかなか目にすることのできない「円建て」の利回りになっています。
 

大きく３つの魅力があることが分かりましたが、そもそも株式投資とはなんでしょうか。その名の通り「株式」と「投資」に分割できます。株式とは有価証券であり、保有していると株式会社の所有者になれる権利を持つことができます。上場している会社の株主になるということは、他のたくさんの株主と一緒に、その会社の共同所有者になることです。会社で一生懸命に働いてる従業員の皆さんと経営者の努力で積みあがった利益や業績に応じて、先ほどの３つの魅力を手にすることができるのです。会社の持ち主は経営者ではなく株主なので、自分は働かなくても、所有者として享受できます。

持ち主には議決権という会社の様々なことを決められる権利があり、社名を変えたり社長さんを交代させたり、会社を解散して残った財産を共同所有者全員で分けることもできるのです。自分が好きな商品や定期的に利用しているサービスを提供している会社の所有者になれば、それを通じて会社と社会に関する新たな発見や、お金以外のリターンも得られるかもしれません。

残り半分の「投資」は株式を発行した会社が生み出す利益が源泉になります。日々の値動きは期待によって構成されて「投機」の要素となりますが、会社は１日では成長できません。投資をして人があつまり事業ができてようやく売上が立ち、黒字化した時に利益が蓄積され、大きくなったタイミングで配当として分配されることもあります。
　
企業が育つのに時間がかかるのと同じく、その集合体である各国の株式市場でも同じことが言えます。例えば日本であれば、東京証券取引所の一部上場銘柄で構成されるTOPIXや日本経済新聞社が225銘柄から算出する日経平均が、マーケット全体を購入する指数として有名です。日経平均は算出を開始した1950年9月7日に110円82銭でしたが、2021年4月現在は29,000円前後です。これは日本という国が戦後の高度経済成長期と平成のデフレを経て辿り着いた経済の成長履歴と表現することができるでしょう。
　
証券会社を通じた個別企業への投資から、指数やそれに連動する投資信託で日本や世界全体を購入することで、自分のお金が日本と世界の経済を成長させる源泉になり、経済成長と一緒に長い時間を経て資産を作っていくのが、株式市場の仕組みなのです。
 

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