『純資産総額は2か月連続で過去最高額を更新』～2023年3月資金流出入状況から～

2023年3月の投資信託の概況が投資信託協会から発表されました。
公募株式投信（ＥＴＦ除く）の設定額から解約額と償還額を差し引いた資金増減額は、6,112億円増となりました。

運用による資産減少を上回る資金流入で純資産総額は過去最高額

2023年3月の設定額は2兆1,518億円、解約額は1兆5,001億円、償還額は405億円で6,112億円の資金流入となりました。

2か月連続でプラスだった運用による資産増減額は、マイナスに転じ194億円の資産運用減となったものの、資金流入額が上回り純資産総額は、4,551億円増加しました。

2023年3月末の純資産総額は88兆9,358億円となり、前月に続き最高額を更新しています。

投信への資金流入が継続し、過去最高額を更新している投信の純資産総額は、2024年には、NISA制度の拡充・恒久化が図られる予定であり、更に増加が見込まれるところです。

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠が設けられることになっていますが、対象となるファンドには一定の制限が設けられる予定です。

意外と多い？新NISA除外対象ファンド

つみたて投資枠の対象ファンドは、「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」となっており、現行のつみたてNISAと同じです。成長投資枠では、信託期間20年未満と高レバレッジ型及び毎月分配型が対象から除外されることになっています。

毎月分配型ファンドとブル・ベア型ファンドなどに加えて、信託期間20年未満のファンドも除外となると、除外対象ファンド数は少ない水準ではないと思われます。

2023年3月末の純資産総額上位20ファンド（ETF、ラップ用ファンド、DC向けファンドを除く）について、現時点（2023年3月末）での決算回数や信託期間等を基準に新NISA（つみたて投資枠・成長投資枠）の対象となるかどうかを確認しました。

新NISAのつみたて投資枠の対象ファンドとなると予想されるのは、純資産総額上位20ファンド中、6ファンドです。

新NISAのつみたて投資枠の基準となる現行のつみたてNISA対象ファンドは、利用者が選びやすくする目的もあって相当ファンド数が絞られている（2023年4月7日現在218ファンド、除くETF）ことを考えると妥当なファンド数であると思われます。

一方、成長投資枠の対象となると予想されるのは、純資産総額上位20ファンド中、10ファンドです。言い換えると、現時点の基準では半数は対象外になります。

20ファンド中、毎月分配型が7ファンド、信託期間が20年未満のファンドが6ファンドあります。

毎月分配型ファンドを保有している投資家は、毎月、分配金が受け取れることに価値を見出しているので、保有者の意向に背くことになる約款変更（分配頻度を減らす）の可能性は極めて低いと思われます。

一方、信託期間の変更については、既存の保有者の意向を背くものではないと考えられるので、純資産総額が大きいファンド等は、信託期間を無期限に変更する可能性が高いのではないでしょうか。

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