長期投資のすすめ15～銀行と証券会社の役割～

まず株式は証券会社で購入することができます。世の中には会社が沢山あり、株式を購入することでその持ち主になることができるのです。前回までに紹介した債券の購入はこれと異なり、お金を貸すことになります。会社や国にお金を貸して、期間と信用に応じて決まる利息を、時間をかけて貯めていく投資方法です。ある程度の確率で返ってくることが計算できるため、複利でコツコツと増やしていく方法に適しています。社会全体で考えると、銀行などが企業にお金を貸す間接金融と、証券会社が証券取引所を介して株式の購入機会を提供する直接金融があります。　

銀行に預金をすると、そのお金が融資や国債の購入等に活用され、企業を育てたり、公共事業の財源になるのです。見えないところでお金が働いています。しかし、預金者である私たちが、その対価として銀行から受け取れる利息は非常に少なく、資産形成にあたっては他の方法を探す必要があります。昔は預金金利が数%の時代がありました。現在は株式投資で期待する程の収益が、元本の変動しない預金で得られたのです。

（出所：日本証券業協会）

会社の持ち主になれる株式投資は、債券投資に比べるとリスクが大きくなります。リスクとは上がったり下がったりする幅のことです。元本自体が変動するので、決まったペースで増えていく預金やお金を貸す投資とは違います。例えば3年間、毎年2%で増えていても翌年10%下落して一気にマイナスになる可能性もあるのです。ちょっと怖かったり、減ってしまう可能性があるのであれば株はやめておこうと考える方もいると思います。

ただ、現金もその価値は常に変わっています。スーパーへ行った時に野菜の値段が高くなっていたり、ガソリンスタンドで給油する際に一か月前と比べて急激にガソリン代が上がったり下がったりしている事がありますね。モノの値段である物価が動くことで手元にある現金で買える範囲も変わっているのです。

債券が毎年利息をコツコツ増やしていくのはイメージがつきやすいと思いますが、株式は上昇と同じく下落の可能性があり、「コツコツ」にはそぐわないという考え方もあるかもしれません。もちろん債券にも株式に比べると小さい幅ですが価格変動はあります。銀行預金は変動しないのでリスクはありません。この差である価格変動部分を「リスクプレミアム」と呼びます。

債券と株式の比較には様々な観点があると思いますが、最も大きな違いは「期間」ではないでしょうか。お金の貸し借りにはスタート地点で期限があります。債券とは○○までに返済するという借用書です。

しかし、株式市場は様々な危機に直面しながらも続いています。資本主義が崩壊しないかぎり会社を売買する場所はなくなりません。債券市場にも同じことが言えますが、単なるお金儲けの場所ではありません。例えば国の発行した債券である国債を購入すると、公共事業に使われます。これによって橋がかかったりダムができたりスマホから確定申告ができるシステムが開発されたり、様々なインフラに投資を行うことで日本という国の「暮らしやすさの向上」につながります。株式市場で新しく発行される株を購入すると、それを元手に企業は新たな投資を行うことができます。生み出された「商品やサービスの向上」に貢献することができるのです。また日本だけではなく、外国やアジア・ヨーロッパという地域や、全世界の株式市場にまとめて少額から投資することができます。全世界株という分散された人類の経済成長と共に老後の資金を作っていくことができるのです。

　（出所：日本証券業協会）

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