長期投資のすすめ32～金（GOLD）と2つの金利と先物投資の注意点～

コモディティとして金（GOLD）も取り上げていきます。イメージしやすいものは「金の延べ棒」でしょうか。地金（じがね）と呼び、保存しやすいように鋳造したものです。一般社団法人 日本金地金流通協会のホームページにある画像を確認してみましょう。

何かのマークと数字が記載されています。

（出所：一般社団法人　日本金地金流通協会）

金も原油と同じく、値段を決める場所がいくつかあります。投資信託を通じて投資をする際の目論見書にも記載がありますが、ロンドンのLondon Bullion Market Association（LBMA）が代表的です。1987年に設立され、様々な国から代表的な企業や組織が加盟しています。そこから公認されたマークと、重さや番号などが記載されています。

投資の方法には複数あり、ETFを上場させている東京証券取引所の比較表が詳しいため以下に引用いたします。

（出所：東証マネ部「【2020年版】徹底比較！金投資方法のメリット・デメリット」）

もし金の延べ棒を持っていると、個人的には嬉しかったり飾ることで意味を持つのかもしれません。しかし、いままでお伝えしていた価格変動以外のリスクが発生します。これを少なくするために家や金庫に現物の金を保管するのは多くの人にとって難しい選択肢のはずです。投資信託は銀行でも買うことができ、金ETFは証券会社の口座が必要ですが、一部は金現物に交換することも可能です。
 

前回の原油と同様、投資家の需給動向に大きな影響を受けます。また、原油と同じく金自体が何かの企業活動をしてリターンの源泉である収益を生み出すことはありません。債券のようなタイプの金利もなく投資家の売買動向と米国の金利に大きな影響を受けます。

（出所：リフィニティブ）

米国の実質金利が下がると金価格（米ドル建て）は上昇しやすいと言われています。将来、モノの値段が上がるインフレが起こりそうと予想されるのに預金金利が低いままだと、銀行に預けても実際に購入できるモノの量は少なくなってしまいます。その場合は金のようなコモディティの出番となることもあるのです。

ただし、いつもそうとは限りません。実際に米国10年債利回りを追加した今年のチャートを確認しましょう。右軸は逆目盛りなので注意してください。2021年1月から3月までは金利上昇局面では金価格が下落していますが、2021年10月はオレンジの金価格と水色の金利が逆に動いています。つまり金利が上昇しても価格が先ほどの傾向とは逆に上昇しているのです。

（出所：リフィニティブ）
 

マーケットの、特に需給で動く資産クラスの理由は後付けです。利益を出して期待値をあげれば上昇する世界とは異なります。世界と資本主義の成長にお金を預けて少ない価格変動リスクを受け入れながら長期分散投資を行うスタイルとは違うことが、ここからもわかると思います。

 

金利を生まない金（GOLD）と言われていますが、貸借マーケットは存在します。そこでは金利ではなくGold Lease Rates（GLR）と呼ばれます。金の現物を貸し借りするのは鉱山会社などですが、借り手はあまりおらず、わざわざヘッジ売りをする人もいないはずです。また0%近辺を推移しており、あまり注目する必要はありませんがドル金利ースワップレートで算出することができます。

（出所：リフィニティブ）

Leaseという名の通り、リース取引になりますが、ドル調達後に金（Gold Spot）を買って一定期間後に金を受け渡すのと同じことです。一般の投資家には関わりのない世界ですが、参考情報とて紹介いたしました。

代表的な資産クラスとして原油と金の2つを本連載では取り上げ、コモディティは終わることとします。
 

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