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シブサワ・レター ~こぼれ話~ 第22回「日本は世界に門を開け!」

インタビュー
配信元:NTTデータエービック
投稿:
シブサワ・レター  ~こぼれ話~ 第22回「日本は世界に門を開け!」

シブサワ・レター ~こぼれ話~

第22回「 日本は世界に門を開け!」

 

日本資本主義の父 渋沢  栄一 から数えて5代目に当たる渋澤 健が、世界の経済、金融の “今” を独自の目線で解説します。

 

第22回のテーマは「日本は世界に門を開け!」です。

 

 

 

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 

前回のレターでは、若者たちが「純粋な気持ち」を発揮する環境を整えることが、日本企業の競争力や存在感へとつながるという課題をお示しいたしました。今回は、その続編です。現在、「純粋な気持ち」を日本で発揮したいと希望を持つ数多くの若者たちが、抜け出せる見通しが立たないトンネルの暗闇の中で悶々とした思いを抱いています。コロナ禍の水際対策で入国が阻止されている外国人研究者・留学生たちです。

 

先月、YouTubeビデオで、日本入国の水際対策によって二度とない大事な2年間を入国できないまま途方に暮れた留学生の生の声を聴いて、改めてコロナ禍の世界における日本の立ち位置を危惧してしまいました。

”I gave up on studying in Japan and here’s why”

https://youtu.be/wgxsJmkc4Pw

 

面白おかしく編集してあるテイストについて、難色を示す反応はあるかもしれません。ただ、投稿者であるマレーシア人の彼女が発信している体験談はリアルです。日本国内に暮らす自分が知らなかったことに驚きを感じると同時に、日本に暮らしたいと思う外国人に対して門を閉ざしてきた自分の国のスタンスに、恥じ入りました。

 

さらに、ビデオの内容に加え、数多く寄せられているコメントにも衝撃を受けました。【注:以下は英文の翻訳】

 

・ちょっと変に聞こえるかもしれないけど、他の人も日本行きを諦めたのを見ると良い気分になる自分がいる。同じ判断を去年7月に下したけどその後は遥かにハッピーだよ。

 

・自分は1年以上、入国を待っている37万人の一人。あなたが言うように、我々は寄生虫ではない。達成したい目的があるから日本を選んだのだ。

 

・同じく。自分は金と時間を無駄にした。

 

・幸運を祈る。自分も2年間の悪夢を経て次の展開を望むよ。日本に悪い影響があることを願っているよ。人を入国貨物のように扱うなんて。

 

・日本の鎖国的な政策はまだ存在感を発揮しているようだね。大きな悲劇だ。日本で国際ビジネスを展開しようと考えていたのに。

 

・自分も日本でインターンすることを諦めた。2022年の3月31日から始めるはずだったけど、結局、韓国のソウルに変更したよ。

 

・助けて。2020年3月から待っている。自分の人生は台無しだよ。多大な債務を抱えている。学費や入学費を払うために借金している。どうすれば良いの。

 

自国民の生活を守ることは、政府が最も優先すべき重要な役割であり、大前提です。ただ、日本の味方を世界で増やすことで国民の豊かで安全な生活をこの世の中に導くことも、間違いなく政府の重要な役割です。特に、世界の安全保障情勢が揺らいでいる昨今では、急務だと痛感します。外国人留学生や研究者は、日本に関心を寄せてくれており、味方になり得るとても貴重な存在です。

 

分断や格差を乗り越える、日本発の「新しい資本主義」で世界をリードしたいと岸田総理は宣言されています。「人への投資」とは、世界の若手世代も対象とし、しっかりと実践することが極めて重要です。現在、民間有識者を加えて討議している「新しい資本主義」を国内だけに閉じてはならないと思います。国内に閉じるだけのものになると、世界をリードすることが不可能であることは明白です。

 

2月末までの水際対策の期限を終えて、現在のオミクロン株の感染による重症者・死者の数が低位に推移しているようでしたら、ただちに研究者・留学生の入国問題の是非に取り組んでいただきたいと思います。これからの時代の新しい資本主義の実現には、日本が世界の次世代と手を組むことが不可欠です。

 

前回のレターでご紹介した日本人大学生の「コロナ果」を実現させるには、目の前のコロナ禍の状況だけに血眼になることなく、視野を広めなければなりません。「人への投資」とは未来への投資であるという認識を、日本国内だけではなく、世界にも広めるメッセージングが大事です。これは、政府だけに求めることなく、我々が自分事として向き合う必要があります。

 

どれほど信ぴょう性のある世論調査かわかりませんが、8割の日本人が留学生の入国規制(隔離期間やワクチン接種ではなく遮断)に賛同していると言われています。政治は世論に答えなければならない、ただ、これが現在の日本社会の実態だとすれば、日本人は自分たちの目先のことしか考えない、鎖国化に陥っていると危惧します。

