『NISA効果で設定額、資金流入額は高水準』～2024年1月資金流出入状況から～

2024年1月の投資信託の概況が投資信託協会から発表されました。
公募株式投信（ＥＴＦ除く）の設定額から解約額と償還額を差し引いた資金増減額は、1兆3,107億円増となりました。

設定額、資金流入額ともに高水準

2024年1月は、設定額3兆7,819億円、解約額2兆4,531億円、償還額180億円で1兆3,107億円の資金流入となっています。

昨年後半から好調な投資環境を受け、運用による資産増減額も4兆1,754億円と高水準となり、1月末の純資産総額は、過去最高額の111兆5,956億円となりました。

新NISA効果化で設定額は高水準であるが過去最高ではない

今年からNISAの非課税枠が拡大、恒久化したのを受け、1月の月間設定額は、3兆7,819億円の高水準となりましたが、これは過去水準ではありません。

2013年3月から2013年5月までの3か月間は、月間設定額が2024年1月より多くなっています。

2013年当時の投資環境と投信販売状況

2013年は、2012年12月の発足した第2次安倍内閣が「アベノミクス」を進めた結果、記録的な株高、円安となった年です。

日本株は、日銀が2013年1月に無期限の金融緩和、4月に異次元緩和を決定しことを受け、上昇が加速し5月後半に高値を付けた後、調整したものの年末に向けて再び上昇しました。

為替市場では、5月後半以降、ドル買い円売りが強まった時期があったものの、年間を通して円安が進行し、年末には5年2か月ぶりの105円台となりました。

2013年3月から5月の設定額増加には、新規資金だけでなく、上記のような投資環境の追い風があったことによる相当額の既存ファンドからの乗り換えがあったことが推測されます。（当時の純資産総額は2024年1月末の約半分程度であるにも関わらず、解約額が大きく上回っている）

その為、資金流入額は抑えられています。また当時は、毎月分配型ファンドが主流であったことから分配金による資産の払い出し額は、今よりも多く、純資産総額自体の伸びは限定的なものになっています。

2013年３月から５月までの各月の設定額上位ファンドを確認してみましょう。

当時は毎月分配型ファンドの人気が高く、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド（毎月分配型）」や「新光ＵＳ－ＲＥＩＴオープン（ゼウス）」、「フィデリティ・ＵＳハイ・イールド・ファンド（毎月決算型）Ｂ（為替ヘッジなし）」などが、毎月上位に入っています。また、通貨選択型のファンドが多いのも当時の特徴と言えるでしょう。

毎月分配型ファンド以外では、各月ともにテーマ色の強い株式型アクティブファンドも上位に入っています。しかし、3か月間通して上位となっているファンドはなく、多くは該当月に新規設定されたファンドであり、特に当初募集時に多くの資金を集めたことが分かります。

2013年は、好調な投資環境を受けた、販売力のある特定の販売会社による投信販売が、投信全体の設定額を押し上げたことが窺われます。

2013年当時の設定額上位ファンド

(＊1 は該当月の新規設定、＊2は償還済み）

2013年3月　設定額上位10ファンド

2013年4月　設定額上位10ファンド

2013年5月　設定額上位10ファンド

【参考】2024年1月　設定額上位ファンド

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