 

日本において鎖国的な感情が広まるようでは、「新しい資本主義」の実現は遠のくだけです。成長と分配の好循環を国内の枠組みだけに留めると、将来の人口動態という現実的な限界があります。グローバルな好循環により、日本社会が世界と共に繁栄するMade With Japanの成功体験を築くことで、日本の新しい資本主義の実現が国内外の後世から評価されることになります。

 

礼儀、道義、忠恕。これらは日本人が昔から尊んでいる徳です。自己中心的にならず他の人にも配慮する。人として当たり前のことを、当たり前にすることです。この当たり前のことを、日本に好意を持っている若者たちに示すことなく、無関心な社会をつくってしまったのは我々現役の日本人です。このような国を、私は、未来の日本人、未来の世界に残したくありません。コロナ禍ではなく、ぜひコロナ果を後世に渡しましょう。

 

 

□ ■ 付録: 「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □

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 https://bit.ly/3uM0qwl

 

 

「渋沢栄一 訓言集」国家と社会

 

国交をして、道理正しく安全を保ちて、

いやしくも危険なからしむるは、

これ国を愛する者の当然の義務である。

 

道理を正しく安全を保つ。是非とも日本政府は、このスタンスで国交を求めてくる外国人に接していただきたいです。「道理」とは、決まったルールに無分別に従う思考停止ではなく、何が正しいかということを常に問い続けながら最善な解決策に至ることだと思います。

 

「渋沢栄一 訓言集」国家と社会

 

維新の革新までは、長い間武家政治であった。

  その間に行われていた制度はこの革新により破られ、

  それと同時に、旧事物は打ち砕かれて、

  玉石とともに一掃された。

 

  保存すべき物も破壊したり、

  尊ぶべきものも卑しんだり、

  甚だしきは親子師弟の関係までも、

  取り失うように行き走った。

 

  ゆえにこの弊害からいうと、

  維新などと言い得ぬかもしれない。

 

  ここが弊のみを見て、

  功を没するかなかれという主要の点である。

 

まさに、この栄一の教えが、コロナ禍ではなく、「コロナ果」を実現させるために主要な心構えだと思います。今こそ、日本は「功」を世界へ示すべきです。

 

謹白

❑❑❑ シブサワ・レターとは ❑❑❑
1998年の日本の金融危機の混乱時にファンドに勤めていた関係で国会議員や官僚の方々にマーケットの声を直接お届けしたいと思い立ち、50通の手紙を送ったことをきっかけとして始まった執筆活動です。
現在は今まで色々な側面で個人的にお知り合いになった方々、1万名以上に月次ペースにご案内しています。
当初の意見書という性格のものから比べると、最近は「エッセイ化」しており、たわいない内容なものですが、私に素晴らしい出会いのきっかけをたくさん作ってくれた活動であり、現在は政界や役所に留まらず、財界、マスメディア、学界等、大勢の方々から暖かいご声援に勇気づけられながら、現在も筆を執っています。

渋澤 健

【著者紹介】
渋澤 健
シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役。コモンズ投信株式会社取締役会長。1961年生まれ。69年父の転勤で渡米し、83年テキサス大学化学工学部卒業。財団法人日本国際交流センターを経て、87年UCLA大学MBA経営大学院卒業。JPモルガン、ゴールドマンサックスなど米系投資銀行でマーケット業務に携わり、96年米大手ヘッジファンドに入社、97年から東京駐在員事務所の代表を務める。2001年に独立し、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業。07年コモンズ株式会社を創業(08年コモンズ投信㈱に改名し、会長に就任)。経済同友会幹事、UNDP(国連開発計画)SDGs Impact運営委員会委員、等を務める。著書に『渋沢栄一100の訓言』、『人生100年時代のらくちん投資』、『あらすじ 論語と算盤』他。

 

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渋澤 健 (シブサワ ケン)

シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役。

コモンズ投信株式会社取締役会長。

1961年生まれ。69年父の転勤で渡米し、83年テキサス大学化学工学部卒業。財団法人日本国際交流センターを経て、87年UCLA大学MBA経営大学院卒業。

JPモルガン、ゴールドマンサックスなど米系投資銀行でマーケット業務に携わり、96年米大手ヘッジファンドに入社、97年から東京駐在員事務所の代表を務める。

2001年に独立し、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業。

07年コモンズ株式会社を創業(08年コモンズ投信㈱に改名し、会長に就任)。

経済同友会幹事、UNDP(国連開発計画)SDGs Impact運営委員会委員、等を務める。著書に『渋沢栄一100の訓言』、『人生100年時代のらくちん投資』、『あらすじ 論語と算盤』他。

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